2020年2月8日土曜日

ソースかつにはこんな赤ワインもOK

前回まで全4回シリーズで紹介したスペインのスペシャリティーである
Vino do Jerez(Sherry)/ヴィノ・ド・ヘレス(シェリー)に太田市の、
群馬県の、日本のスペシャリティーをマリアージュさせました。
ヴィノ・ド・ヘレス(シェリー)はとても素晴らしく、唯一無二、至高
のワインですが、酒精強化ワイン(その名前の通り、造りの途中で酒精
[ワインを蒸留したグレープ・スピリッツ]を強化した[加えた]上、熟成
方法、熟成期間も特殊な為、非常に個性的で親しむには慣れが必要な人
がいるかもしれません。
そこで、取り上げたスペシャリティーに今度は酒精強化ワインではない
ワインを合わせてみたいと思います。新着ワインが今月は22種類届いて
います。その中から先ずは群馬県、特に当店所在の東毛地区で最も有名
な食べ物、「ソースかつ丼」に合う赤ワインを紹介します。


このソースかつ丼は揚げたてのかつを店秘伝のソースに浸し、衣全体に
浸み込ませた後、ご飯の上に乗せ、お客様に提供されます。東毛地区で
味わえるソースかつ丼のソースはスパーシーで、華やかな香りがあり、
市販のソースならば中濃ソースでも、とんかつソースでもなく、強いて
言えばウスターソースに近い味をしています。
スパイシーさと華やかさ。この2つの要素が赤ワインにもあれば、両者
は密にリンクしますので、結果、素晴らしいマリアージュを奏でます。
スパイシーで華やかな風味のある赤ワインと言えば、真っ先に浮かぶ
のは、そう、Shiraz/シラーズと言うブドウで造った赤ワインです。
シラーズはフランスの南部のローヌ地方が原産のブドウSyrah/シラー
とルーツが同じの品種ですが、シラーズの赤ワインとシラーの赤ワイン
とには大きな相違があります。
紫色の花、紫色の果実、インクやリキュールを思わせる華やかな香りは
両者に共通ですが、スパイシーさと言う点では、シラーズの赤ワインに
ブラックペッパーのヒントを明確に感じるのに対し、シラーの赤ワイン
にはスパイシーさがあるもののブラックペッパー、ブラックペッパーは
していません。
シラーズの赤ワインにウスターソースをかけた食べ物を合わせると良い
のに対し、シラーの赤ワインなら同じ食べ物に中濃ソースをかけた方が
ベターと言ったイメージです。
ブドウで造った赤ワインなのにブラックペッパーの香りを感じるなんて
不思議ですね。でも、そのヒントがシラーズから出来る赤ワインの特徴
なのです。
ワインの香りはブドウ品種由来、醸造由来、また、熟成由来と3つから
由来します。そして、それらから由来している香りはアロマとブーケと
に分けられ、アロマはフルーティーさや、フローラルさ、スパイシーさ
などになり、ブーケはワインが熟成している間に起こるアロマの重合に
よって生成される複雑で深みを感じる香りです。大地の香り、キノコを
思わせる香り、赤身肉をイメージさせる香りなどがブーケです。
ワインが持っている香りを感知する。それには普段から色々な香りを気
にする生活が必要です。どんな香りも一度は自身の体内に取り込まれて
いるのですから。
食べ物とワインのマリアージュ。それを生み出すのは香りと香りの調和
が大きな影響力を持っています。ブラックペッパーの香りがあるのなら
マリアージュさせる相手にもブラックペッパーの香りがあるものを。


ウスターソース的味わいの群馬県東毛地区のソースかつ、だから相棒は
シラーズの赤ワインで決まりです。その赤ワインがこちら!!
*Regional Reserve 2017 Heathcote Shiraz
 リージョナル・リザーヴ2017ヒースコート、シラーズ
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアム~フルボディー>
2,000円
ヒースコート:オーストラリア、ヴィクトリア州にあるワイン産地です。