2019年1月19日土曜日

カキが美味な季節になりました。

身体が震える程、冷え込んで来ると思わず食べたくなる食材と
言えば、「カキ」がその内の一つになるでしょう。生で楽しむ、
フライにする、チャウダーにする、グラタンにする。食べ方は
色々です。
今が旬の真っ盛りですから、新鮮な大ぶりのカキを生で食し、
ワインに合わせ楽しんでみては如何でしょうか?そんな時には
白ワイン。巷では「生カキにChablis/シャブリ(フランス産の
辛口白ワイン)」と言われています。しかし、生カキに実際に
シャブリを合わせ、楽しくない思いをした経験がある方がいる
かもしれません。
シャブリはChardonnay/シャルドネと言うブドウでシャブリ村
とその周辺産地で造られる辛口の白ワインであって、その酒質
は多様です。果実味がリッチなもの、木樽で発酵したり、熟成
したりし、芳醇なコクを備えたものもあります。その様な酒質
のシャブリは生ものとの相性が悪く、生カキを食し、ワインを
口に含んだなら口の中には心地良くない生臭みが広がります。
生の魚介類にワインを合わせる時の鉄則は果実味が豊かでない
タイプ、醸造熟成過程で木樽を使っていないタイプを選ぶ事で、
香味がシャープで軽い苦み(硬水に通じる)があり、爽やかな
果実のヒント(ライム、青りんご、グレープフルーツなど)が
あるとベストチョイスです。
近年は温暖化の影響でブドウの成熟度が高まり、結果、ワイン
の香味が以前に増してリッチになる傾向があります。シャブリ
も例外ではなく、華やかな香りを備え、果実味の凝縮した酒質
のものが非常に増えています。生カキには合わないタイプへと
変わってしまった訳です。
そこで今、生カキに合わせワインを楽しむのならシャブリより
Muscadet/ミュスカデ(Melon/ムロンと言うブドウで造った
フランスを代表する辛口白ワインで、パリ人が生カキを楽しむ
時に飲む定番のワイン)の方が良く、更にベストなチョイスは
Gros Plant/グロ・プランと言う品種で造ったミュスカデより
軽やかでシャープな酒質の辛口白ワインだとこの業界での長い
経験上、断言できます。
パリでは生カキにミュスカデですが、カキの産地に近い大西洋
寄りのエリアで造られるグロ・プランの産地では、ミュスカデ
よりもグロ・プランのワインと生カキの組み合わせの方が断然
ポピュラーです。


厳しい寒さの季節に突入し、カキの味わいが増して来ました。
生カキに爽やかなレモン果汁を搾りかけグロ・プランのワイン
との至福のマリアージュを心行くまでご堪能下さい。


*Domaine Martin 2016 Gros Plant du Pays Nantais Sur Lie
ドメーヌ・マルタン
2016グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテ・シュール・リー
飲み頃温度:7度。
<軽く、爽やかな辛口>
1,600円