周りに今でも潜んでいますが、とにかく新しい幕が開きました。今
までにも劣らず、最大限の注意を払いつつ、安心して暮らせる時が
来るまで進んで行きましょう。
あらゆる商売がほぼ通常営業に戻りました。あるいは間もなく戻り
ます。To goが商いの柱となっていた飲食店は店内での飲食の提供
が主体となります。それでも尚、一度、根付いたto goスタイルは
消える事はないでしょう。これからも当店と取引のある飲食店での
週3 to goを堅持し、時々、「このワインにはこれをto go」or「To
goしたならこのワインと一緒に」ネタをアップして行きたいと思い
ます。
持ち帰り料理(food to go)と言うと、焼いた肉や野菜、揚げ物が
多くなります。魚も食べなくてはバランスが悪い。そう思い、何か
自分の食欲を刺激する持ち帰り魚料理はないかと探していましたが、
これは良いと思う一品がありました。
「まぐろさっと焼き」from 屯(かおす)@太田市浜町です。生で
食す事の多い鮪ですが、火が入る事で旨味が閉じ込められ、凝縮し、
味わい深くなります。
赤身の魚は刺身で食べるのなら、果実味が強くない赤ワインが良き
相棒で、例えば鮪の場合、赤身ならミディアムボディー、中トロ、
大トロと脂肪分が多くなるにつれ、渋味(タンニン)の多いタイプ
がベターになり、大トロなら果実味が控えめ、熟成感があり、そこ
から野趣なヒントの深みがあるフルボディーがベストのパートナー
となります。
刺身を食べ、ワインを飲むと(魚には白ワインと信じている。)口
の中が生臭くなる。刺身にワインは合わない。そんな声を時々聞き
ます。
それは刺身にワインが合わないのではなく、魚には白ワインと誤解
し、相応しくないワイン(白ワイン)を刺身と一緒に口にしている
からなのです。
ところが魚(鮪)を調理する事で状況は変わります。鮪は赤身です
が、火が入ると白く(白っぽく)なります。この変化が相性に影響
を与えます。どうなるのか。
軽く火が入るとピンク色ぽい。シッカリ火が入ると白っぽい。鮪の
赤身はそうなります。料理とワインの関係で興味深い事があります。
それは色と色の関係です。同系の色と色はお互いに共通する要素を
が、火が入ると白く(白っぽく)なります。この変化が相性に影響
を与えます。どうなるのか。
軽く火が入るとピンク色ぽい。シッカリ火が入ると白っぽい。鮪の
赤身はそうなります。料理とワインの関係で興味深い事があります。
それは色と色の関係です。同系の色と色はお互いに共通する要素を
持っている事実です。
鮪の赤身(生の刺身)の持っている要素と同じ様な要素を赤ワイン
に見つける事ができる。だから鮪の赤身の刺身は赤ワインと合う訳
です。
ところが鮪の色が赤(火が入ると)でなくなると、赤身の時の要素
がなくなり、別の要素を感じるようになります。具体的には、赤身
の時に感じた血合いヒントを感じにくくなります。鉄分ぽさが弱く
なります。あまり感じなかったミネラリーさが明らかに主張します。
血合いのヒントを感じるのは多くの場合、赤ワインで、赤ワイン的
ロゼワインにも感じます。
鉄分ぽさも同様でNebbiolo/ネッビオーロ、Sangiovese/サンジョ
-ヴェーゼ、Tempranillo/テンプラニージョなどのブドウで造った
赤ワインに感じられます。
それが赤ワインとマリアージュする要因です。ですが、血合いぽさ、
鉄分ぽさがなくなるのなら、その様な赤ワインとリンクしなくなる。
だからマリアージュの相手が赤ワインでなく、ロゼワイン、または
白ワインになるのです。
そしてミネラリーさが明確になるのですから、ミネラリーさをより
明確に感じるワイン、赤ワインよりもロゼワイン、ロゼワインより
白ワインにその要素を感じるので白ワインがベストの相棒になる。
と言う事なのです。
ではどの様な白ワインが火の入った(白っぽい色になった)鮪料理
に良いのでしょうか?屯の「まぐろさっと焼き」は素材の持ち味を
生かす様、塩で上品に味わいを整えてあり、コショウの風味も少々
添えてあります。鮪はミネラリーさをより感じ、血合いぽさ、鉄分
ぽさは控えめになった上、塩のミネラリーさが加わったのですから
ワインにもミネラリーさがシッカリ備わっている事が必要です。
そして控えめに存在する鉄分ぽさ(赤ワインのタンニンに通じる)
がありますので、ワインにもその様なアクセントがあれば申し分
ありません。
ミネラリーさは酸味の性質により、その広がりが引き立てられたり
隠れたりします。酸味にはリンゴ酸(特に柑橘果実に感じる爽快で
刺激的な酸)と乳酸(日本酒に感じるまろやかでコクのある酸)の
2種類があります。
リンゴ酸のワインはミネラリーさが酸味と共にストレートに広がる
のに対し、乳酸のワインはミネラリーさが乳酸の豊かな存在に包み
込まれ、内包された状態になります。と言う事は、「まぐろさっと
焼き」にはリンゴ酸のワインの方が相応しいと言えます。
赤ワインにある鉄分ぽさに通じるタンニン(渋味成分)はどこから
来るのでしょうか?それは果皮に含まれている色素に由来します。
ブドウの果汁は基本的にはどんなブドウでも白ぽい色です。そこに
果皮の色素が移る事でロゼになったり、赤になったりします。それ
ができるのは果皮の色が黄色や緑色の白ブドウではなく、深い紫色
をした黒ブドウやピンク色がかった灰色をしたグリブドウです。
黒ブドウやグリブドウの果汁に色素を移さなければ果汁は白のまま
ですからできるワインは白です。ですが、白ブドウで造る白ワイン
と異なり、鉄分ぽさに通じるタンニン(色素)が少ないにしろ果汁
に確実に流出しますので、その果汁で造るワインにそれが含まれる
事になり、白ブドウの白ワインとは決定的に相違します。
そのわずかであっても含まれる鉄分ぽさに通じるタンニンの存在が
鮪の持つ味わいと相乗し、白ブドウで造った白ワインとでは不可能
のマリアージュを完成させます。
その白ワインがこちら。一目瞭然で通常の白ワインとは異なる外観
が判ります。オレンジ色ぽいです。近年、注目のオレンジワインの
様相です。このオレンジがかった色が鉄分ぽさに通じるタンニンを
感じさせてくれる要素です。
この様な白ワインを生み出したブドウは「Pinot Gris/ピノ・グリ」。
黒ブドウのPinot Noir/ピノ・ノワの果皮の色素が突然変異で脱落し、
誕生したグリブドウです。黒だったブドウがグリに。赤身だった鮪
が白っぽい色に。共に変化し、共通する要素(鉄分ぽさ)を控えめ
に残しました。
ワインと料理の相性の良さは、お互いの香り、味わいが類似する所
から生まれます。また、色と風味は連動しますので、外観が同系色
である事も両者の相性の良さを創造します。
鮪の赤身をさっと焼いて白っぽくしたとしても、塩で味わいを整え
ないで、醤油で味わいを整えたなら、鮪の外観は白っぽくなくなり
ますから、白ワインではなく、ロゼワインや赤ワインの方と相性が
良い方に戻ってしまう訳です。
塩で味わいを整えた「屯(かおす)特製、まぐろさっと焼き」をto
goしたなら、この(白)ワインと一緒に。そのワインがこちら!!
*The Springs 2019 Pinot Gris
ザ・スプリングス2019ピノ・グリ
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
1,300円