2020年9月17日木曜日

似た者同士/2 of a kind

マッシュルーム、エリンギ、とろろ、白髪ねぎ、レンコン、白菜、
かぶ、大根、でしょうか。今思い浮かぶのは。これらをイメージ
したのはどうしてでしょうか?実はある白ワインと関連性がある
からなのです。
そのタイプの白ワインはそれらの食材を使った料理と実に良く、
あるいはかなり良い感じで融合し、マリアージュを奏でてくれる
のです。
白ワイン造りは大きく分けて2つの流れがあります。とても簡単
に説明しますが、発酵や熟成をステンレス・スティール・タンク
の中で行う。もう一つはステンレス・スティール・タンクでなく
木樽の中で行う。この2つの流れです。
ステンレス・スティール・タンクの中でワイン造りをしますと、
液体(ワイン)が空気に触れませんので、フレッシュで爽やかな
ワインになります。
一方、木樽でワイン造りを行いますと、酸素の影響を受けつつ、
酸化と言う現象を伴ったワインが出来上がります。フレッシュさ
はあるものの、ステンレス・スティール・タンクで造ったワイン
に感じる爽やかさとは一線を画します。
木樽の中で過ごしたワインにはホワイト・チョコレート、ミルク
・プリン、カシューナッツ、バター・ピーナッツ、カフェ・オ・
レ、白いキノコ、白い根野菜を思わせる香りがあり、その他にも
トースト、ビスケット、カスタード・クリームを思わせる香味も
備わっている事があります。
そしてこのタイプの白ワインがゆるやかにある一定の熟成を経て
熟成香(ブーケ)を身に着けると、そのブーケにマッシュルーム、
エリンギ、とろろ、白髪ねぎ、レンコン、白菜、かぶ、大根など
を思わせる要素を感じる様になります。
テイスティングの時のコメントで言われる所の「アーシーさ」で、
白ワインの場合、先程の様な白っぽい食材をイメージする香り、
時に味わいも感じます。
久し振りにしてみましょうか。「これをTo goしたなら、一緒に
楽しむのはこのワイン!!」。To goするのは「冷やしとろろそば」
です。



そば自体もアーシーさがあります。とろろにもアーシーさがあり
ます。ねぎにもアーシーさがあります。ここまでならアーシーさ
がある白ワインとの離反はありません。
が、問題はつゆです。出汁にコク(苦味旨味)があります。醤油
の旨味(ソトロン成分)があります。これらがアーシーさを超え、
赤ワインと相性の良い風味を創ります。
折角、白ワイン寄りだった冷やしとろろそばが、赤ワインの相棒
へと方向転換してしまいました。今日は赤ではなく、白ワインで
冷やしとろろそばを楽しみたいのです。
どうしましょう。それならば今度はある風味を添えて白ワインと
仲良くなる様に仕向けてあげれば良いのです。それは「ワサビ」
です。冷たいそばを買うと必ず中に入っています。このワサビを
とろろを絡めた冷やしそばを口にする前に、程良くそばに添えて
それら全てを一緒に味わう。この一添えが全体の風味を赤でなく
白ワインへとシッカリと引き寄せ、マリアージュを創造します。
似た者同士、同系の色と色をした両者には共通する要素(香味)
が必ずあります。アーシーな白っぽい食材が白ワインを引き寄せ、
赤みのある黒っぽいつゆが赤ワインを引き寄せ、緑色のワサビが
白ワインを引き寄せる。
ワインと料理のマリアージュを創り上げたい時、色と色を同系に
する。これが最も簡単な方法で、基本となります。食材が相性の
良いワインを決定づけるのではありません。どの様な味わいなの
か。この方が相性の良いワインをより決定づけます。
似た者同士(白っぽい、黄色っぽい、緑色っぽい外観をした料理、
食べ物と白ワイン)は、私達人間と一緒で仲が良いのです。



「冷やしとろろそば」のアーシーさに最も寄り添う「アーシーさ
を感じる白ワイン(少々高くてすみません)」がこちら!!
*Napa Glen 2018 Chardonnay
ナパ・グレン2018シャルドネ

飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
4,000円
木樽熟成、瓶内熟成を経て身に着けたブーケが、とろろ、ネギの
風味と同化します。木樽熟成で身に着けた赤ワイン様のタンニン
を思わせる苦味、コクのある味わいが、つゆの風味に寄り添い、
融合します。ワサビのシャープな刺激が、ワインのミネラリーさ
と調和します。

新そばの季節です。日本そばにワイン、この乙な楽しみ方を是非、
週末にご堪能下さい。