1週間後の今頃(19日の解禁日の翌日)にはもう既に多くの方が
Beaujolais Nouveau/ボージョレ・ヌーヴォーを味わい終わって
いる事でしょう。
ところでボージョレって、ヌーヴォーの存在感もあって、とても
有名なワインなのですが、実は白もロゼも赤もあり(ヌーヴォー
には白がありませんが)白はChardonnay/シャルドネと言う品種
で、ロゼと赤はGamay/ガメイと言う品種で造ると原産地呼称法
(ワインの法律)で定められています。
ですからボージョレ・ヌーヴォーのロゼも赤もガメイで造られて
いる訳です。ガメイと言う品種は赤ワインで見てみますと、様々
なタイプのワインへ変身します。軽快でチャーミングなワイン、
果実味がリッチでとてもパフュームなワイン、タンニン(渋味)
の存在感がシッカリあり深みのある味わいのワインと言った具合
に。
ボージョレ・ヌーヴォーの場合、殆どのワイン(赤)は1番目と
2番目のタイプになり、少々冷やしめで味わうととても心地良く
楽しめます。
稀に3番目のタイプもあり、また、格上のBeaujolais Villages/
ボージョレ・ヴィラージュやBeaujolais en Parcell/ボージョレ
・アン・パーセル(区画名入り)のヌーヴォーはかなりの比率で
3番目のタイプになります。
色々な品種の赤ワインを飲んでいる人とってはPinot Noir/ピノ
・ノワの赤ワインと3番目のタイプの赤ワインは類似性があると
言えば、解りやすいでしょう。
ヌーヴォーの解禁日を来週の木曜日に控え、ガメイの赤ワイン
とピノ・ノワの赤ワインとに類似性がどのくらいあるのか知る
のも良い予習になると考え、新着の2種類の赤ワインを紹介し、
それらの飲み比べを是非、お勧めしたいと思います。飲み比べ
して頂きたいワインがこちら!!
先ずはBlauburgunder/ブラウブルグンダー(イタリア北部や
オーストリーなどでピノ・ノワの事をこう呼びます。)です。
ムリ・グリ2018ズートティロール、ブラウブルグンダー
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。チーズなら
パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
3,000円
色合いは薄めですが、味わいの広がりは十分にあります。モカ
コーヒー、ベリー果実入りチョコレートを思わせる香りに加え、
この品種の高貴さを象徴するスミレ様のパフュームさ、ベリー
果実のコンポート、特にラズベリーの、の華やかさも感じます。
更に火の入った動物赤身肉のヒントもあり、単にチャーミング
なだけでなく、複雑さが同居しています。
尖ったアタックは全くなく、シルキーで、柔和な厚みがあり、
とても上品な酒質です。果実味、タンニン、樽熟成由来の成分
が密に融合し、甘酸苦渋の4つ要素の優美なハーモニーが口中
を満たします。美と言う形容が相応しいワインです。
そしてボージョレ、つまりガメイではなく、何も知らなければ
ピノ・ノワの赤ワインと思ってしまうボージョレがこちらです。
ドメーヌ・ド・ラ・マドヌ2017ボージョレ・レ・ペレオン
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。チーズなら
パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
3,000円
色合いから想像できる様に内容の充実した酒質をしています。
ブラックベリー、甘草、シナモン、皮革、きのこソテーを連想
させる深みのある香りがあり、ここで既にガメイと言うよりも
ピノ・ノワの赤ワインと思ってしまいます。
グラスを回し、ワインを空気に触れさせると、やはりスミレを
思わせる高貴な香りが立ち、完全にピノ・ノワのワインである
と思わされます。
酸味はやや高めで、ミネラリーさも十分、タンニンは中程度の
含有量ですが、樽熟成由来の成分がリッチに、そしてオイリー
に広がり、豊かなボディーを構成しています。
ワインが空気に触れるに従い紫色のイメージの高貴さが増し、
同時に大地の香りや動物赤身肉を食べたくなる様なワイルドな
香味が明確化します。これはもうガメイの赤ワインの常識外の
芳醇さで、マドヌが造るこのボージョレがいかに凄いレヴェル
なのかを物語っています。