2020年7月9日木曜日

Primitivo / プリミティーヴォ

ワイン用葡萄ガイドでは、プリミティーヴォについて次の様に解説して
います。「南イタリアの品種で、特にプーリアで広域に栽培され.....。
この葡萄から造られるワインは深い色のしっかりした構成のスパイシー
なもので、アルコール分もかなり高いがNegroamaro/ネグロアマーロ
(前回、この葡萄とそのワインの事をアップしました。)ほど強くない。
カリフォルニアで人気の高いZinfandel/ジンファンデル(葡萄品種名で
この品種で造られる赤ワインは最もアメリカらしいと言われています。)
との類似点が注目された1970年代後期に国際的に注目された。その後
行われたDNA鑑定はこれを確証したが、この品種がプーリア原産である
確実な証拠はまだ見つかっていない。(近年、ジンファンデルの故郷は
プーリアであり、プリミティーヴォと同一品種である事が、確かに証明
されました。)南イタリアのワイン造りの技術と設備はカリフォルニア
のそれと比べて幾分洗練さに欠けるが、興味深く、特色のあるワインを
造る。」と。


ネグロアマーロの赤ワインも、プリミティーヴォの赤ワインもどちらも
アルコール度数が14~15%程のものが大多数ですが、ネグロアマーロ
のワインの方が酸味やミネラリーさがシッカリしていますので、その分
プリミティーヴォのワインよりも強く感じる。ガイドの説明に補足する
とこんな感じになります。
プリミティーヴォのワインの最大の特徴は、口当たりが球体の様と形容
できる酒質をしている事です。果実味が凝縮し、高いアルコール度数に
支えられたふくよかさ、その構成の豊かさ故、木樽熟成をシッカリする
事ができ、樽材の持つ成分(ヴァニラ、モカコーヒー、ココア様の芳香
とトロリとした粘性)がワインへ移行し、備わります。それらが融合し
密に結び付く事で、角々しさの全くない酒質となり、球が滑る様に喉を
通り抜け、身体に染み込んで行くのです。
同一品種のプリミティーヴォ@イタリアとジンファンデル@アメリカの
それぞれのワインに違いがあるのでしょうか?同一品種ですから大きな
違い、完全は違いが本来、ないはずです。しかし、両者と飲み比べると
かなり明確な違いを感じます。
それはどこから来るのか?決定的な違いを生んでいる要因は熟成に使用
する木樽です。アメリカのジンファンデルのワインの醸造、熟成に使用
する木樽はアメリカン・オークで作られていて、ワインにチョコレート
の風味をもたらします。
イタリアのプリミティーヴォのワインの醸造、熟成にはヨーロッパ原産
のオークで作った木樽が使用され、この木樽からはチョコレートの風味
がワインにもたらされません。チョコレートではなく、モカコーヒーや
時にココアを思わせるフレーヴァーがワインに備わります。
何れにしても、オイリーな口当たりで、しなやか、なめらかさに満ち、
凝縮したリッチさがある。これがプリミティーヴォの赤ワインで、角々
しさがなく、それぞれの要素が突出する事なく、バランス良く調和して
いますので、心安らぐ環境でワインだけを味わうのも一手です。
もし、料理を食べながらであれば、芳醇な酒質に合わせ、醤油とみりん
を煮詰めたタレやソースで食す料理や煮込み料理がベスト・パートナー
になります。
是非、味わって頂きたい2種類のプリミティーヴォの赤ワインがこちら!!


*Masca del Tacco 17 Primitivo di Manduria
マスカ・デル・タッコ17プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。チーズならチェダー、
パルミジャーノ。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
2,000円


*Li Filitti 15 Primitivo di Manduria Riserva
リ・フィリッティ15プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア・リゼルヴァ
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。チーズ
ならブリー、青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなフルボディー>
3,000円
・焼肉を食べながらなら、ワインを飲むのなら、ワインの風味に合わせ、
焼肉のタレで食べるのがベターで、マスカ・デル・タッコの方がフィレ肉
なら、リ・フィィッティの方はカルビと言った感じになります。
・魚料理を食べながら、ワインを飲むのなら、マスカ・デル・タッコには
煮穴子、リ・フィリッティには鰻の蒲焼と言った感じになります。