2022年10月26日水曜日

てごわいネッビオーロ、アリャーニコですが

ワインには家庭で気軽に楽しめるものとそうでないものがあり
ます。そうでないものとは私達が食卓で日常的に食す料理では
対応しきれないワインの事です。つまり、レストランで食す様
な、例えばジビエ料理、コンフィ、フォンを取って何日も作業
が必要な料理が相棒のワインです。
そんなワインの代表格がNebbiolo/ネッビオーロとAglianico/
アリャーニコと言うブドウから誕生する赤ワインです。どちら
もイタリア・ワインを話題にすれば必ず登場するワインです。
ネッビオーロはイタリア北部が主産地、アリャーニコは南部が
主産地のブドウで、品種は違えども、それらからできるワイン
には大きな共通項があります。




それは鉄分ぽさを感じるタンニン(渋味成分)が存在し、その
存在が乾いた様な口当たりと舌に重りを載せた様なパワフルさ
を広げます。その重厚感は他の赤ワインにはあまりないもので、
重厚過ぎて味わえない人もいれば、ワインの重厚さはOKですが
それを食卓の上で活かしきれない人も無数にいます。だから、
レストラン・ワインなのです。
でも、その重厚さを家庭の食卓で楽しみたい人はいるでしょう。
事実、自分がそうですから。ですので、今日はネッビオーロや
アリャーニコから誕生した重厚で、家庭での取り扱いに少々、
手に余るワインを上手に扱える技を紹介します。






先ず、ネッビオーロとアリャーニコの赤ワインの共通する要素
をシッカリ理解します。キーワードはドライな口当たり、鉄分
を明確に感じる味わい。これさえ上手に処理できれば、あなた
の食卓でもネッビオーロやアリャーニコの赤ワインを役不足に
などせず、大活躍させる事が可能になります。
以前から数えきれない位、言及していますが、ワインと料理の
マリアージュを完成させる時、必須なのは両者に共通する要素
をいかに多く創るかです。両者が同化しさえすれば、そこには
必ずマリアージュが生まれます。
良いですか。共通項は「鉄分」です。味わいに鉄分を感じる。
どんな料理や食べ物でしょうか。少なくとも食材自体に鉄分を
感じなくてはなりません。
日頃から味わって食べている方なら鉄分を感じる食材など直ぐ
に思いつくでしょう。鴨肉、雉肉、マグロ赤身、カツオ、ブリ、
鰻、何種類かのキノコ、ホウレン草などの緑黄色野菜と言った
感じです。
Sangiovese/サンジョヴェーゼ、Pinot Noir/ピノ・ノワなどの
赤ワインでしたら、ワインに感じる鉄分ぽさと食材の鉄分ぽさ
に離反がありませんから、それらの食材で作る家庭的な料理で
十分にマリアージュを生み出せます。
しかし、ネッビオーロやアリャーニコの赤ワインではそうとは
行かず、料理や食べ物により多くの鉄分を感じなければ両者の
調和が図られず、場合によってはワインの鉄分ぽさ(えぐみに
さえ感じる)ばかりが強調されてしまいます。
誰もが簡単にマリアージュの世界をゲットできる。誰もが困難
なくマリアージュの世界を創る事ができる。その為のベストな
方法は、安定した(絶対とは言えませんが、常に同じ味を提供
する)料理を提供してくれる飲食店で鉄分を感じる料理を購入、
to goし、家庭で味わう事です。
鴨肉や雉肉に鉄分を感じると既に言及しましたが、同類の鶏肉
にはどうでしょうか。口にする事の多い一般的な鶏肉に鉄分を
感じる事は滅多にないでしょう。だって、運動せず、ケージの
中で強制的に育った鶏ですから。
でも、最近、時々、出会うのですが、鶏肉でもシッカリ鉄分を
感じるものに。地鶏でしたら、納得なのですが、地鶏ではない
様です。身動きができる広いケージの中で育った鶏のでしょう
か。化学飼料でなく、栄養価の高い自然由来の飼料で育った鶏
なのでしょうか。雉肉を思わせる触感と味わいを備えている鶏
です。




そんな風味豊かな鶏を使い、それを炭火焼きし、より一層、味
を深めた「とり重弁当」があります。この弁当に出会って以来、
鉄分を感じる赤ワインを飲む時には必ず「とり重弁当」を相棒
にしています。
マイルドな味わいの鶏肉料理に慣れている方には少々、味わい
が強すぎるかもしれませんが、鉄分を感じるワインと共演して
あげれば、それも全く気にならない所か、両者が奏でる至福の
マリアージュの素晴らしさに言葉を失うでしょう。
ワインの味わいだけでは強い。鶏肉の味わいだけでは強い。と
感じるとしても、ワインと料理、食べ物が密にリンクし合うと
優しさ、和みさえ生まれ、強さが気にならなくなります。
鉄分には鉄分を。この機会に是非、強い者同士が生み出す筆舌
に尽くし難い融合をご堪能下さい。「とり重弁当」は当店近辺
ですと、太田市飯塚町の「とり弁鶏」で買えます。




*Martino 2016 Aglianico del Vulture
 マルティーノ2016アリャーニコ・デル・ヴルトゥーレ

飲み頃温度:19度。
<深みのあるミディアム~フルボディー>
4,**0円
果実味が控えめで、ジビエ(野鳥の肉)を思わせる複雑で深み
のある香りを備え、味わいにはアリャーニコらしい鉄分ぽさを
明確に感じます。オリエンタルな乾燥したスパイスのヒントも
あり、とり弁鶏のとり重弁当を食べる際には、山椒を鶏肉の上
にかける事をお勧めします。




*Balghera 2004 Valtellina Superiore Riserva Grumello 
 バルゲラ2004
 ヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リゼルヴァ・グルメッロ

<品位のあるミディアムボディー>
5,**0円
18年もの熟成を経て、洗練された酒質へと昇華しました。角々
しくない口当たりでありながら、ネッビオーロの特徴の鉄分を
確かに感じる味わいで、優雅な深み、味わいの広がりが余韻に
残ります。良好に熟成したネッビオーロの赤ワインの究極の姿
を楽しめます。
こちらのワインをとり弁鶏のとり重弁当に合わせるのなら、店
の秘伝のタレの香りをワインに近づけたいので、山椒を鶏肉の
上にかけずに食べる事をお勧めします。



たまにはOK?と思い、今回はちょっと高額な赤ワインを紹介
しました。それらの赤ワインは店の定番取り扱い商品(輸入の
関係で欠品する事もありますが)ですので機会がありましたら
是非、楽しんで頂きたいと思います。