この白ワインの最大の特徴はタンニンの存在感。白ワインなのに
タンニン(渋味成分)があるの?タンニンって、赤ワインやロゼ
ワインにあるものだと思っていたけど...。と言われそうですが。
はい、白ワインであってもタンニンの存在を感じる場合があり、
その多くは果皮の色が深い紫色のブドウ(総称し、黒いブドウ)
や果皮の色が灰色を帯びた薄い紫色やピンク色のブドウ(総称し、
グリブドウ)で造ってあります。
ワインの色は原料ブドウの果皮の色素が果汁に移行し、その果汁
を発酵させた結果、ワインに色が備わったのであって、黒ブドウ
やグリブドウの果皮の色素を果汁に移さず、つまり果皮を果汁に
浸漬せず(マセラシオンせず)ワイン造りを行えば、果汁は白の
ままでワインに変化しますので、誕生するワインは白です。
しかし、果汁に色が付かなくても、黒ブドウやグリブドウが持つ
渋味成分(タンニン)が圧搾し、果汁を取る際に、主に果皮から
果汁に染み出し、それがワインへと移行します。これが白ワイン
であってもタンニンを感じる所以です。
そのタンニンの存在感はワインを味わった時に心地の良い苦味の
あるコクとなって感じられ、その苦味旨味に着目すると、ワイン
と好相性の料理や食べ物が自ずと明らかになります。
砂肝、軟骨、根野菜、きのこ、頭足類など、噛んでいると心地の
良い苦味旨味が甘味旨味と共に広がる食材を火を通し、塩で味を
整えた料理は最適な相棒ですし、大根やカブの塩浅漬けをつまみ
つつでさえ、そのタイプの白ワインは素晴らしいマリアージュを
奏でてくれます。
それを踏まえ、「エリンギの串焼き塩味」、「カブの塩浅漬け」
「ホワイトアスパラガスのソテー塩味」、「砂肝の串焼き塩味」
「薬研軟骨串焼き塩味」にペアリングしたら良いだろうと考え、
その内、To go可能な3品とワインを実際に合わせてみました。
是非、試して欲しいと思った2つの組み合わせがありましたので
紹介します。
その前にワインの紹介を。グリブドウであるPinot Gris/ピノ・
グリで造った白ワインです。既に述べました通り、グリ品種から
の白ワインが持つ典型的特徴を明確に備えています。
リッチでグラな厚みのある酒質は白ワインですが、赤ワイン的な
ふくよかさがあり、フルボディーのワインと言えます。目で確認
していますから、目前のワインは白ワインと捉えていますが目を
閉じていてこのワインをテイスティングしたなら、そのボディー
のふくよかさと明確に感じるタンニンの存在で赤ワインと感じる
可能性がとても高いと思われます。
重厚感を感じつつ広がるこの白ワインの香味に更に深みが備わる
余韻には熟成によって生まれた香り(ブーケ)、大地を思わせる、
テイスティング用の表現で言う所のアーシーさがあります。
やタンニンがリンクし、カブのアーシーさと根野菜特有の苦味を
伴う旨味がワインの持つ同系の要素とリンクします。
ひとつのワインに全く異なる料理、食べ物が同様のマリアージュ
を奏でる。興味深く、不思議な事ですが、ワインと料理や食べ物
との間に共通する要素がありさえすれば、両者はマリアージュを
奏でますのでひとつのワインに対し、複数の料理や食べ物を一緒
に合わせ楽しむ事が可能なのです。
なる程、高まります。画像で確認できますが、カブの塩浅漬けは
キュウリと共にパックされていて、カブとキュウリはお互いに味
を侵食し合っています。もし、それがカブだけの塩浅漬けだった
なら、ワインと共通する香味が増しますので、より密なリンクを
し、マリアージュの完成度が高まるでしょう。カブだけの商品を
見つけ、購入し、今日紹介のワインにペアリングしてみて下さい。