2024年1月20日土曜日

スクリュー・キャップは時を止める?

栓がスクリュー・キャップのワインがとても多くなった今、
スクリュー・キャップのワインを飲んだ事のない人(勿論、
ワイン愛飲者の話ですが)はいないでしょう。
それではスクリュー・キャップを開け、直ぐに瓶内を覗いた
事のある人はいるでしょうか?あまりいないかもしれません。
これ程、ハッキリ判らない時もありますが、抜栓直後の瓶内
はこんな感じに靄がかかった様に見えます。




この靄はワインと空気を遮断する不活性ガスで、多くの場合、
窒素が使われていました。今は選択肢が増え、窒素ではない
他のガスを使う事も増えて来ています。
では、なぜその様なガスを使うのでしょうか?合成も含め、
コルクで栓をする場合、コルクを瓶内に打ち込む際、圧力で
瓶内の空気が押し出され、ワインを酸化させてしまう空気の
存在はほぼなくなります。
しかし、スクリュー・キャップではそうなりません。瓶口に
キャップを被せ、そのキャップを機械で締め上げるだけです
ので瓶内のワインの液面の上に空気が残留してしまいます。
これではワインが意図しない酸化をしてしまいます。そんな
酸化を防ぐ為、瓶内の空気をガスで置換します。そのガスが
靄の様に見える訳です。
このガスはワインと外気を完全に遮断します。瓶内のワイン
は窒息状態、冬眠状態と言えるでしょう。その様な状態です
からスクリュー・キャップを開け、グラスに注いだワインは
寝起きの状態、寝ぼけ眼の様相を呈しています。そんな状態
ではワインが本来の状態を見せてくれません。それを起こし、
真価を発揮する様に仕向ける必要があります。
当店が勧める取り扱い方法は、スクリュー・キャップを開け、
グラスに1杯分だけ注ぎます。注いだ際に瓶内のガスは外に
流出し、中に空気が流入します。そこでキャップを閉めます。
これで瓶内のワインが目覚める準備ができました。
そのボトルは冷暗所に置き、その日に飲むのは我慢。グラス
に注いだワインだけをその日に味わいます。翌日以降に取り
置いたワインを味わって下さい。同じワインなのに昨日とは
全く違う表情を見せてくれます。それが本来の姿、空気接触
で目覚めたそのワインが持っている良さです。
スクリュー・キャップの無数のワインを味わって来ましたが、
ほぼ例外なくその様な飲み方でOKです。今後、スクリュー・
キャップのワインを飲む際は是非、実践してみて下さい。   
それでは新着、スクリュー・キャップの白ワインの紹介です。
このワインは完全に冬眠しています。外気との接触が途絶え、
瓶詰し、キャップで栓をした瞬間から時が止まっています。
ですのでグラスにワインを注いでも、語りかけてくる要素が
少なく、和みが必要です。
言わば鎖国状態の中、時代の移り変わりを知らないワインを
玉手箱を開け、時に即したワインにしてあげなければ。この
ワインを飲む際は、是非、お勧めした取り扱いで。そうする
事でブドウのメッセージ、造り手のメッセージの真実を感じ
取る事ができるでしょう。




*Dindori Reserve 2022 Viognier
 ディンドリ・リザーヴ2022ヴィオニエ

相性の良い料理:僅かな脂肪分を含む素材、オリーヴオイル
        やバターを使用した料理。
        チーズなら、ゴーダ。
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
2,***円




分かり易く伝える為に敢えて言いますが、窒息状態のワイン
にありがちな典型的なフレーヴァー(ポリエチレンの様な)
を感じます。口当たりは硬く、ソーセージの皮の様な味わい
を感じます。
料理とワインを合わせる時、両者に共通する香味があるなら
似た者同士は上手く行くと言われる様に料理とワインは密に
リンクし、マリアージュを奏でます。
ソーセージの皮のヒントがワインにあるのなら、ソーセージ
を合わせてあげればOK?本来はそうなのですが、口当たりの
硬さと木樽熟成由来の味わいの豊かさが相棒としてそれ以上
の深みをコールします。
そこでそのワインの今のコンディションを考え、合わせたい
一品は、スパゲッティ・アッラ・カルボナーラです。作る時
は是非、パンチェッタを使って下さい。そしてパンチェッタ
は焦げが付かない様、調理して下さい。
加熱調理したパンチェッタの油脂から放たれるフレーヴァー
がワインのフレーヴァーと融合します。パンチェッタ、卵黄、
オリーヴオイルが創り出す味わいの深みがワインの味わいの
豊かさと調和します。仕上げに振りかけるペッパーとチーズ
のミネラリーさがワインの引き締まった口当たりを引き寄せ
ます。こうして両者は緊密に結び付き、マリアージュを奏で
ます。
スクリュー・キャップのワインは過去(瓶詰めし、栓をした
時)に留まっています。それを今に呼び寄せ、目覚めさせて
から相棒の料理、食べ物とペアリングさせ、ボトルの中の真
の姿を味わう。今度、スクリュー・キャップのワインを飲む
際は実践してみて下さい。




WINE HOUSE
開店時間:14時~19時
定休日:毎月7日、15日
支払方法:現金 or PayPay
入店時のルール:マスクの正しい着用、手の消毒

昨年の元旦の朝に発症した右顔面麻痺が未だに治癒しません。
1年経ちました。時間の経過は早いものです。色々な治療を
しましたが、もう治らないそうです。この麻痺の為、右目が
閉じず異物が混入し易い状態です。飛沫の侵入により感染症
を患う可能性があります。
ご存じの方が多いとは思いますが、当店では対面でワインに
関する様々な説明をします。その際、飛沫をブロックする為
どなたにもマスクの着用をし、飛沫拡散を防止して頂く事に
していますので、宜しくお願い致します。