2020年9月29日火曜日

こんがりと焼けたチーズには

きつね色にこんがりと焼き目の付いたチーズが食欲を掻き立てるパン。
食べ物を見ると条件反射でこれにはこのワインが良いかな。と直ぐに
思いを巡らせてしまうのですが、あなたならその様なパンを食べる時、
どんなワイン、どんな飲料を合わせ、楽しみますか?



チーズの主原料はミルク。パンの主原料は小麦粉ですが、その味わい
はイースティーさ、ミルキーさ、クリーミーさもあり、チーズの持つ
要素と同じ方向を向いています。別の言い方をすれば、両者には乳系
(乳酸的な)の要素があり、それが味わいの核となっています。
その味わいの核となっている乳系のヒント、乳酸的な要素に着目する
と、合わせ楽しむべき(相性の良い)飲料が自ずと絞られます。
乳系のヒント、乳酸的な要素のある飲料と言えば何でしょうか?先ず
思う浮かぶのは日本酒です。特に純米酒で、山廃や生酛ならば、乳系
のヒントがより明確です。
他には何があるでしょうか?ワインはブドウが原料で、全てのワイン
が元々はブドウ由来のリンゴ酸を含有しているのですが、製造過程で
乳酸菌の働きにより、リンゴ酸が乳酸に変化する現象が起こり、これ
をMLF/マロラクティック発酵と言うのですが、深みのある味わい、
まろやかでふくよかな口当たりの酒質になります。
MLFは一部の白ワインとロゼワイン、ほぼ全ての赤ワインで行われ、
それらのワインは乳酸を含有し、乳系のヒントがある、乳酸的な味の
ある料理、食べ物との相性に優れる事になります。
きつね色にこんがりと焼き目の付いたチーズがあるパンには純米酒、
MLFありの白ワイン、ロゼワイン、赤ワインが選択肢となり、パンの
味わいの深みにより、白ワインにするのか、ロゼワインにするのか、
赤ワインにするのかを決定します。
純米酒であれば、ワインの時ほどパンの味わいの深さに影響を受けず、
白ワインに合いそうなパンなら冷えた温度で、赤ワインに合いそうな
パンなら冷やで(20度くらい)を目安にパンにマリアージュさせると
良いでしょう。
パンを食べながらワインや日本酒を楽しむと言う選択肢は多くの方に
とって今までなかったかもしれませんが、ワインを楽しんでいる合間
の口直し程度の存在にパンはとどまりません。この機会にパンを料理
と考え、色々なパンにそれに相応しいワインや日本酒を合わせ、その
マリアージュを是非、ご堪能下さい。
どんなパンを食べるのかお知らせ下さい。それに合わせ、素晴らしい
マリアージュを創造してくれるワインをお勧め致します。



ワインを飲む時に必ず食べるこちらのパン。ソムリエ仲間でパン職人
でもある平谷さんと彼の家族が営むアット・ホームな店「南の麦」で
買えます。
南の麦は月火定休、足利市八幡町の小高い丘にあり、花に囲まれた庭
があり、そこから見渡せる景色の素晴らしさは筆舌に尽くし難いもの
があります。
ほぼ毎週、買いに行くのですが、先日はワインではなく、ふくよかな
酒質の純米酒に合わせてみました。和釜で炊いた米の焦げを思わせる
風味のある純米酒に焼チーズのこんがり感とがパーフェクトと言える
マリアージュを創り上げていました。