2020年6月7日日曜日

ボトル・ヴァリエーションって?

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「新型コロナウイルス(COVID-19)に感染しない。感染させない。」

その為に当店はできる限りの事を確実にして行きます。


Bottle Variation / ボトル・ヴァリエーション(Bottle/瓶、Variation/
違い、ばらつき、変化、変動と言う程の意味)って聞いた事があります
か?
ワインはひとつの収穫年(Vintage/ヴィンテージ)で造るものがあり、
2020年に収穫したブドウでワインを造ったなら、そのワインはラベル
に2020年と表記できます。
ワインはブドウの果汁に含まれる糖分を酵母のアルコール発酵によって
アルコールに変化させてできた液体(アルコール飲料)で、発酵途中の
腐造を防ぐ為、酸化防止剤を加えたり、悪天候下でブドウが理想通りに
熟さず、糖度不足の為、発酵の進行に問題が起こりそうな時に補糖し、
十分な発酵を進めたりする事がありますが、ブドウ果汁の性質を変える
操作(水を加えたり、香りを付けたり)は一切しません。
一期一会と言われる様に、この世で同じ事は二度と起きません。ブドウ
にもそれが言え、年毎に完全に異なる栽培期の自然環境を反映し、同じ
畑の同じ品種であっても、同じ性質の実が別のヴィンテージに現れる事
はないのです。これをヴィンテージ・ヴァリエーションと言います。
では、ボトル・ヴァリエーションとは、どう言うものなのでしょうか?
それは、同じヴィンテージの同じワイン、あるいは、同時期に瓶詰した
同じワインなのに複数本の瓶を開けると、ワインの状態が瓶ごとに相違
する。その現象をボトル・ヴァリエーションと言います。
同じ自然環境が二度と発生しないのは判りました。この地球上にある物
全てについても2つとして同じ物はない。複数本のガラス瓶があります。
見た目は同じです。でも、厳密には違いがあります。複数個のコルクが
あります。見た目は似ています。でも、よく見れば全く違います。
この異なりがワインを瓶に詰め、栓をした瞬間から中に入っているのが
例え同じワインであったとしても、そのワインの進む道(熟成)を別々
にするのです。
瓶詰し、栓をしてから時間が経過すればするほど、瓶ごとの違いが明確
になります。瓶の状態の微妙な違いやコルクの状態の違いなどが外から
の影響を受け、中のワインに異なる変化をさせるのです。


画像を見て下さい。ケース(12本入り)で仕入れ、ワインセラーで保管
してあったワインです。木樽入りの複数年のワインを、樽ごとの違いを
均一にする為、大きな調合タンクでブレンドしてから瓶詰しました。
ノン・ヴィンテージのワインですが、12本入りの一つのケースに入って
いますので、一つの調合タンクからのワインで、同時期に瓶詰した同じ
ワインです。調合タンクで均一にされてから瓶詰されたのですから、瓶
が違っても、中身は当初は同じ酒質のワインでした。
それがこの様に別々の道を歩み、別々の熟成をし、別々の香味を備えた。
何も知らずにテイスティングしたら、味わったなら、同じワインと感じ
ない。そう思います。これがボトル・ヴァリエーションです。
当店のポリシーは「知らないワインを売らない。」です。これは行った
事のない産地のワインを売らない。訪問した事、会った事のない生産者
のワインを売らない。テイスティングしていないワインを売らない。を
意味しています。知っていなければ、説明する事も、勧める事も、売る
事もできませんので。
ただ、それだけでは不十分です。そう、ボトル・ヴァリエーションです。
先程の画像の2本のワインは、右の状態がこのワインの本来のものです。
左はコルクのコンディションにより、外からの影響(微量の空気の流通
による酸化)によって、本来の姿から未来の姿へ高速移動してしまった。
そんなワインなのです。
仕入時期が相違すれば、同じケース内でもボトル・ヴァリエーションが
ある可能性が高くなる。商品化されてからの経時変化が起きますので。
そして今回、経験した様に、同じ時期の同一の瓶詰商品であってもここ
まで明らかなボトル・ヴァリエーションがある。
だから、当店では同じヴィンテージの同じワインであっても、仕入れた
毎に必ず無作為で1本を選び、そのワインのコンディションをチェック
しています。それでもボトル・ヴァリエーションの完璧なチェックには
なりませんが...。瓶の外からでは判りません。全本チェックする訳には
行きません。真実はボトルの中にありますから。
一度、味わい、とても気に入った。だから、もう一度、その感動、喜び
を味わいたい。そう思い、同じワインを2度目の購入をする。でも同じ
事は起こらない。ワインは一期一会です。一生かかっても全てのワイン
を味わう事はできません。ならば、同じワイン、同じ感動にこだわらず、
新しい出会い、喜びを求めた方が良いかも。良い思い出は胸に秘めて。
当店では毎月毎月、新着ワイン(ヴィンテージ変更も含め)が多数あり
ます。次々と新しいワインに是非、挑戦して下さい。