寒さが日に日に増しています。この状態になると落ち着いた香味
で、重厚さと柔和な深みのバランスのとれた赤ワインが心地良く、
野趣さと深い味わいのある料理に合わせ楽しみたくなります。
そんな赤ワインはないかと久し振りにフランスのボルドー地方、
Saint-Emillion/サンテミリオン地区のワインを複数種類仕入れて
みました。
その内の一つ、サンテミリオン衛星地区(サンテミリオンの村に
隣接する小地区)のPuisseguin Saint-Emillion/ピュイスガン・
サンテミリオン(衛星地区を構成している一つの原産地呼称)に
ある造り手、Chateau Beausejour/シャトー・ボーセジュール、
ヴィンテージは2015をテイスティング。その酒質は真に思い描く
理想通りのそれでした。
その様な香味を備えた赤ワインに、鴨肉のあの料理を合わせたい。
そう目論んでいましたから、願ったり叶ったりのチャンスの到来
です。
シャトー・ボーセジュール2015はどの様な酒質なのかと言います
と次の通りです。
外観:色合いは薄くもなく、濃くもなく、中庸です。色調は十分
な熟成感あるルビー色で、ワインのエッジ(縁)にオレンジ色の
ニュアンスが出始めようとしています。
香り:オリエンタルなスパイスを思わせる香りと野趣な赤身肉を
イメージさせる香り、更に、緑黄色野菜やハーブを思わせる香り
が共存しています。これはMerlot/メルロとCabernet/カベルネ
と言う2つのブドウ品種に由来していると考えられます。
また、キノコのソテー、なめし皮、秋や雨後の大地のアーシーさ、
茹でたジビエ肉を連想させる香りもあります。こちらは熟成から
生まれるブーケと総称される香りです。
味わい:野趣なニュアンス(血合いぽさ、ソテーした動物赤身肉)
をより明確に感じます。
酸度はやや高めで、ミネラリーなメリハリがあり、それらに支え
られ、多めに含有されたタンニン(渋味成分)に鉄分ぽさが伴い、
豊かなボディーを構成しています。
味わいの広がりの中盤から後半にかけ、シダ、タバコ、鉛筆の芯
を思わせる口中香(これはカベルネでもCabernet Sauvignon/
カベルネ・ソーヴィニョンではなく、Cabernet Franc/カベルネ
・フランと言う品種からできる赤ワインの特徴)が広がり、また
不変の存在感のミネラリーさ、野趣さ、鉄分ぽさ(これもフラン
の特徴の一つ)が混在します。
余韻:豊かな深みが広がり、長く持続します。ジビエ肉の料理を
食べたい衝動に駆られるニュアンスに満ちたフィニッシュを迎え
ます。
この様なワインですから、本当にもうあの料理を一緒に合わせ、
パーフェクトなマリアージュを堪能しなければ気持ちが収まる事
はないでしょう。
あの料理とは...。当店近くにあるOyster and Wine Bar RITZ/
リッツ特製の鴨肉のリエットです。香ばしく焼いたバゲットの上
にタップリと敷き詰められ、その上にチーズ、ドライ・トマトが
乗り、更にオリーヴ・オイルが程良くかけられています。
それを少しずつ食べてはワインを飲み、また食べては飲むの繰り
返し。これを続けている限り至福の時間が流れます。鴨肉の料理
であってもローストした料理や煮込んだ料理とは異なる味わいの
深みがリエットにはあり、メルロの野趣さとカベルネ・フランの
ミネラリーさ、鉄分ぽさの個性がミックスした今日紹介のワイン
とは好相性です。
シャトー・ボーセジュール 2015 ピュイスガン・サンテミリオン
を当店でゲットしたなら、次はリッツからリエットをto go!!後は
ご家庭でゆっくり至福のマリアージュをご堪能下さい。
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
チーズなら、ブリー。
飲み頃温度:19度。
<熟成感十分なミディアム~フルボディー>
4,000円