2021年7月7日水曜日

守備範囲の広さには驚くばかりPart2

スペインの国民酒と言っても過言ではないVino de Jerez/ビノ
・デ・ヘレス(通常はSherry/シェリーと呼びますが)は全て
白ワインでありながら、白ワインとは思えない様な外観と香味
を備えたタイプもあり、実に多様なワインであると前回、記事
にしました。




そんな多様なシェリー中には酒質の位置付けがロゼワイン的な
と言えるAmontillado/アモンティジャード↑と、赤ワイン的な
と言えるOloroso/オロロソ↓があるのでした。
実際にロゼワインや赤ワインと一緒に口にするとマリアージュ
を創り上げる料理にアモンティジャードとオロロソを合わせ、
アモンティジャードがロゼワイン的な、オロロソが赤ワイン的
なと言える事を実感してみましょう。




アモンティジャードとオロロソにペアリングさせる料理は次の
通りです。
「寿司」
「パエジャ」
「ピッツァ」
「カレー」
「鰻の蒲焼」
アモンティジャードやオロロソを語る時、どんな料理、食べ物
にマリアージュするのかを語る時にキーとなるのは酸化熟成に
より生成されたある成分。
その成分とは、良い意味で酸化熟成したワインや醸造によって
作られた食品に含まれ、ソトロンと言い、焦臭的なニュアンス
の香り、例えば、焼き目(焦げ)、カラメル、煮詰めたタレや
ソースをイメージでき、ソトロンの究極はカレーになります。
ワインと料理の相性の良さは両者に共通する成分、要素がある
事に因り生まれます。ですから、酸化熟成したワインに料理、
食べ物を合わせる時、料理や食べ物にソトロンの存在がある事、
ある様にしてあげる事が必須になります。
それは決して難しい事でも、複雑な作業でもなく、醤油で調理
する、香ばしく焼き目をつける、タレやソースで食す、カレー
を添える、あるいはカレーを食べながら、と言った事でOKなの
です。
「寿司」:醤油で食す、詰めタレをかけて食すものもある。
「パエジャ」:出汁を吸い込んだ米に焦げ目が付いている。
「ピッツァ」:トマトソースの存在と焼き目の存在。
「カレー」:これはソトロンの究極の形。
「鰻の蒲焼」:焼き目の存在と詰めタレの存在。
以上の様に、用意した料理にはソトロンの存在が明確で、酸化
熟成し、ソトロンを備えたワインとは間違いなくマリアージュ
します。
但し、ソトロンの主張の強弱があるので、アモンティジャード
が良いのか、オロロソが良いのか、それともどちらも良なのか
はありますが...。
・寿司:ロゼワイン、赤ワインに合うものを主体に、白ワイン
でなければ合わないものも用意しました。
・パエジャ:白ワインを合わせる人も、ロゼワインを合わせる
人も、赤ワインを合わせる人も実際にはいます。シーフードに
フォーカスし白、全体の味わいにフォーカスしロゼ、ソトロン
にフォーカスし赤な訳です。私見ではロゼがベスト・チョイス
と思っていますが...。
・ピッツァ:ロゼのパートナーとして「マルゲリータ」、赤の
パートナーとして「スパイシーなペパロニとソーセージなど」
を念頭に置いています。
・カレー:これはソトロン満載ですから、ソトロンの存在感大
のオロロソがベスト・チョイス、そしてアモンティジャードが
どこまで調和できるかがポイントです。
・鰻の蒲焼:詰めタレのあるなしでアモンティジャードが良い
のか、オロロソが良いのかが決まると考えています。
果たして結果は。




「寿司」:脂ののったネタで山葵なし、醤油で食べるのならば
アモンティジャード、オロロソどちらでもOK。詰めタレで食す
ものならオロロソの方がベター。
そして貴重な発見。アモンティジャードやオロロソでは役不足
の時でも、口中に嫌味、生臭さが広がらないので、寿司を食す
時にはシェリーをペアリングさせるのがベター。




「パエジャ」:ロゼがベスト・チョイスであると公言した様に
赤ワイン的オロロソでなく、ロゼワイン的アモンティジャード
の方がより良く調和。
イカ墨のパエジャなら、オロロソがベターなチョイスでしょう。




「ピッツァ」:マルゲリータにはアモンティジャードがベター
ですが、ややワインの香味が勝ってしまいます。解決策として
辛み成分(ペッパーやタバスコなど)を少々、ピッツァに添え
味わいを豊かにすると良いでしょう。
ペパロニやスパイシーなソーセージがトッピングのピッツァは
オロロソと好相性。ひと口の際はそこにペパロニかソーセージ
が必ずあるのがマストです。




「カレー」:吉野家の牛カレーなのですが、牛は調味液で煮て
あり、そこにもシッカリとソトロンの存在がありますから確実
にアモンティジャードと調和します。
オロロソとの調和にはカレーの助けを借りる必要があり、牛&
カレーにすればパーフェクトです。勿論、ソトロンの究極形、
カレーならソトロンがタップリのオロロソで決まりです。




「鰻の蒲焼」:予想通り、蒲焼にはアモンティジャードが良で、
そこに詰めタレが加わればオロロソの方がベターとなります。




この様な結果からエキスが凝縮した「焼き鶏のタレ」、「天丼
のタレ」、「ドゥミグラスソース」、「グレイヴィーソース」、
「シチュー」、「再仕込み醤油」、「さしみ醤油」などでさえ
アモンティジャードやオロロソの良きパートナーとなります。
「ソトロン」を感じる料理には「ソトロン」を感じるシェリー
のアモンティジャードかオロロソを。これを頭の片隅にイン・
プットしておけばワインと料理のマリアージュの完成が簡単に
できます。




*Colosia Amontillado / コロシア、アモンティジャード
飲み頃温度:11~14度。
<深みのある味わいのやや辛口>
3,300円
*Colosia Oloroso / コロシア、オロロソ
飲み頃温度:15~18度。
<芳醇な味わいの辛口>
3,300円