2021年10月19日火曜日

プラスチック製コルクのワインは取り扱いに少々コツが要ります。

ワインの栓(クロージャー)はかつては天然コルクだけでした
が、今のその多様性には驚くばかりです。良質の天然コルクは
とても高額。温暖化でコルク樫の成長が不規則となり、良質の
コルクを取れる部分が少なくなってしまった。等々の理由から
クロージャーの多様化が進みました。
スクリュー・キャップが普及し始めた頃、コルクを抜く楽しみ
がなくなってしまうので、ワインを飲むのが味気なくなるから
とスクリューキャップのワインを敬遠する人がとても多かった
事を覚えています。
その解決策として、シンセティック・コルク(プラスチック製
のコルク)、Vinoloc / ヴィノロック(ガラス製のコルク)も
登場し、スクリュー・キャップ敬遠のワイン・ラヴァーの心を
ワインにつなぎ止めて来ました。今ではスクリュー・キャップ
敬遠のワイン・ラヴァーに滅多に出会わなくなりましたが。
コルク(コルク樫で作った)は密栓でありながら、気孔がある
事でわずかながら空気の流通が起こります。つまり、ワインが
還元状態に陥り難いのですが、プラスチック製のコルクの場合、
気孔のあるコルクと異なり、完全な密栓となり、空気の流通が
ない事からワインが還元状態(窒息状態、冬眠状態の様な感じ)
に陥り、ワインが持っている本来の香りや味わいの主張がなく、
個性が閉じこもった状態になってしまいます。
また、異常とは言えませんが、プラスチックですので、ワイン
にビニールぽい香り(キューピー人形をイメージして下さい。)
を付けてしまいます。これも還元状態の一因です。
それらを解消する為には寝ぼけているワインを起こしてあげる
必要があります。デカンタに移し、十分に空気接触をさせた後、
飲むのも一手ですが、それでは解消しきらない前に飲み終えて
しまう事もあるでしょう。
そこでお勧めなのは、飲みたい所を我慢し、1日目はグラス1杯
だけ、2日目は残りの半分、そして3日目に全部飲み切る。そう
する事で、日を追うごとに変化し、最後にはワインが真の姿を
現してくれる瞬間に出会えます。
そんな楽しみ方をしてほしい。したら最高にブドウ品種の個性
を楽しめるワインがあります。それは白ワインで、ヴィオニエ
/ Viognierと言うブドウで造られています。
ヴィオニエの白ワインは、カリンなど白い果肉の果実の香り、
沈丁花など白っぽい花の香りがあり、時には果蜜やトロピカル
ささえ感じる事もあり、そのアロマにうっとりとしてしまう程
です。3日目にその状態になる訳です。
そんな「ヴィオニエの白ワイン」がこちらです。イタリア中部
トスカーナ州で育まれたブドウで造りました。ブドウの持って
いる個性(ワインになった時のアロマ)をストレートに生かす
為、ステンレス製のタンクで醸造、熟成しています。
*d'Aressandro 2018 Toscana Viognier
 ダレッサンドロ2018トスカーナ、ヴィオニエ

飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
3,300円
・1日目の楽しみ方
この日は1杯だけ飲みます。最も還元的な部分がグラスに入り
ますので、本来はその様な行為をあまりして欲しくないのです
が、グラスをこれでもかと言うぐらい回し、中のワインを十分
に空気に触れさせてからお飲み下さい。



・2日目の楽しみ方
1日目よりアロマが広がると思いますが、それでもまだ本来の
それではなく、ビニールぽい香りが残留しています。その残留
している香りを生かす楽しみ方ですが、熱した油が同系の香り
となる事から、油で炒めた料理、油で焼いた料理とペアリング
してあげるとお互いの香りがリンクし、欠点だった要素を利点
に変えてくれます。
例えば炒飯、焼き餃子(醤油も、ラー油もなしで)を食べつつ
ワインを飲んで頂くと、ワインだけを味わった時と大きく相違
する香味を楽しめます。エノキやエリンギのバター・ソテー、
鶏モモ肉の塩麴炒め等もお勧めの料理です。




・3日目の楽しみ方
ついにヴィオニエの白ワインらしいアロマを楽しめる時の到来
です。良好に熟したブドウで造ったのでしょう。黄色い果実の
華やかさを感じます。甘味旨味のある黄色い野菜の料理に相乗
しそうな香味をシッカリと感じます。
そこで3日目の状態の香味の時に一緒にお楽しみ頂きたいのは、
ハロウィーンがもう直ぐですので、カボチャを使った料理です。
コロッケ(ソースを付けないで、味は塩で添えて)、煮付けや
焼きカボチャ(淡い味付けでカボチャの味を生かして)ならば
ワインの香り、味わいとリンクし、マリアージュを奏でてくれ
ます。また、カボチャのパイ、カボチャのパンもお勧めです。
香味の変化を楽しむのもワインの楽しみのひとつです。時間の
経過と共に変化するこの白ワインを興味深く味わって頂ければ
と思います。



スペルは違うけど、ハロウィーンと言ったら、俺にとっては
こっちだけど...。それぞれのハロウィーンをお楽しみ下さい。