2020年10月8日木曜日

同じブドウで造ったロゼと赤

果皮の色が紫色をしたブドウをワインの醸造に於ては大別して
黒ブドウと呼んでいます。この黒ブドウからは白ワインも、赤
ワインも、そしてロゼワインも造る事ができます。それは果皮
の色(色素)を果汁にどの様に移すかで行います。
ブドウを圧搾し、出た果汁だけをそのまま発酵させるならその
果汁は白ですので白ワインができます。白い果汁に果皮を浸漬
し、その果汁を発酵させればロゼワインや赤ワインができます。
果皮の処理の仕方で同じ黒ブドウから3つの色のワインができ、
例えば、Sangiovese/サンジョヴェーゼと言う黒ブドウならば
その品種名がラベルに記載された赤ワイン(これが一般的)、
Bianco di Sangiovese/ビアンコ・ディ・サンジョヴェーゼと
言った様な記載の白ワイン、Rosado di Sangiovese/ロザート
・ディ・サンジョヴェーゼなどと記載のロゼワインが存在する
訳です。
黒ブドウからは3つの色のワインを造り出せる事が判りました。
色の違いは何でしょうか?白ワインになくて、ロゼワインと赤
ワインにはある。これが色の違いです。



果皮から果汁に移行した色(色素)はタンニン(渋味成分など)
を主としたポリフェノールです。白ワインにはポリフェノール
がほとんどありませんので、色がなく、白なのです。
一方、ロゼワインと赤ワインは白い果汁に移した色(色素)、
つまりタンニンを主としたポリフェノールがありますので、白
ではない色をしている訳で、白ワインとは異なる渋味を感じる
のです。
極めて簡単に言えばタンニンを主としたポリフェノールがない
ので、その色がなく、それは白ワイン。あるからその色があり
ロゼ色や赤色をしている。これが白ワインとロゼや赤ワインの
違いです。
同じ黒ブドウで造った色の異なるワインを飲み比べた事があり
ますか?それも同じ生産者で、同一ヴィンテージのワインを。
今なら、それができます。
イタリアワインなのですが、Sangiovese/サンジョヴェーゼで
造ったロゼワインと赤ワインです。
ロゼと赤には共にタンニンを主としたポリフェノールがあり、
その含有量の多少が色の違い、ロゼと赤になっているのです。
白い果汁に黒ブドウの果皮を浸漬し、その色素を白い果汁へと
移し、ロゼや赤にするのですが、イメージしてみて下さい。
白い果汁に黒ブドウの果皮の色素が染み出すと、その果汁が色
付き始めます。白から淡いロゼ色へ。淡いロゼ色から濃いロゼ
色へ。濃いロゼ色から淡い赤色へ。淡い赤色から濃い赤色へ。
WINE PRODUCTION画像の中のピンク色の丸で囲んだ過程に
費やす時間がキーポイントです。




タンニンを主としたポリフェノールが果汁へと移行すればする
ほど、濃い色となり、渋味成分が多くなる。つまり、ロゼより
赤ワインの方が渋い。ワインメイキングに於て、ロゼワインは
赤ワインの手前なのですから。
机上の理論でのロゼワインと赤ワインの違いが判った所で今度
は実際に五感でその違いを感じてみて下さい。色が違うと香り
が違う。香りが違うと味わいが違う。
面白い事に色と香りは連動しています。ロゼワインにはザクロ、
アセロラ、サクランボの香りがあります。赤ワインにはそれら
よりももっと濃い赤色や黒みを帯びた赤色の果実の香りがあり
ます。ブラックベリー、アメリカンチェリーと言った感じです。
そして味わいにも大きな特徴があります。ロゼワインは酸味を
基調としている事が多く、赤ワインは渋味を基調としている事
が多いのです。
これは相性の良い料理にも反映され、酸味を基調としたロゼは
トマトソースなど酸味の効いた味わいの料理が欲しくなる味を
飲み手に感じさせます。だから、ケチャップをかけたオムレツ、
ピッツァ・マルゲリータ、スパゲッティ・ナポリタン、トマト
スープのロールキャベツなどと好相性です。
渋味を基調とした赤はその芳醇さから、煮込み料理、ソースや
醤油で味わいを整えた料理などと好相性になります。
前者の料理から1品、後者の料理から1品を用意し、今日紹介の
ロゼと赤の違いを感じながら、それぞれの料理にロゼ赤の両方
を合わせ、その相性を比べてみて下さい。非常に興味深い時間
を過ごせるでしょう。
ワインの奥深い、そして無限に広がる可能性をこの機会に是非、
ご堪能下さい。



*Poggiotondo 18 Toscana Rose
 ポッジョトンド18トスカーナ・ロゼ

飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口>
1,800円
*Poggiotondo 18 Toscana Rosso
 ポッジョトンド18トスカーナ・ロッソ

飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
1,800円