新潟県に行った事のある方は多いと思いますが、小千谷市に
限定したなら、その数は減るのではないでしょうか?しかし
その地には見るべきものが結構あり、有名なものでは「片貝
の花火」、「錦鯉」そして「日本酒」などがあります。
なぜ、小千谷を話題にするのかと言いますと、当店は1997年
の開業で、私が創業者なのですが、実は当家のルーツはこの
小千谷にあり、墓所に刻まれた史実に拠れば、今の太田市に
住み着いたのは1800年中期で、1872年には太田での初代が
商い(酒造業)を始め、それ以来、代々アルコール業界で財
を成して来ました。時代の流れで酒造業は私の祖父の代まで、
その祖父の代から私の父の代までは酒類卸小売業でした。
実は小千谷には2回しか行った事がなく、初めて行ったのは
当家のルーツを探りに、2回目は酒蔵での酒造研修にでした。
150年程も前の事でしたから、当家のルーツなど知っている
人になど出会える訳もなく、ただ片貝の辺りには相崎姓の家
が沢山ある事だけ知り、やはり当家のルーツは小千谷にある
のは間違いないと納得したものでした。
そんな縁がある地ですので、思い入れがあり、ワイン専門店
であるにも関わらず、小千谷にある酒蔵が造る日本酒を自分
の為(もちろん購入希望のお客様には販売致しますが...)に
仕入れています。
なぜ、自分用に?米より小麦パーソンですので、パンを昼食
に食べる事が多く、その際に楽しむのはワインよりも日本酒。
パンのイースティーな要素と日本酒の乳酸の旨味の広がりが
ワインとでは生まれないレヴェルの素晴らしいハーモニーを
奏でてくれます。
パンの白い部分、近年流行りの高級食パンでも日本酒、特に
山廃造りや生酛造りの純米酒、と同系の香味がありますから
間違いなくマリアージュするのです。
はソムリエ仲間でもあり、パン職人でもある平谷さんとその
ご家族で営むガーデン・カフェ併設の店です。
と言う事は、太田に店を構えているのなら太田の酒が地酒で
あって、よって太田の酒を売る事に他なりません。
が、オリジンがそこにあるのなら自分の為であっても、販売
の為であっても、太田の酒でなくても、仕入れる大義はある
でしょう。
そんなこじつけをし、小千谷の酒を紹介致します。造り手は
「高の井酒造」。残念ながら、実地研修をした酒蔵ではない
のですが、小千谷を2度訪れた際のどちらも高の井酒造へ足
を運び、酒を購入しています。
原酒、共に720㎖です。特別純米酒は、穏やかに米の旨味が
広がり、余韻に重厚感があります。山廃純米吟醸原酒の方は
乳酸のドッシリした骨太な存在感が広がり、余韻に深い旨味
を力強く残します。どちらも冷たくない温度(いわゆる冷や)
でお飲み頂くと持ち味を存分に楽しめます。
ですが、現在は限定商品2種類となり、共に低温熟成無濾過
原酒で、特別純米酒と純米吟醸酒、共に720㎖です。こちら
は純米吟醸酒が山廃でない為、通常取り扱いの2種類と酒質
が逆になり、特別純米酒の方がドッシリ感が強く、色合いは
明確に黄色味を帯びています。