は生では鮮やかなオレンジ色をし、火が入ると白っぽくなりますが
白身魚の様に完全に白くなりません。ここがワイン選びのポイント
です。あなたなら鮭の料理にどんな色のワインを合わせますか?
鮭を食べる時、刺身、網焼き、バターソテー、ホイル蒸し、フライ、
シチュー、グラタンなど調理のヴァリエーションは多岐に渡ります。しかし、その多くの場合、鮭は魚ではありますが、白ワインよりも
赤ワインの方がマリアージュさせ易く、刺身を食べた時、白ワイン
を合わせると口の中が吐き気を感じる程、生臭くなります。
何故、そうなるのか?鮭の身の風味には白ワインの風味と共通する
要素が全くなく、その一方で赤ワインや一部のロゼの風味とは共通
する要素が多くあります。今までも何度もブログ内でワインと料理
のマリアージュはお互いの共通要素が多ければ多い程、奏でられる
と説明して来ました。
鮭を食べると血合いのヒント、鉄分ぽさ、つまりワイルドな要素を
感じます。これが赤ワインや一部のロゼワインとの調和を創造する
訳です。
Pinot Noir/ピノ・ノワ、Sangiovese/サンジョヴェーゼ、Merlot/
メルロ、Tempranillo/テンプラニージョなどで造られた赤ワインを
味わった時にブドウが原料のアルコール飲料なのに果実からは絶対
に感じる筈のない香りや味わいを感じた事がないでしょうか?
赤ワインの風味を構成している一つ一つの要素は数千個にもなると
言われていますが、その数千個の要素が結合し、私達の周りに普通
にある物質をイメージさせる香りを創り出しています。
紫色の花をイメージさせる香り、スパイスをイメージさせる香り、
赤身肉をイメージさせる香り、キノコをイメージさせる香り等々。
これらの香りに共通する香りのある料理がそのワインの良き相棒に
なるのです。
味わいでなら、血合いぽさを感じる。鉄分ぽさを感じる。ワインに
その様な味わいを感じるなんて不思議ですが、これもワインに内包
されている要素の結合の結果、誕生したものなのです。血合いぽさ
や鉄分を動物の赤身肉に感じる様に、マグロ、カツオ、鮭にも感じ、
また、白身ですが鰻、ブリ、秋刀魚にも感じます。
魚料理に白ワイン、肉料理に赤ワインなのではなく、料理とワイン
との風味の一致、不一致がワインと料理のマリアージュを左右する
のです。
鮭を食べる時、調理方法により合わせたいワインは変わりますが、
刺身、網焼き、バターソテー、ホイル蒸しならフルーティーでない
赤ワインや深みのある味わいの辛口ロゼワインが、フライにソース
をかけて食すのならフルーティーな赤ワインがお勧めです。但し、
添えてあるレモンなどの柑橘果実の果汁を料理に絶対にかけないで
下さい。柑橘果実のリンゴ酸と前出のワインとの相性が非常に悪い
からです。
下の画像の様な赤ワインでしたら、左がフルーツ感に満ち溢れ、右
がフルーツの控えめで落ち着いた主張があります。簡単に言えば、
紫色の色調を感じる醸造後間もない若々しい赤ワインなのか、十分
な熟成を経た赤ワインなのかと言う事です。
鮭の刺身、網焼き、バターソテー、ホイル蒸しには右のタイプが、
フライにソースをかけて食すのなら左のタイプが良い訳です。
鮭は赤ワインと一部のロゼワインに合わせ易いと言っておきながら、
シチューやグラタンにしたのならコクのある辛口白ワインが絶対に
お勧めです。それはそのような白ワインにクリームに通じる乳系の
旨味を明確に感じるからです。
そして鮭の料理にフルボディーのリッチで重厚な赤ワインを合わせ
楽しみたいのなら、鮭のハラスの滴る様な脂分の旨味と赤ワインの
豊富なタンニン(渋味成分)をマリアージュさせてあげて下さい。
間違いなく至福のひと時に浸れる筈です。
鮭はワインとの相性に最も優れた食材の内の一つです。脂の乗った
秋鮭が出回って来ています。この秋は秋鮭とワインのマリアージュ
を是非、お楽しみ下さい。