以前では考えられない程、豊富な種類の調味料が売られていて、簡単に
手に入り、気軽に使えます。その為でしょうか。食べ物に条件反射的に
調味料をかけてしまい、食材本来の味を味わえていない事がかなりある
のではと感じています。
マグロの赤身の味を表現できますか?鶏のもも肉の味を表現できますか?
丸大豆で作った豆腐の味を表現できますか?恐らく、人に解る様に表現
するのは簡単ではないと思います。「おいしいですよ。」こんな表現は
論外です。
刺身を食べているのではなく、実際は醤油を食べている。鶏肉を食べて
いるのではなく、本当は焼肉のタレを食べている。豆腐を食べているの
ではなく、実は醤油を食べている。味の濃い調味料の無意識な多用で、
この様な感じになってしまっている現実が、食材本来の味を味わえなく
していると思います。
マグロの赤身に塩を少しだけつけて食べてみて下さい。鶏のもも肉を塩
だけで味を調え、食べてみて下さい。丸大豆の豆腐に塩をかけて食べて
みて下さい。きっと、今まで味わえていなかった本来の味をキャッチし、
その本来の味を生かしたワインとのマリアージュを楽しむ事ができる様
になるでしょう。
肉料理を食べる時に飲むワインは赤ワインと思われがちですが、確かに
赤ワインが良い時もありますが、選択肢として赤ワインが常に絶対では
ない事実があります。
白身の肉は焼いても白。赤身の肉は焼くとロゼ色や茶色っぽくなり、赤
ではなくなります。焼肉のタレなどで味を調えないで、塩で味を調えた
なら、その色はそのままです。これを利用してマリアージュを創造する
ワインを選ぶのです。
ワインと料理の相性の良さを決定付けるのは、使われている食材よりも
味付けに影響を受ける方が圧倒的に多く、同じ料理でもタレ味なのか、
塩味なのか、ポン酢で食べるのか、香辛料をかけるのかを考慮すると、
その料理とパーフェクトなマリアージュを奏でるワインが自ずと決まり
ます。
焼き鳥の塩味があります。鶏肉は肉ですから、赤ワインが良いと一般的
に思われがちです。しかし、その焼き鳥には赤ワインと融合する要素が
ほとんどありません。
鶏肉には牛肉や鴨肉など程に野趣な血合いぽさや鉄分ぽさがありません。
その様な要素が赤ワインを引き寄せますが、ないので赤ワインから離れ
て行きます。しかも塩のミネラル感が生きていますので、尚更です。
塩のミネラル感は白ワインのミネラリーさにとても良く融合し、食材の
味わいを引き立てつつ、その食材を白ワインに結び付けようとしてくれ
ます。
見た目が白っぽく、更に塩で味わいを整えてある料理ならば、肉、魚に
関係なく、白ワインと覚えておけば、これはひどいな。これは全く合わ
ないな。と言った失敗をする可能性がとても低くなります。
大豆の風味が生きた豆腐(ちょっと高いものを)に岩塩を少々振り、口
に運ぶ、その風味が消えない内にミネラリーで骨太な味わいの白ワイン
を味わう。そこに至福のマリアージュが広がります。
*Monte del Vigne Frizzante
モンテ・デル・ヴィーニュ、フリッツァンテ
イタリア北部エミーリア・ロマーニャ州産の微発泡辛口白ワインです。
原料ブドウ(Malvasia/マルヴァジーア)由来の豊かなミネラリーさと
心地良い苦味のアクセントが塩味とマッチします。
飲み頃温度:7度。
ありますが、それらは見た目がロゼ色であったり、きつね色であったり
し、かつ野趣な味わいがあります。白い印象ではありません。
色で考えるなら、同系色のロゼワインが良いのではとなります。実際、
ロゼワインは赤ワインを造るブドウで造られ、果汁の色が赤になる前に
果皮を果汁から取り除き、その果汁を発酵させワインにします。
果汁に果皮を漬け込んでおくとその果汁は白からロゼ色へ、そして赤へ
と移り変わって行きます。牛乳の中で苺をつぶすと、白からピンク色、
シッカリつぶせば赤色になる様に。
つまり、ロゼは赤の手前ですので、赤ワインが持っている要素と同系で
その量が少ないだけなのです。ライトな赤ワイン的と言えるでしょう。
ロゼワインには原料ブドウ由来の個性である野趣さも感じます。ライト
な赤ワイン的ですのでタンニン(渋味成分、鉄分ぽさなど)も感じます。
これは牛肉や鴨肉の持つ要素にリンクしています。だから素焼きにして
塩で味を調えた牛肉や鴨肉にロゼワインはマッチするのです。