今回と次回はその原産地ソアーヴェで造られるワインの中で当店が取り
扱う飲んで頂きたい2種類を1本ずつ紹介して行きます。
原産地ソアーヴェで造られ、ソアーヴェと名乗れるワインはワイン法で
明確に規定されています。根本的な条件は白ワインである事です。それ
がたとえ原産地ソアーヴェ内で造られていたとしても、ロゼワインや赤
ワインであれば、それはソアーヴェではなく、別の原産地呼称のワイン
になります。
ワインであれば、それはソアーヴェではなく、別の原産地呼称のワイン
になります。
ソアーヴェには辛口も甘口もあります。そして、Spumante/スプマンテ
(発泡性ワイン/スパークリングワイン)も。ソアーヴェは法の下、複数
の呼称名があります。次の様にです。
・ヴェローナ県のソアーヴェ村を含む複数の村に広がる産地で造られる
のがSoave/ソアーヴェ。これにはスプマンテもあります。
・その産地の中の特定の古くからある地域で造られるSoave Classico/
ソアーヴェ・クラッシコ。これにはスプマンテもあります。
・ソアーヴェの中でもアルコール度数が12%以上のSoave Superiore/
ソアーヴェ・スペリオーレ。
・特定の古くからある地域内で造られているのならSoave Superiore
Classico/ソアーヴェ・スペリオーレ・クラッシコ。
・陰干しして糖度を高めたブドウの果汁で造る甘口のRecioto di Soave/
レチョート・ディ・ソアーヴェ。これにはスプマンテもあります。
・特定の古くからある地域内で造られているのならRecioto di Soave
Classico/レチョート・ディ・ソアーヴェ・クラッシコ。これには
スプマンテもあります。
つまり、ソアーヴェと名乗れる原産地呼称は3つあり、その内、2つには
スプマンテもあり、古くからある特定の地域で造られたのなら、それは
全てクラッシコになります。
今日、紹介するワインはソアーヴェ・スペリオーレ。このワインを造る
生産者を訪問したのは2019年5月上旬。この時点で原産地呼称ワイン、
ソアーヴェ・スペリオーレを造るのはたった5生産者で、日本ではこの
原産地呼称のワインを見かける事は極めて稀でした。今でもその状況は
ほとんど変わりません。
そんな日本でレアもののソアーヴェ・スペリオーレを造ったのは、Villa
Erbice/ヴィッラ・エルビーチェ。創業者は現オーナーの祖父で、歴史
は1870年に始まり、エルビーチェの名はこの地の歴史的重要文化財の
建物に由来しています。
彼らは創業以来、環境に優しい農法を用い、自己所有の畑のブドウだけ
を使い、ナチュラルなワイン造りを行っています。彼らのソアーヴェ・
スペリオーレは完璧に熟したブドウのみを手摘みし、更に選果した上で
圧搾し、果汁をとり、オーク樽で発酵熟成させた後、瓶詰めし、瓶内で
更に洗練させててから市場へ送り出されます。
オーク樽で発酵、熟成させ造られるソアーヴェは一般的ではありません
が、それ故、個性の塊で、外観、香り、味わいの何れもが非常に印象的
です。特に外観は白ワインのそれを超越し、今、話題のオレンジワイン
の様相を呈しています。
これはオーク樽内で発酵、熟成する事で、酸素に触れ合いながら果汁が
ワインへと変化し、色付いたものです。この造り方で誕生したワインは
酸化に対し抵抗力があり、長期熟成が可能で、更に抜栓してからワイン
が日持ちします。造られる過程で後々、酸化するはずの成分が酸化した
結果、それ以上、激しい酸化をする余地がなくなったからです。
結果、それ以上、激しい酸化をする余地がなくなったからです。
一般的なソアーヴェは「レモンをかけて食す生カキ」、「ポン酢で食す
イカの刺身」などと相性が良いのですが、オーク樽で発酵熟成の彼らの
スペリオーレは、柑橘果実の酸味(リンゴ酸)や生の魚介類との相性が
悪く、その様な料理と合わせると生臭さが引き立ってしまいます。
彼らのワインを飲みながら魚介類をたべるなら、柑橘果実の要素を排除
し、魚介類には火を通す。例えば「カキのクリーム煮」、「イカフライ
を塩で」と言った感じで、料理にクリームの風味がある、料理に油分が
ある事が必要です。
また、焼いて白くなる肉(肉、魚に関係なく)、マグロやカツオ、鶏肉
や豚肉を醤油を用いないで、見た目が白い状態に仕上げた料理との相性
にも優れています。
更に、こまだれ、クルミソース、豆乳スープ、白湯スープなどとの相性
も抜群です。
レアもののソアーヴェ・スペリオーレです。こんな酒質のソアーヴェも
あります。何もかもがユニーク、唯一無二です。リッチで、飲みごたえ
があり、印象深いワインです。オイリー、クリーミーな口当たりの料理
と共にお楽しみ下さい。
と共にお楽しみ下さい。
*Villa Erbice 2016 Soave Superiore
ヴィッラ・エルビーチェ2016ソアーヴェ・スペリオーレ
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
3,500円