今年は新型コロナウイルスの影響を受け、様々な所で以前とは
異なる状況になっています。Nouveau/ヌーヴォーも例年なら
とっくに完売しているのですが、今年は完売していない商品が
まだあります。
もうあきらめて全て自己消費にしようと思っていたのですが、
11月第3木曜日の解禁日から約1か月経過し、酒質が落ち着き、
香味がこなれて来たのを確認しましたので、その良好な状態を
皆様にも知って頂きたい、実感して頂きたいと思い、案内する
事にしました。
ワインも私たち人間と一緒で旅をすると疲れます。その疲れを
取り去るのに少々時間が必要です。また、ヌーヴォーは発売日
がワイン法で決まっていますから、ワインが出来上がってから
通常のワインの様に香味を洗練させる十分な時間がありません。
つまり、香味がこなれていない訳です。
それは全て解禁日に間に合う様にフランスから輸送され、11月
の第3木曜日から発売すると定められているヌーヴォーの宿命
でもあるのですが。
そんなヌーヴォーの酒質を落ち着かせ、バランスを洗練させ、
香味がこなれてから楽しめるのはワイン商の特権です。一種の
イヴェント、お祭りですから解禁日に楽しむのは自然なのです
が、個人的考えではXmas頃(タレ味のローストチキンと一緒
に)や正月(醤油で調理したおせち料理に合わせて)に楽しむ
のが良いのではと思っています。
また、ヌーヴォーと言っても決して年内に消費しなければダメ
と言う事ではなく、中には数年の、あるいはそれ以上の長期の
熟成に耐え、素晴らしい酒質に向上、発展するヌーヴォーさえ
あります。
今までに味わった中で最も熟成期間の長いBeaujolais Villages
Nouveau/ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーは10年もの
で、店内のセラーにあった1999ヴィンテージを昨年、味わい、
その香味はまるで高級なPinot Noir/ピノ・ノワで造ったワイン
の様でした。
それでは約1か月の洗練期間を経て、劇的な変化を遂げ、次元
の違う高みへと到達した2種類のボージョレ・ヴィラージュ・
ヌーヴォーがこちら。
果実味がリッチに凝縮しているDominique Perron/ドミニク・
ペロンとピンク・ペッパー様のスパイシーさがあるDomaine
de la Madone/ドメーヌ・ドゥ・ラ・マドヌです。
ドミニク・ペロンの果実味のリッチさが「すき焼きの割り下の
濃さ、甘辛さ」に、マドヌのスパイシーさが「カレーのホット
でスパイシーな辛さ」に合うだろうと予測。すき焼きはHotto
Mottoで、カレーは吉野家で購入し相性実験開始。ペアリング
のその結果は...。
+HottoMottoすき焼き=パーフェクトなマリアージュ
とフルーティーな赤ワインの相性はとても良く、更にワイン
にリッチな果実味があれば、割り下の様に煮込まれ、凝縮した
旨味とも好相性です。
また、この赤ワインに内包された原料ブドウ由来の要素、動物
の赤身肉を思わせる風味や野菜の持つ大地の風味にリンクする
アーシーさが割り下がからまった具材の風味と融合します。
・Dom. de la Madone 2020 Beaujolais Villages Nouveau
+吉野家カレー=なかなか良いマリアージュ
カレーと熟成感ある赤ワインには共通の要素(ソトロンと言う
成分)があり、それが両者を強く結び付けます。このワインは
ヌーヴォーではありますが、ヌーヴォー用のいわゆる速醸造り
(専門用語でマセラシオン・カルボニークと言います。)では
なく、赤ワインの為の通常の醸造で造った数少ないヌーヴォー
です。
その結果、ヌーヴォーではあってもソトロンの含有量が多く、
カレーの風味にマッチし易くなります。ヌーヴォー・ワインと
しては別格のタンニン(渋味旨味)含有量を持っていますが、
カレーの深みには少々物足りない。それがなかなか良いと評価
した理由です。