小布施ワイナリーから届いた6種類のワインは4種類のテイスティング
が終わり、2種類を残すのみとなりました。届いた中の2種類の赤は既
にテイスティングが済んでいますので残りの2種類は白ワインで、片方
が複数の品種のブレンドワイン、もう片方がソーヴィニョン・ブラン
のワインになります。
いつも通り邪念なきテイスティングをする為、ワインの瓶は紙で覆われ
中が見えません。但し、残り2種類の段階ですので、白ワインである事
は既に分かっています。
果たしてこれから抜栓するワインは複数の品種で造られたワインなのか
それともソーヴィニョン・ブランのワインなのか。プロファイリング、
テイスティングを通し、その正体を突き止めて行きます。
小布施ワイナリーではコルク臭(ブショネ / コルクに付着していた菌、
この菌は自然界にごく一般的に存在し、天然コルクにある「す(細かい
穴や隙間)」の部分に住み着いているのですが、がワインにいたずらを
し、不快な香り、味をつけてしまう現象)を回避する為、その現象とは
無縁のDIAM/ディアムと言う優れたコルクを使用しています。
ディアムは用途によりいくつかの種類があり、DIAM00と言った具合に
数字が付いています。この数字が大きいほど酸素の透過性が低く、長期
の熟成に向いています。
小布施ワイナリーでは多くの場合、白ワインにはDIAM10を、赤ワイン
にはDIAM30を使用しています。ですのでこれからテイスティングする
白ワインには10が使われています。
抜栓します。当然の事ながらコルクがワインに接していた面にはワイン
の心地良い香りしかありません。ブショネですとこの面に濡れた雑巾の
様な臭い、枯れた草むらの様な臭いがあります。
そのコルクから何を感じ取れたのか。簡潔に言えば、Sauvignon Blanc
/ソーヴィニョン・ブランで造ったワインのヒントをキャッチしました。
ソーヴィニョン・ブランのワインの特徴である「グラッシーな」と表現
する若葉、若草、緑色の香味野菜をイメージできる香りです。
よってこのワインはソーヴィニョン・ブランのワインか、この品種と別
の品種も使い造られたワインかとプロファイリングできる訳です。それ
を裏付ける為、外観、香り、味わいを丁寧にチェックして行きます。
がシッカリ備わっていると想像できます。色調はクリアなスカイブルー
のトーンがあり、やはり酸味の豊かさを思わせます。
グラスの内側を流れ落ちるワインの速度は早めで、アルコール度数が中
程度のレヴェル、12%程と予想します。
香り:硬度の高いミネラルウォーターを連想させるフリンティーさが核
となり、グレープフルーツの皮のビターなニュアンスが同居します。
グラスを回し、ワインを空気に触れさせると、ラ・フランスを思わせる
フルーティーさ、白い花のフローラルさが現れます。
シャープな硬さ(ミネラリーさ)と華やかな上品さ(白い果実、白い花)
が共存している所からこのワインは複数の品種を使い造られた可能性が
高いと思われます。
味わい:硬水のニュアンスのアタックを明確に感じます。アルコール分
はやはり中庸で、12%程に感じます。
酸味は高めで、ミネラリーさは豊富、心地よい苦味のアクセントが全体
を力強く引き締めています。
口中でのアロマは控えめで、豊かに備わったミネラリーさの主張が核と
なり、赤ワインのタンニン(渋味成分)にも通じる要素があり、果皮の
色が灰色ぽいブドウ品種(グリ品種、例えばPinot Gris/ピノ・グリ)が
このワインの原料の一部になっているのではと推測します。
余韻は長めですが、フリンティーでシャープなミネラリーさがキリリと
引き締めていますので、ナタで切った様にスッパっと綺麗に終わります。
こんなタイプのワインをテイスティング用語で「鋼の様な」としばしば
形容します。
予想ではこのワインはソーヴィニョン・ブランを主体に、ピノ・グリと
白い果実や花のアロマをもたらすChardonnay/シャルドネの3つの品種
で造ったのではと考えます。果たしてその予想は.....。真実はワインの
裏ラベルの曽我さんのコメントの中にありますので、お確かめ下さい。
その白ワインがこちら!!
ドメーヌ・ソッガ2019ヴィーニュ・フランセーズ・ブラン
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
・セロリの塩浅漬け
・スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレ
こんな料理と一緒にお楽しみ頂けるワインです。