2021年7月4日日曜日

守備範囲の広さには驚くばかり

とても有名なのに日本ではメジャーな存在になり切れていない
ワインのひとつにシェリー/Sherryがあります。シェリーは正式
にはビノ・デ・ヘレス/Vino de Jerezと言いまして、スペインの
南部アンダルシア地方にあるへレスと言う美しい街を中心とし、
アフリカにいる様な異国情緒漂うエリアが故郷のワインです。



シェリーは全て白ワインで、辛口も甘口もあり、辛口はパロミノ/
Palominoと言うブドウで、甘口はモスカテル/Moscatelやペドロ
・ヒメネス/Pedro Ximenezと言うブドウで造るのが一般的です。
モスカテルやペドロ・ヒメネスで造ったシェリーはリッチな甘味
があり、それだけで最高のデザートになります。
辛口のシェリーにはいくつかのタイプがあり、フレッシュで軽快
な酒質のフィノ/Fino、ウーロン茶を思わせる外観でアーモンド
やカラメルを思わせる香味があり、まろやかなコクのある酒質の
アモンティジャード/Amontillado、メープルシロップを思わせる
外観でクルミやカラメルの焼き菓子を思わせる香味があり、芳醇
なコクがある酒質のオロロソ/Olorosoなどがあります。




シェリーは全て白ワインなのですが、その外観は全てが白ワイン
なのかと思ってしまう程、多岐に渡り、また、香味も同様です。
フィノが白ワインとすれば、アモンティジャードはロゼワイン、
オロロソは赤ワインの様なと言えば判り易いでしょうか。
ところで皆様、醤油の色は何色だかご存知ですか?搾りたての時
は赤い色調で縁には黄色を感じます。それが空気に触れ、酸化を
するに従い、茶色を帯び、更に黒みを帯びます。最終的には黒糖
のシロップの様な外観になります。
今度、買ったばかりの醤油を白い皿に注ぎ、その色を見て下さい。
搾った時の状態を保ったコンディションの良い醤油は茶色や黒い
色調を絶対に感じません。山吹色の様な色調で、中心に赤い色調
を感じますから。
これと同じ現象がシェリーにも起きていて、略儀的に言いますと、
フィノが酸化すると、アモンティジャードの様になり、更に酸化
するとオロロソの様になる訳です。つまり、着色と香味の焦臭化
は酸化による成分の重合の結果なのです。
6月13日アップの「これも白ワインです。」でフィノを取り上げ
ましたので、今回はロゼワイン的なアモンティジャード、赤的な
オロロソを「寿司」、「パエジャ」、「ピッツァ」、「カレー」
「鰻の蒲焼」にペアリングさせ、それらがどの様にマリアージュ
するかを解説したいと思います。
多様性ゆえの守備範囲の広さ。それを知れば、ワイン・ライフが
更に充実する事、間違いありません。さあ次回は守備範囲の広い
シェリーの世界をタップリ覗いてみましょう。