2020年10月13日火曜日

変身する所がワインの一つの面白さ。第2課/di er ke

生き物はその存在する環境に影響を受けて育ちます(生命活動を持続
します)。興味深い事ですが、ユーカリに囲まれたブドウ畑で育った
カベルネ・ソーヴィニョンで造った赤ワインにはユーカリの香りが、
ガリーグ(石灰岩の大地に生えた低木)に囲まれたブドウ畑で育った
グルナッシュやカリニャンで造った赤ワインにはガリーグ(乾燥した
ハーブの様な)の香りがあります。
ブドウの樹が呼吸し、空気中に漂っているユーカリの香りやガリーグ
の香りを取り込み、それが実に蓄積する為です。そして、その香りを
感じる事で、そのワインの産地を推測できるのです。ユーカリの香り
のあるワインならばオーストラリア産ではないか。ガリーグの香りが
あるワインならば海沿いの石灰岩がむき出しになっているエリアでは
ないかと。

この度、中華人民共和国から初めてやって来た美乐/Mei yue(中国語
でMerlot/メルロ)の赤ワインには個性的な香りが備わっています。
神秘的な香りです。オリエンタルなスパイシーさを感じます。


 


この赤ワインの産地「寧夏回族自治区の宁夏贺兰山/Ningxia Helan 
Mountain(ニンシア・フラン・マウテン)」が中国大陸の画像の中
の青い楕円の当たりですが、シルクロードからそう遠くはないからで
しょうか。シルクロードを行き交うスパイスの香りが空気中に漂って
いて、それをブドウが取り入れたのではと想像できます。これも産地
特性です。




オリエンタルなスパイシーさとは、どんな感じでしょうか?東洋的な
香りを感じるスパイスですから、私達に馴染みあるものですと山椒、
八角、丁子などでしょう。




今日、紹介の赤ワインは特に山椒のヒントと八角のヒントを感じます。
この香りに同系の要素を融合させると内包されていたメルロの一般的
な特徴であるスミレの花の香り、血合いを感じる赤身肉の料理を食べ
たくなる風味が浮き出て来ます。そうなれば皆様に馴染みのメルロの
赤ワインに変身した訳です。
ワインはワイン単独で味わった時の判断だけではなく、マリアージュ
する料理と出会った時に浮かび上がって来る要素をも判断し、評価を
してあげるのが良く、その時々ならではの様々な表情を感じ、楽しむ
と良いと思います。




・八角の風味の効いた豚の角煮
・山椒を少々多めに振りかけた煮穴子
などと好相性のメルロの赤ワインがこちら!!




*賀 喜悦 2015 宁夏贺兰山 美乐
 フ シーユエ 2015 ニンシア・フーランシャン メイユエ

相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
        チーズなら、パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアム~フルボディー>
2,500円