同じブドウ品種でもそれが育まれた環境が異なれば、ブドウが
備える性格が異なります。ブドウが持つ性格に合わせ、それに
相応しいワイン造りがナチュラルに行われます。
その様に造られた同一生産者、同一品種、同一ヴィンテージの
ワインを同時に比較しつつ味わうのはとても興味深い楽しみ方
です。
同時に何本も抜栓してしまったら飲み切らないよ。と言われる
かもしれませんが、心配は無用です。当店が同時に複数種類の
ワインの飲み比べを勧める時、それらのワインは抜栓後、数日
に渡り香味をキープ、いや、向上させ、その変化も楽しめます。
その様なワインしか勧めません。ですので安心して飲み比べを
して頂けます。
今日、紹介し、同時飲み比べをお勧めする3種類の白ワインも
少なくとも3日間はその香味を向上、変化させ、4日目でさえ
香味の劣化を感じさせません。
それら3種類の白ワインを造ったのは皆様ご存知の曽我彰彦。
至高のワイン・メーカーであり、あのBBCの取材を受ける程、
世界に名の知れた日本最高峰の醸造家です。
2020年秋に収穫したシャルドネ/Chardonnay(育まれた畑の
区画が異なる)でテロワール(地味)を意識し、また、各々の
実の性格を尊重し、その性格を最大限、ワインに表現させる様
造り上げました。
3種類のワインのその違いを簡単に言いますと、醸造は木樽で
行っていますが、木樽からの要素の存在の多少による果実味の
主張に差があります。
木樽で発酵や熟成を行い造られる白ワインは、木樽をどの様に
ワイン造りに影響させるかで、ワインのスタイルが決まります。
つまり、ワインに備わった木系のニュアンスが果実味などの他
の要素の主張を前面に押し出すのか、包み込んで控えめにする
のかを支配する事になります。
曽我さん入魂の3種類のシャルドネの白ワインを飲み比べると
果実味と木樽からの要素が5:5の関係で備わったもの、果実味
が前面に押し出されたもの、木樽からの要素が核となったもの
がある事がハッキリ判ります。
その違いは相性の良い相棒となる料理の違いを創り、同じ食材
を使った料理なら、順番に、柚子塩コショウで味わいを整えた
もの、塩で味わいを整えたもの、バターやクリームで味わいを
整えたものと言った感じになります。
ワインの奥深さを探求したいあなたに是非、飲み比べて欲しい
3種類の白ワインがこちら!!
オルディネール2020シャルドネ、フ・ドゥ・シェーヌ
相性の良い料理:レモン塩or柚子コショウで食す料理。
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある、やや辛口>
マリアージュさせたいお勧めの一品は「濃厚鶏そば」。旨味が
ギッシリ詰まった鶏白湯風のスープ、その風味にアクセントを
添える柚子の味わいがこのワインをコールします。
スープに感じるオイリーさとナッティーさが木樽由来の風味と、
柚子のフルーティーな爽やかなヒントがブドウ由来の果実味と
同系の為、密にリンクします。
クロ・ドゥ・カクトー2020シャルドネ
相性の良い料理:素材の持つ優しい甘味を生かした料理。
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口>
マリアージュさせたいお勧めの一品は「鶏のささみの塩焼き」。
果実味が美しく広がり、ナチュラルな甘味を感じる優雅な酒質
がささみの穏やかな味わいとマッチします。
抜栓2日目以降ですと、ワインに内包されていた木樽由来の香味
が起き上がり、明確になりますので、「鶏モモ肉の塩焼き」が
お勧めとなります。
ささみ肉にはない木樽からの要素に通じる香味(鶏肉、特に皮
は加熱するとナッツを思わせる香味が現れます。)がモモ肉に
あり、それが控えめに備わった木樽からの要素のあるワインを
コールします。
レゼルヴ・プリヴェ2020シャルドネ
相性の良い料理:クリームを使用した料理。脂肪分を含んだ
料理。
飲み頃温度:15度。
<コクのある、ふくよかな、やや辛口>
マリアージュさせたいお勧めの一品は「カスタード・タルト」。
カスタード、タルト生地が香ばしく焼き上がった様をイメージ
してみて下さい。シャルドネのワインが優美に木樽由来の香味
を身に着けた時、その香味にはカスタード・タルトを思わせる
要素が明確にあります。
そして、優美な木樽由来の要素を備えたワインには甘口ワイン
とは異なる甘味旨味を感じ、それがカスタード・タルトの様な
菓子であっても相棒としてコールするのです。