食の不毛地帯と言われがちなイギリス。その地の代表的とも言える
料理のひとつにFish and Chips/フィッシュ・アンド・チップスが
あります。
フィッシュ・アンド・チップスは世間で言われている様にファスト
・フードでしょうか？ジャンク・フードでしょうか？現地で本格的
なフィッシュ・アンド・チップスを食べるまでその様に思っていた
事は事実です。
でも、Bexhill/ベクスヒル（イングランド南東沿岸のEast Sussex/
イースト・サセックスにある小さな街）で出会ったそれは想像して
いたものとは全く異なる、日本で言うなら専門店の天ぷらに匹敵、
食べ物、いやそう言っては失礼、立派な一品料理でした。
その店は注文を受けてからタラをさばき、ジャガイモをカットし、
丁寧に揚げてくれます。出来上がるまでに20分超。時間がかかると
初めに言われ、その辺を散歩して来たらと提案される程で、丁寧な
仕事とホスピタリティーに満ちた接客が印象的です。
その様な店のフィッシュ・アンド・チップスですから、ファスト・
フードやジャンク・フードの様な訳がありません。それ以来、機会
がある毎に色々な場所、色々な店でフィッシュ・アンド・チップス
を食べて来ましたが、ベクスヒルの店に匹敵する程のフィッシュ・
アンド・チップスに出会う事はありませんでした。
ところが遂に出会えました。それは当店のお得意様、Oyster and
Wine Bar RITZ/オイスター・アンド・ワイン・バー・リッツで。
リッツはオイスター・バーですが、肉料理やパスタ料理なども充実
していて、頻繁に利用してもその度に異なる楽しみを味わえます。
今、こんな状況ですので、いくつかの店で夕食をTo goしています。
もちろんリッツでも。
そのリッツで、べクスヒルのあのフィッシュ・アンド・チップスに
匹敵するフィッシュ・アンド・チップスを初めてTo goしました。
これをTo goしたなら、あなたはどんなワインを一緒に楽しみます
か？
・フィッシュ・アンド・チップスをそのまま食べる
・フィッシュ・アンド・チップスにレモン果汁をかける
・フィッシュ・アンド・チップスにモルト・ヴィネガーをかける
恐らくこの3通りの食べ方があると思います。フィッシュ・アンド
・チップスの風味には赤ワインに通じる要素がありませんので、
赤ワインと共に楽しむと言う選択肢はなしです。
残りは白ワインとロゼワインですが、どの様に食べるかで白ワイン
が良いのか、ロゼワインが良いのか、それともどちらでも対応可能
なのかが決まります。
・そのまま食べるのなら
揚げ物のきつね色の衣に含まれた程良い油分と、ロゼワインが持つ
赤ワイン程ではないタンニン（渋味成分）の旨味との相性はとても
良く、例えば、春巻きや揚げしゅうまいを餡の味わいだけで食べる
時にはロゼワインが大活躍します。
それがそのままフィッシュ・アンド・チップスにも当てはまり、衣
（きつね色に揚がった部分）とロゼワインとのハーモニーが生まれ
ます。
また、酸味のシャープ過ぎない白ワインとの相性にも優れています。
白ワインは含まれている酸味の質で大きく３つのタイプに分ける事
ができます。
ワインの酸味は柑橘果実やリンゴをかじった時に口の中にシャープ
に、そして爽快に主張するリンゴ酸と日本酒が持つミルキーな酸、
乳酸の2つがあります。
ワインはブドウから造られる事はご存知の事と思いますが、果実は
リンゴ酸を豊富に備えていて、その果汁も同様です。その変化形が
ワインですから、通常、ワインはリンゴ酸を持っています。
乳酸に変わる過程があります。それは発酵と言う過程のひとつで、
Malic Acid/マリック・アシッド（リンゴ酸＝フレッシュで爽やか）
とLactic Acid/ラクティック・アシッド（乳酸＝柔和でコクのある）
のMalicとLacticからMalolactic Fermentation/マロラクティック・
ファーメンテーション（略してMLF）と呼ばれています。
白ワインには大きく3つのタイプがあると言うのは、MLFのワイン
への関与がどれくらいあったかにより、「リンゴ酸だけを含有」、
「乳酸も含有」、「乳酸だけを含有」と言った感じになるからで、
その酸味の質、存在が料理との関係を疎遠にしたり、緊密にしたり
します。
つまり、フィッシュ・アンド・チップスで見た場合、そのまま食す
のなら、油分と相性の良い乳酸を含んだ白ワインが良く、レモンの
果汁をかけるのなら、果汁のリンゴ酸に合わせ、リンゴ酸の存在が
明確な白ワインが良く、モルト・ヴィネガーをかけるのなら、その
オイリーさと長期熟成からの深みある味わいに合わせ、乳酸だけを
含んだ白ワインがベスト・パートナーとなります。
・フィッシュ・アンド・チップスをそのまま食べる
リンゴ酸と乳酸の共存した白ワイン
ロゼワインもOK
・フィッシュ・アンド・チップスにレモン果汁をかける
リンゴ酸の主張がハッキリある爽快な香味の白ワイン
・フィッシュ・アンド・チップスにモルト・ヴィネガーをかける
乳酸の旨味がシッカリ広がるコクのある白ワイン
ロゼワインもOK
となります。
RITZのフィッシュ・アンド・チップスをTo goするのなら、当店で
その様なワインを是非、お買い求め下さい。
もかけないで食す時に最適な超お手頃、超コストパフォーマンス良
の白ワインが上の画像のワインになります。
＊Terra Vega 2019 Chardonnay / テラ・ヴェガ、シャルドネ
飲み頃温度：8～10度。
＜軽く、まろやかな、やや辛口＞
小布施ワイナリーのこのChardonnay/シャルドネ、ミネラリーで
リンゴ酸の主張が綺麗に広がり、フィッシュ・アンド・チップス
にレモンをかけるなら間違いなく至福のハーモニーを奏で、最高
のマリアージュを創造してくれます。
少々お高いワインですが、ちょっとリッチに行きたい時には是非、
このDomaine Sogga ChardonnayでRITZのFish and Chipsを!!
