2021年1月15日金曜日

ワインが飲みたくなるカップ麺

常識なんて自分で創ってしまえ。ワインと料理のペアリング
に関してはいつもそう思っています。法を犯さない、他人に
迷惑をかけないのならOKでしょう。
30年以上も前、このワイン業界に入った頃、汁ものにワイン
を合わせないと教わった事を覚えています。今、思えば何て
浅はかな教えなんだと思わずにはいられません。
ワインの多様性は多くの方が実感していると思います。その
多様性こそが限界を創らない。不可能と言う事象を創らない。
そう思っています。
枝豆に合うワインだってあります。日本そばに合うワインも
あります。群馬県の名物、「焼きまんじゅう」に合うワイン
さえあります。どんな料理、食べ物にも合うワインが間違い
なく存在します。要はそれを探し出せるか否かです。
近年のインスタント食品の進化には驚かされます。料理人も
顔負けの味わいです。そんなインスタント食品、特にカップ
・ラーメンを相手にワインとのマリアージュを完成させる事
に凝っています。
この度、近年では最もワインが飲みたくなる衝動に駆られる
風味を備えたカップ・ラーメンに出会いました。そのカップ
・ラーメンがこちら!!「MEGA鶏 濃厚鶏そば」です。



スープは本場、博多の鶏の水炊きを彷彿させる濃厚さがあり、
かやくの鶏肉の風味のアクセントがリッチさを添えています。
この様な風味には木樽で発酵や熟成をし、オイリーな芳醇さ
を備えた白ワインがベストの相棒です。




そのタイプの最も一般的で、お手頃価格の入手可能なワイン
は、Chardonnay/シャルドネと言うブドウで造られ、チリ産
なら1,000円程で、東ヨーロッパの国々やオーストラリア産
なら1,500円程で、西ヨーロッパの国々やアメリカ合衆国産
なら2,000円程で販売されています。
シャルドネで造った白ワインがどうして鶏の水炊きの様な、
そして鶏肉のリッチな風味のアクセントがあるスープに合う
のか。それは全てではありませんが、シャルドネの白ワイン
の造り方に起因し、その結果、備えた香りや味わいとその様
なスープに多くの共通する要素が存在するからです。
ワインと料理の相性の良さを決定づけるもっとも基本な事は
両者に同じ要素(香りや味わい)があり、それがリンクする
事。そうなればワインと料理が良くマッチし、マリアージュ
を奏でてくれます。
シャルドネも含め、白ワインの造り方は大きく分けて2通り
あり、次の様な感じになります。
ブドウ→圧搾→果汁→[ 発酵 ]→[ 熟成 ]→瓶詰→熟成→販売
[ 発酵 ]と[ 熟成 ]の所を少々、詳しく見てみますと、発酵を
{ステンレスタンク}で行う場合と{木樽}で行う場合とが
あり、熟成も{ステンレスタンク}で行う場合と{木樽}で
行う場合とがあります。
白ワインが木樽の中にある時、木樽の持つ成分がワインへと
湧出します。具体的にはオイリーさを始め、ミルク、ナッツ、
トースト、ビスケット、カスタードクリーム、カフェ・オ・
レ、ホワイトチョコレートなどをイメージできる風味です。
そこに鶏の風味や鶏の水炊きの様なスープに共通する要素が
ない様に思われますが、良く見て頂くと、先ずオイリーさが
共通です。そして鶏肉の特徴として、火が入るとナッティー
な風味を備えます。また、凝縮したスープにはミルキーさ、
カスタードクリームやカフェ・オ・レに類似する風味も存在
し、かなりの割合で白ワイン@木樽と共通しています。
ここで疑問がある方がいるかもしれません。別にシャルドネ
でなくても良いんじゃない?と。それがダメなんです。木樽
の中で過ごす事でワインが木樽の持つ要素を身に着けますが、
その要素と原料ブドウ由来の要素が重合し、新たに別の風味
を形成します。
火の入った鶏肉を思わせる風味は木樽と合体したシャルドネ
の白ワインならではもので、他の品種の白ワインでは鶏肉を
思わせる風味が発出しないのです。だからシャルドネである
事がマストなのです。
当店には今日紹介のカップ・ラーメンの風味にマリアージュ
するシャルドネの白ワインが多数ありますが、中でも香りが
よりリンクするワインを今日はお勧め致します。そのワイン
がこちら!! 



*Vine in Flames 2019 Dealu Mare Chardonnay
ヴァイン・イン・フレイムス19デアル・マーレ、シャルドネ
(デアル・マーレはルーマニアで最も著名なワイン産地です)
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある、やや辛口>
1,600円
カップ・ラーメンは仕上げに香味油を加えるのですが、その
香りがヴァイン・イン・フレイムスが持つ香りにとても良く
相乗します。両者の味わいの相乗だけでなく、香りさえ密接
にリンクしますから、パーフェクトとも言えるマリアージュ
がそこに存在する訳です。
カップ・ラーメンを食べながらワインを合わせ楽しんだって
良いじゃないか。そこには素晴らしいマリアージュが潜んで
いるのだから。当店お勧めの至福のマリアージュをこの機会
に是非、ご堪能下さい。