OOってどんな香り、味わいをしている?と聞かれ、答えられず
困った事がないですか。そこで質問です。マグロの香りや味を
教えて下さい。と来日の方から言われたら、あなたはどの様に
説明しますか?
食に関して、この日本ではあまりに安全になってしまっている
為、香りをチェックしたり、味の本質を感じたりしながら何か
を食べる事が稀有になってしまいました。
その結果が、OOの香りや味を言ってみて下さいと言われても、
それに応えられない状況を生み出しています。無意識に食べ、
無意識に飲み、腹を満たしている。そんな人が多い様に感じて
います。心当たりはないですか?
なぜ、そんな事を言うのか。それは料理や食べ物の香り、味を
知らずして、ワイン選びはできないからです。料理や食べ物と
ワインの相性の良さを創る基本は、似た者同士である事。両者
に同系の香り、同系の味わいがあるのなら、お互いがリンクし、
マリアージュを創造するのです。
だから、食生活をワインと料理のマリアージュで充実させるの
なら、何気なく飲む、何気なく食べる事から卒業しましょう。
今夜は、「マグロ尽くし」。赤身、中落ち、とろ、びんちょう
の寿司をTo goし、それらに合わせ赤ワインを楽しみましょう。
それらの寿司をイメージし、それらの香りや味わいに調和する
香りや味わいを備えている赤ワインを選び出すのです。
マグロには色々な部位があり、それにより香り、味わいは明確
に異なりますが、びんちょうマグロは別にして、マグロに共通
する香味は、血合いのニュアンス、鉄分ぽさと思います。その
特徴を生かしてあげる様、つまり、その様な要素を感じる事が
できる赤ワインを選ぶと良い訳です。
ブドウで造るのに、血合いのニュアンスや鉄分ぽさをワインに
感じるの?と思うでしょうが、ワインを構成している香りや味
は、数千にも及ぶ要素が単独ではなく、いくつもが融合したり、
重合したりした結果、出現していますから、花の香りを感じる、
ブドウ以外の果実のフレーヴァーを感じる、大地の味を感じる、
赤身肉や皮革などの野趣さを感じると言った具合にブドウ以外
の香味を感じるのです。
血合いのニュアンスや鉄分ぽさを白ワインに感じる事はなく、
本来、赤ワインを造る黒ブドウで造った白ワインは例外ですが、
以前から何度も言及している通り、色と色は基本的に連動して
いますので、赤(血合い)、黒(鉄分)を感じるのは赤ワイン、
そして時にロゼワインも、になります。
それではどんな赤ワインなら明確に血合いのニュアンス、鉄分
ぽさを感じるのでしょうか。それは造り方に因るよりも、品種
に因る事がほとんどです。特にSangiovese/サンジョヴェーゼ、
Nebbiolo/ネッビオーロ、Grenache(Garnacha)/グルナッシュ
(ガルナッチャ)などで造った赤ワインに顕著です。
只、ここでひとつ付け加えますが、血合いのニュアンスや鉄分
ぽさがあるだけでは生のマグロとの心地良いハーモニーは絶対
に生まれなく、ペアリングに於いて、生臭さを創り出さない為、
ワインに強いフルーティーさがない事がマストになります。
になってから、その赤ワインで寿司を既に3回楽しみましたが、
マグロとのパーフェクト・マッチだけに留まらず、サバ、ブリ、
カツオ、イワシ、サーモンなどに加え、色は白ですがエンガワ
(脂分が多い為、赤ワインの渋味成分との相性がとても良い)
とも良好な関係でした。
魚料理には白ワインと信じ切っている人が大勢いますし、寿司
に赤ワインなんか合わせるなんてありえないと思っている人も
多数いますが、赤身の魚、鉄分ぽさがある味わいの魚、脂分が
多い魚には白ワインでなく、果実味が控えめな赤ワインが最適
なチョイスです。
刺身を食べながら、白ワインを飲んだけど、良くなかったので
もう刺身でワインは飲まないよ。と何度も聞いた事があります。
それは当然の結果で、その白ワインがその刺身に合うワインで
なかったからです。魚には白ワインと言った正しくない法則が
流布している弊害がもたらす悲劇です。
とても大切なので、もう一度。赤身(血合いのニュアンスある)
の魚、鉄分ぽさある味わいの魚、赤身でなくても脂分が多い魚
には赤ワインです。決して白ワインではありません。