は「シチリア島の最良の赤ワイン用葡萄の一つ。質を重んじる生産者
は、この品種がブレンドにもたらすボディーと熟成の可能性を評価。
この品種のワインは優れた芳香と熟成への真の可能性を持ち、樽熟成
に適している。」とあります。
それに加え、ネロ・ダヴォラのワインは多様性に富み、ライトタッチ
なボディーのものから、凝縮した豊かなボディーのものまであって、
ネロ・ダヴォラのワインだけでも様々な状況に対応できます。
その酒質の違いの大まかな目安は、当店の場合、1,000円台の商品は
ライトタッチさがあるタイプが多く、2,000円を超えると木樽熟成が
シッカリ行われたリッチなボディーのものがほとんどになります。
ライトタッチさがあるタイプのワインの大きな特徴は、紫色の果実や
花を思わせる香りと共にフレッシュなハーブを思わせる香りがあり、
味わいはジューシーでエレガント、やはりハーブを思わせる爽やかさ
が備わっています。
リッチなボディーのネロ・ダヴォラは、暗い色調でとても濃い色合い
をし、ブラックベリーや黒いオリーヴを思わせる香りと共にコーヒー
やチョコレートを思わせる芳醇な香りがあります。味わいはオイリー
で芳醇、ドッシリとした重厚感があり、こちらにはハーブのヒントが
ほとんどありません。
今日紹介します2種類はライトタッチさある前者のタイプで、地中海
沿岸部ならではワインの典型的な特徴を備えています。地中海沿岸部
で育まれたブドウは、その地の自然環境(乾燥した石灰岩主体の大地
に灌木やハーブが所々に生えている)を反映し、灌木やハーブの香り
を感じる要素を備えます。その要素がそのままワインへ移行します。
その要素を感じた時、ワイン用語でGarrigue/ガリーグと表現します。
ガリーグとは地中海沿岸部に良く見かける風景(石灰質の乾燥地帯、
そしてそこに自生する灌木林)を意味するフランス語です。
シチリアはイタリア最南端にあり、当然の事ながらイタリアでは最も
温暖(いや、暑い)な地域です。通常、その様な気候の産地では完全
にブドウが熟す(ケアしないと熟し過ぎてしまう)ので、フレッシュ
なハーブ香を備えたワインにはなりません。黒みを帯びた果実や木の
実を思わせる香りを備えます。
ではなぜ例外的なワインができるのか?その様なワインになるブドウ
を育めるのか?いくつかの理由があります。先ず、過熟、完熟する前
にブドウを収穫する。これは単に早く収穫すると言う意味ではなく、
ブドウの酸味、糖分などを総合的に考慮し、ワインにフレッシュさを
もたらしてくれる生物学的状態の時に収穫すると言う意味です。
また、ブドウの実を葉で強い日差しが当たらない様に隠す場合もあり
ます。これは日差しの強い産地で最も一般的に行われる方法で、実に
直接、陽が当たらない事で、実が日焼けしない、結果、過熟にならず
フレッシュさを保つのです。実は日陰にありますので、そこは相対的
に涼しくなり、これに因りフレッシュさを保ちます。
あるいはシチリアは北半球にありますので、ブドウ畑を山や丘の北側
の斜面に拓き、朝夕の日差しは畑に差すが、日中の強い日差しが畑に
差すのを回避し、やはり相対的に冷涼な環境を創り、フレッシュさを
備えたブドウが育つ様にします。
シチリアなどの暑い産地ではワインのヴァリエーションを増やす為、
過熟したブドウで造る芳醇さ酒質のだけでなく、ブドウの栽培環境、
栽培方法を変える事で、フレッシュさを備えたワインも造る。これは
10年程前からの大きな流れです。
そのタイプのワインに料理を合わせるのなら、バジルやオレガノなど
の香りを添えた料理、山椒を振りかけた料理、八角やローリエなどで
香り付けした料理がお勧めです。また、通常よりもやや低い温度(夏
なら瓶を触ってひんやりするのが目安)でワインを味わってあげると
フレッシュさを心地良く感じます。
そんなタイプの2種類のワインがこちら!!夏が近づき、気温が上昇して
来ました。その状況にこの2種類の酒質はピッタリです。
*Disueri 2019 Sicilia Nero d'Avola 750㎖
ディスエリ2019シチリア、ネロ・ダヴォラ
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
1,800円(Vinolok/ヴィノロック[ガラス製コルク]です。)
・煮穴子に山椒を少々
こんな料理と一緒にお楽しみ下さい。
*Paolini 2018 Sicilia Nero d'Avola 1,5ℓ
パオリニ2018シチリア、ネロ・ダヴォラ
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなライト~ミディアムボディー>
1,800円(スクリューキャップです。)
・豚肉、キクラゲ、ほうれん草と玉子の炒め物
こんな料理と一緒にお楽しみ下さい。