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くれるかな?)
日本語でさえ、はし(橋)とはし(箸)がある様に、同じ発音の単語で
あっても全く異なる意味を持っている事が多々あります。下種、下衆、
下司は品のない、guessは推測する、そして、ghesは今日、紹介します
スパークリングワインの名(ゲス)。こんな感じに。
ゲスとは、ギリシャ語で「地球からの」と言う意味で、地球がなければ
ワインは生まれないと言う二者の関係性から名付けられました。Ghesは
ギリシャ語だったんだ。しかも荘厳な語源で。
このスパークリングワインに出会った時、てっきりguessと同じ意味で、
飲み手に色々語りたいから、ボトルの中の真実を言わせてもらってもOK
でしょうか?と言った意味を込めて、このワイン名にしたものと思って
いました。個人的にはその意味も込めてあると思っていますが...。
ゲスは北イタリア、ヴェネト州の高名な白ワイン、Soave/ソアーヴェの
No.1の生産者とされるPieropan/ピエロパンが造ったロゼのスプマンテ
(イタリア語でスパークリングワインの事)です。
ソアーヴェの原産地はヴェネト州の同じく高名な赤ワイン、Valpolicella
/ヴァルポリチェッラと隣接、一部は重なるエリアにあり、ソアーヴェと
ヴァルポリチェッラの両方を造る生産者が複数います。
ピエロパンもそうで、ソアーヴェよりも造る歴史が浅いものの、1999年
に畑を購入し、白ワインのスペシャリストが赤ワインも生産に乗り出し
ました。
ヴァルポリチェッラは通常、3種類の黒ブドウ(Corvina/コルヴィーナ、
Rondinella/ロンディネッラ、Molinara/モリナーラ)を使い、造ります。
黒ブドウとは果皮の色が深い紫色、黒みを帯びた紫色のブドウの総称で、
果皮の色素を果汁にどの様に移すかで、赤ワインだけでなく、白ワイン
もロゼワインも造る事ができます。
スプマンテ、ゲスはロゼで、コルヴィーナで造られています。ブドウを
圧搾し、果汁を搾り取り、その果汁に果皮を浸漬しながら発酵を進める
とその間に果皮の色素が果汁に移行します。果汁の色が希望のロゼ色に
なった時点で果汁と果皮の接触を止め、この果汁を更に発酵させます。
こうしてロゼワインが出来上がります。このロゼワインに酵母と糖分を
加え、更に発酵を行うと、炭酸ガスが生成され、スパークリングワイン
(スプマンテ)となります。
スパークリングワインにする為の2回目の発酵は、瓶内(伝統的製法の
瓶内2次発酵)で行ったり、大きなステンレスタンク(シャルマー製法)
で行ったりといくつかの方法があります。
ゲスはシャルマー製法で造られていて、この製法で造られるスプマンテ
(発泡性ワイン/スパークリングワイン)は、瓶内2次発酵製法のものと
比べると、フルーティーさが顕著、フレッシュで、軽快、ガス圧が柔和
である傾向があります。これは優劣の話ではなく、特徴の違いです。
スプマンテ「Ghes/ゲス」は下種、下衆、下司(げす)なのか、そうで
ないのか。色を見て、香りをチェックし、味わったなら、ゲスが決して
げすなんかでないと判ります。
外観:澄んでいます。色合いは中程度で、色調はピンク色を帯びつつ、
オレンジ色のトーンを感じるサーモン色です。グラスの中を立ち上る粒
は細かめで、その勢いは弱めです。液面の泡は細かめで、その持続性は
少なめです。
勢いが弱めで、持続性が少なめ、つまり、炭酸ガスの圧力が低めと言う
のはシャルマー製法の特徴です。
香り:イチゴのコンポート、アセロラのグミやキャンディー、完熟して
果皮にピンク色が明確にある白桃を思わせるヒント(アロマ)が上品に
立ち上ります。
ワインが空気に触れるとそのアロマが一層、華やかになると共に日本酒
で言う所の吟醸香(発酵の過程で酵母により生成される香り)がまるで
マスカットぶどうの様に広がります。
この華やかなアロマの広がり、吟醸香の広がりもシャルマー製法で造る
スパークリングワインが備える大きな特徴です。
味わい:ソフトでライトタッチ、和みのある口当たりです。アルコール
度数は大部分のスパークリングワインと同じ12%程と思いますが、その
度数を感じさせないまでの優美さがあります。
酸度は中、ミネラリーさも中、タンニン(渋味成分)は少なく、丸く、
優しい酒質です。
ガス圧は外観でチェックできた様に弱め、口中でのその広がりは優しく、
クリーミーなと表現できるアタックです。
そして、黒ブドウ、コルヴィーナに由来する少々のワイルドさ(血合い
のヒントであったり、赤身肉の鉄分を感じる)が味わいの中盤から終盤
にかけて現れ、優美さ一辺倒だけでない、味わいの深みを創り出します。
味わいの深みは原料ブドウの特徴により相違しますが、優美さが様々な
所で感じられる。これもまたシャルマー製法のスパークリングワインの
特徴です。
どうですか「Ghes/ゲス」?全然、下種、下衆、下司ではなかったです
ね。日本だと違う意味で捉えられてしまう可能性がありますから、日本
向けには別のワイン名の方が良かったかもしれません。
何れにしても「ゲスだなんて、そんな事はありません。」なスプマンテ
は心穏やかに、落ち着いて味わうにはベストな、また、瞑想にふける様
な状況でシットリと味わうのにもパーフェクトな酒質です。
そして、もし、何かをつまみにこのスプマンテを味わうのなら、醤油と
みりんで味わいを整えた淡く、繊細な味の料理がベスト・パートナーと
なります。Ghes、是非、味わって、和んで下さい。
*Ghes 2018 Vino Spumante Rosato Brut
ゲス2018ヴィーノ・スプマンテ・ロザート・ブリュット
飲み頃温度:7度。
<軽く、爽やかな、やや辛口>
3,000円
醤油とみりんの上品で淡い味わいの効いた煮穴子。このゲスにはこの様な
感じの料理、食べ物が良き相棒です。