2025年6月11日水曜日

3時間後が目安です。

ボトルの中の真実は開栓し、そのワインを実際に味わった人が
知り得る事。そしてその真実が予想していた事と違っていたり
する事が発生するのも事実です。その時、どうするのか。これ
を思案するのもワインの楽しみの一つです。今日、紹介したい
イタリア赤ワインはそんな一興のあるワインです。
かつてワインは完全にクリーンにする事を求められていました。
特にこの日本では。キャップ・シールを取り、コルクを抜こう
としたら瓶口にカビが広がっていた。腐っているとクレームが
頻発しました。
ワインをグラスに注いだら、キラキラ光る固形物が入っていた。
ガラスが混入しているとクレームが頻発しました。これは原料
ブドウに由来する酒石酸が他の成分と化合し、固形化した酒石
と呼ばれる物質でナチュラルさの証です。
同様にグラスの中のワインが味噌汁の濁りの様に濁っていた。
異物が混入しているとクレームが頻発しました。これは発酵を
司る酵母が重合した固形物で、醸造酒(日本酒も)に必ずある
滓と言われる物質です。
そんなクレームを回避する為、日本の市場に流通させるワイン
は過度に処理され、何度も濾過し沈殿物一つないワインにする。
何度も洗浄し汚れ一つない綺麗なボトルにする。ラベルの曲り
がない、ラベルの隅までシッカリ張られているボトルのみ箱詰
する。と言った具合に。
この様な状況の下、ワイン・ビジネスに携わっていた1990年代
後半から2000年代初頭は理不尽なクレーム処理を何度も何度も
した事を今でも明確に覚えています。
ワインの世界にもナチュラルと言うキー・ワードが浸透し始め、
香味が削がれてしまう様な過剰な処理(濾過など)をしない。
合成接着剤を大量に使用し、剝がそうと思っても絶対に剥がれ
ない様なラベル張りをしない。などの人工的な処置を控えめに
する事が一般的になりました。
酒石のあるワイン。滓のあるワイン。そして口に含むと極めて
微量の炭酸を感じるワイン(発泡性ワインでなく、非発泡性に
区分される)がこの日本で流通する様になりました。
ワインを含む醸造酒には発酵に伴う滓がある事を既に言及した
のですが、糖分を酵母の働きでアルコールに変化させる過程で
副産物として炭酸ガスが生成されます。副産物のこの炭酸ガス
を抜く事で発泡を感じないワイン(非発泡性ワインでスティル
・ワインと言います)や日本酒となります。
上面が開放の貯蔵タンクに入れ、ガスが空気中に出て行くのを
待つ。あるいは何度も別のタンクに移し替え、ガスを強制的に
抜く。などの方法で。
しかし、その工程で理想以上の酸化をしてしまったり、香味の
変化、消失が起こってしまったりする事があり得ます。それを
防ぐ為、ガス抜きをしない場合があります。
あるいは発酵に伴う副産物の炭酸ガスを残留させておく事で、
ワインが還元状態におかれ、不必要な酸化をしない状況を創る
事ができます。近年、この手法によるワインが散見され、また
以前からありますが、ドイツのモーゼル地方のフルーティーで
軽快な酒質の白ワインは副産物の炭酸ガスを残留させるワイン
の代表格と言えるでしょう。




今日、紹介の赤ワインはナチュラルさ、素朴さを明確に感じ、
過度の人工的処理をしていません。大地の香味(地味)があり、
発酵の副産物の炭酸ガスの存在があります。
ナチュラル・ワインの典型的スタイルです。事実、この造り手
はサステイナブルなワイン造りを行っていて、ブドウ畑でも、
醸造所でも化学物質の使用を避け、また発酵はブドウの果皮に
付いている天然酵母で、と言った具合です。
副産物の炭酸ガスがワインに残留しているとワインが還元状態
に置かれ、香味がくぐもる様に主張します。雨後の森、草原で
感じる様な湿った土ぽさ、ジャーキーの様な加工肉の燻製香、
きのこの出し汁の様なアーシーさを。
その還元状態を解消し、原料ブドウ由来の果実味を引き出し、
地味と調和させ、フレーヴァーの深みを本来の姿に戻す。この
ひと手間がこの赤ワインを最大限に楽しむ為の必須の取り扱い
です。
どんな容器でも良いです。ワインの液面がなるべく広く空気と
触れ合う様に移し替えて下さい。飲もうとしている3時間以上
前がベストです。移し替える際は残留している炭酸ガスを抜く
つもりで勢いよく注ぎ入れて下さい。ワインの表面が泡立って
しまってOKです。
ワインは空気接触で酸化し、還元状態が解消さる事で姿を変え
ます。香味のその変化も楽しむ。ワインを味わう際の醍醐味と
言えます。是非、本来の姿を引き出してあげ、今日、紹介の赤
ワインを味わい尽くしてあげて下さい。





*Piazzano 2021 Toscana
 ピアッツァーノ、トスカーナ

相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
        チーズなら、パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<落ち着いた深みのあるミディアムボディー>
2,***円




赤身肉の鉄分ぽさや血合いのヒントを感じます。徐々に広がる
穏やかな果実味が寄り添い、原料ブドウがもたらしたハーブや
スパイスのアクセントが味わいをまとめています。
そんなフレーヴァーを同時に感じる料理、例えば牛肉のユッケ
を合わせるのは如何でしょうか。牛肉の鉄分ぽさや血合いぽさ
にタレが添える甘いニュアンスのスパイシーさ、胡麻と玉子が
添えるオイリーな味わいの重合はピアッツァーノ・トスカーナ
の香味とシッカリとリンクします。
ひと手間かけ、ワインとユッケが奏でるマリアージュをご堪能
下さい。




WINE HOUSE
開店時間:14時~19時
定休日:毎月7日、15日
支払方法:現金 or PayPay
    
*釣り銭不足を防ぐ為、5,000円以下の決済の際の
     10,000円札での支払いはご遠慮下さい。

入店時のルール:マスクの正しい着用、手の消毒
       
*店内の密回避、接客の際の動線確保の為、
        先客が店内にいる際は店外でお待ち下さい。
       *一度に入店できるのは3人までです。4人
        以上での入店はお断りします。
       *瓶の破損やその他の危険回避の為、子連れ
        で入店はできません。
2023年の元旦に発症した右顔面麻痺が未だに治癒しません。
不自由になって3年目になりました。時間の経過は早いです。
色々な治療をしましたが、もう治らないそうです。この麻痺
の為、右目が閉じず異物が混入し易い状態です。飛沫の侵入
で感染症を患う可能性があります。
またこの右顔面麻痺の影響で嚥下障害を起こしていて、感染
し、体調を崩すと誤嚥性肺炎による重篤な状態となる可能性
が大です。
ご存じの方が多いとは思いますが、当店では対面にて商品に
関する様々な説明をします。その際、飛沫をブロックする為
どなたにもマスクの着用をし、飛沫拡散を防止して頂く事に
していますので、宜しくお願い致します。