2020年8月25日火曜日

味わって下さい。この優美な深みを。

4種類目はどんなワインだろう。そう思いながら超ロング・コルクの
DIAM30/ディアム30を抜きます。このコルクはとても長いので少々
開けづらいかもしれませんが、ブショネ(コルク臭:不快な香りを
ワインに付けてしまう歓迎しない現象)から完全にフリーの優れた
コルクですので、飲み手にはメリット大です。



いつも通り邪念なきテイスティングの為、ボトルを紙で覆ってあり
ますので白ワインなのか赤ワインなのか判りませんでしたが、抜栓
した時に瓶内から現れた香りは赤ワインを思わせます。
実際にワインをグラスに注ぐと、案の定、赤ワインで、かつて一世
を風靡した光が透けないまでの濃い色合いのワインとは一線を画す
外観をしています。
ワインのエッジ(ワインの縁で、グラスの内側に接している部分)
はクリアな透明をしていて、ワインの色合いは濃くはなく、中程度
の濃さで、紫色の色調の消えたルビー色をしています。見るからに
品位のある外観をしています。
曽我さんが造る近年の赤ワインはこの様な外観のワインが多くあり、
味わう程にその優美な深みを感じます。赤ワインは濃ければ良い。
そんな考えに一石を投じるワインです。




それでは香り、味わい、そして感想です。
香り:モカコーヒーやチョコレートのヒントを感じます。これは樽
由来の成分が発する香りです。但し、あくまでも果実味に寄り添う
アクセント程度で、それ自体の過剰な主張はありません。その香り
に伴う様にベリー果実、特にブラックベリーを思わせるニュアンス
の香りがあります。
グラスを回し、ワインが空気に触れると、爽やかさが現れ、それは
メントールのニュアンスであったり、レッドペッパーのニュアンス
であったり、スミレの生花であったりします。
それぞれの要素の主張には過大さがなく、実にエレガントに調和し、
穏やかに広がります。
味わい:シルクの様にしなやかで、木樽からの成分のオイリーさが
備わり、柔和な第一印象です。アルコール度数は赤ワインの一般的
なレヴェルで13%程と推測します。
酸味は中レヴェル、ミネラリーさは控えめ、タンニン(渋味成分)
は中程度のいわゆるミディアムボディーです。
果実味、木樽由来の成分、タンニンの織り成す上品なハーモニーは
香り同様、優美で、角々しさが全くありません。真に「美」です。
しかし、それだけでは深みにかけます。ではどうして優美で深みが
あるのか?
この赤ワインの根底に内包されている原料ブドウ品種由来の個性で
ある野趣さ(赤身肉や腸をイメージさせるニュアンス)とアーシー
と表現する所の根野菜やキノコを思わせるニュアンス(熟成による
ブーケ)が味わいの中盤から後半にかけてアクセントを添えている
からです。
赤ワインの主要な構成要素である渋味、苦味、甘味、酸味がとても
バランス良くまとまり、一糸乱れぬ調和で全体をまとめています。
静かで、穏やかな、そして優美な深みが余韻に長く残ります。
しなやかさはMerlot/メルロ、華やかさはPinot Noir/ピノ・ノワ、
野趣さはPetit Verdot/プティ・ヴェルドからと推測しますが.....。
果たして.....。
こんなにも美しい(マスコミ的表現なら、美しすぎる)赤ワインが
こちらです。

*Domaine Sogga 2018 Vin Sans Chimie Voluptueux
ドメーヌ・ソッガ2018ヴァン・サン・シミ、ヴォリュプチュー

飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>




・煮穴子を巻いた玉子焼き
・里芋のそぼろ煮
血合いぽさある食材、土ぽさを感じる食材を醤油ベースの出汁で
調理した濃すぎない味わいの料理と一緒にお楽しみ頂けます。
ヴォリュプチュー:フランス語で「官能をそそる」などを意味し、
真にこのワインを表すのに最適です。