2020年9月22日火曜日

こんなもんじゃないですから...

素晴らしいものを本来は持っているのにそれに気づかない、それを
気付かせてくれない、それを主張しない。そんな事は人に限らず、
ワインにもしばしばあります。
あのRomanee Conti/ロマネ・コンティ(世界最高峰の赤ワインと
認知されている)でさえ、飲んだけれど、言われている程、そんな
に凄いとは思わなかったよ。と時々耳にします。
ワインはその真価を発揮し、最も輝き、飲み手に多くの事を語って
くれる時があります。これを「飲み頃」と言いますが、この飲み頃、
そのタイミングを外してしまうとロマネ・コンティでさえ、普通の
赤ワインになってしまう程です。
Opus One/オーパス・ワンと言うアメリカ合衆国カリフォルニア州
ナパ・ヴァレーで誕生する超有名で、高品質の赤ワインがあります。
決して安くはなく、気軽に味わえるワインではないのですが、この
ワインを時々は楽しみたいと思うワイン・ラヴァーは多くいます。
当店のお客様にもいらっしゃって、オーパス・ワンは年に数回飲む
として、しばしば楽しめないオーパス・ワンの替わりに、オーパス
・ワンよりずっと安く、オーパス・ワンを彷彿させるワインを探せ
とのリクエストを受け、店でその様なワインを常時数種類販売して
います。
そんなワインの中で常に最もオーパス・ワンに類似し、それを彷彿
させるワインをPalmeyer/パルメイヤーと言うワイナリーがJayson
/ジェイソンと言うブランドで流通させていますので、リクエストに
応える時にお客様にお勧めしています。
オーパス・ワンもジェイソンもCabernet Franc/カベルネ・フラン
と言うブドウの主張のアクセントが効いていて、そのニュアンスが
実に良く似ています。
ジェイソンのヴィンテージが2016から2017に変わったのに伴い、
新ヴィンテージ商品を仕入れ、テイスティングしてみました。所が
今までで一番類似性がありません。どうした事でしょう。データが
示していますが、このヴィンテージでもカベルネ・フランを使い、
造ってあります。
でも、その存在感が抜栓直後のテイスティングではあまり、いや、
ほとんどありません。カベルネ・フランのアクセントがワイン全体
に効いていないと、華やかさも、高級感も、高貴さも、上品さも、
優美さもなく、オーパス・ワンと全く別のスタイルになってしまい
ます。
それはそれで良いのかもしれませんが、オーパス・ワンの代替品を
探せがミッションですから、予定外です。困りました。別のワイン
を早急に探さなければなりません。




もしかしたら空気接触で大化けするかも。と淡い期待を抱きつつ、
ボトルにコルクを差し、ジェイソン2017をワインセラーへ。16日
にテイスティング、そして18日。酒質の変化をチェックしてみる
事に。華やかさは出て来ましたが、そんな程度では満足しません。
コルクを差し、再びセラーへ。
20日、そろそろ良いだろうと期待を大きく膨らませて再チェック。
少々がっかりした16日から4日目。こんなもんじゃないですからと
思った18日から2日目。これこそジェイソン。遂に本領発揮です。
紫のイメージをシッカリとキャッチできます。ラヴェンダーの香り、
ブルーベリーの香り、インキーなパフュームさを。オーパス・ワン
にもあるカベルネ・フランの魅力的なアクセントです。
ワインは一般的に直ぐ飲む為に買う方が多いでしょうから、この様
な状態のジェイソンを今、どう真価、本領発揮へと持って行くか。
これは工夫が必要です。
毎日、グラス1杯ずつ楽しみ、4日目以降からの最高潮をジックリと
待つ。通常、飲む数時間前の所、夜に飲むのなら朝の内にデカンタ
にワインを移し、強制的に空気接触(酸化)させ、本領発揮させる。
今、飲むのなら、とにかく将来のジェイソンを今に蘇らせなければ
なりません。
オーパス・ワンが飲みたくなって、でも、ジェイソンでオーパス・
ワンを感じたい。そんなあなたが当店でジェイソンを買う時、一番
良い扱い方を相談の上、アドヴァイス致します。「こんなもんじゃ
ないですから」にならない様に。




*Jayson 2017 Napa Valley 
ジェイソン2017ナパ・ヴァレー

相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとした、コクのある料理。
        チーズなら、ブリー。
飲み頃温度:19度。
<リッチなフルボディー>
9,000円



高額なワインですが、オーパス・ワンを彷彿させる程の超コスト・
パフォーマンスに優れたジェイソン。たまにはリッチに。そんな時
に是非、味わってみて下さい。