2017年12月23日土曜日

有名銘柄じゃないとダメですか?

Champagne/シャンパーニュ(フランスのシャンパーニュ地方
でワイン法に則り造られたスパークリングワイン)の造り手は
全部で約5,000。Moet et Chandon/モエ・エ・シャンドン等の
大手生産者の他、輸出した事がない様な無名の小規模生産者も
います。
近年、無名の小規模生産者のシャンパーニュが人気で、彼らは
自分の畑を所有し、そこで育んだブドウだけでシャンパーニュ
造っています。Recoltant Manipulant(略号はRMで、ラベル
に必ず表記されています。)/レコルタン・マニピュランと言い、
驚きの品質のシャンパーニュを造り出しているRMがいます。
多くのRMのシャンパーニュをテイスティングして来ましたが、
テイスティングの度に常に心を打たれるのがSerge Mathieu/
セルジュ・マティユです。



RMの造り手を一度も訪問した事がなかった時、RMの取り扱い
が豊富な輸入元に訪問するのにこの地区でベストなのはどこか
と尋ねた時に推薦されたのがセルジュ・マティユでした。
小高い丘の上にワイナリーを構え、丘の緩やかな斜面には畑が
拓かれています。上の画像でご覧頂ける様にワイナリーは実に
洗練された構えで、彼らのシャンパーニュも同様に洗練され、
美しい香味を湛えています。



セルジュ・マティユが得意とするのは黒ブドウで造る白ワイン
(Blanc de Noirs/ブラン・ド・ノワ)です。白ワインですが、
白ブドウで造った白ワインと異なり、僅かにベージュの色調が
あります。それが判り易い様に紙コップに入れたブラン・ド・
ノワのシャンパーニュが上の画像です。



馴染み深い巨峰でお判りの様に、果皮は紫ですが、果肉と果汁
は白です。果皮を果汁に漬け込み、果皮の色素を果汁へ移行し
ロゼや赤を造ります。黒ブドウであっても果皮の色素を果汁に
移さなければ果汁は白のままですから、それを発酵させても白
なのです。
上の画像がそれを表しています。ピンク色ぽい三角形が果皮を
果汁に浸漬している時間で、短いとロゼ、長くなるに従い濃い
赤になるのです。


こちらがセルジュ・マティユのシャンパーニュです。どちらも
Pinot Noir/ピノ・ノワと言う黒ブドウだけで造ったブラン・ド
・ノワです。通常、ブラン・ド・ノワはベージュの色調を感じ、
同時に苺ミルクを思わせるチャーミングな香りがあり、味わい
はキメが細かくシルクの様な舌触りです。稀に活き活きとした
酸味がハッキリとあり、軽快爽快な酒質である事もあります。


上の画像をご覧下さい。白ワインにありがちなグリーンの色調や
レモンイエローの色調をどちらにも感じないと思います。グレー
がかったベージュの色調をワインの中心部に確認できるでしょう。
これがブラン・ド・ノワです。
シャンパーニュを含め、スパークリングワインの命は酸味ですが、
酸の主張がピリピリし過ぎて嫌だと言う方はブラン・ド・ノワが
お勧めです。
*Serge Mathieu Brut/セルジュ・マティユ・ブリュト(右)
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口>
7,000円
*Serge Mathieu 09 Brut/セルジュ・マティユ09ブリュット
飲み頃温度:7度。
<軽く、爽やかな辛口>
10,000円
セルジュ・マティユのブラン・ド・ノワ・シャンパーニュには
白身魚やホタテ貝のカルパッチョがお勧めの料理です。