チーズを食べながら日本酒を楽しむ人は結構いると思います。が、
パンを食べながら日本酒を飲む人はどうでしょうか?以前の自分
でしたら、そんな人いる訳がないと決めつけていたでしょう。
ワインと料理のマリアージュを奥深く追及する様になって久しい
ですが、その波及効果で合いそうもないと思われがちな食べ物に
日本酒をペアリングさせ、その相性研究をする事にもかなり執念
を持って行っています。
日本酒もワイン同様、料理、食べ物との相性に優れるには両者に
共通の要素がある事が大前提で、共通項が多ければ多い程、その
相性度が高まります。
ソムリエ仲間でもある平谷さんがファミリーと共に営むカフェ・
ベーカリー「花にかこまれてGarden Cafe南の麦」が足利市八幡
にあり、週に1回立ち寄り、お決まりのパンを昼食用にto goして
います。
その中の1つを食べる時、常に「この風味には山廃仕込の純米酒
が間違いなく合う」と思っていたのですが、当店はワイン専門店
で、日本酒の販売は2月~4月頃に行う小布施ワイナリーの逸品
のみですので、実際に合わせ楽しんではいませんでした。
ところが取引しているワインの輸入元が日本酒の取り扱いを開始
しましたので、所縁のある新潟県小千谷にある酒蔵の商品を自己
消費用に仕入れ始めました。それでそのパンと山廃仕込の純米酒
あるいは別の日本酒ともペアリングをしてみている訳です。
羽の様にパンの底部に広がるこんがり焼けあがったチーズの風味
が純米酒、中でも山廃仕込のものにとても良くリンクし、ワイン
とでは創り出せない別のマリアージュの世界を創造してくれます。
山廃仕込の純米酒には一種の焦げ風味(和釜で炊いた米の焦げ、
焼いた餅、溶かし焼いたハードタイプのチーズなどを思わせる)
があります。そのニュアンスが同様にチーズ・ボールに感じられ、
また、日本酒全般に感じられる乳系の風味、イースティーな風味
がパンの内部の白い部分と融合します。
焦げた様なニュアンスの風味、乳系の風味、イースティーな風味
と言った共通の要素がある事で、チーズを使ったパンと好相性の
樽風味を感じるコクのある白ワインとは異なる、時にはそれ以上
のマリアージュを奏でてくれます。
山廃仕込の純米酒の風味を活かすパン。そしてパンの風味を更に
引き立てる山廃仕込の純米酒。パンを食べながら日本酒だって良、
絶対ありです。是非、それらが織り成す素晴らしいマリアージュ
をご堪能下さい。