白ワインのタイプを酸味の質で大きく2つに分けると軽い酒質
(リンゴ酸の爽やかな主張のある)、コクのある酒質(乳酸の
旨味が広がる)があります。
また、香りの違いで大きく2つに分けると花、果実、植物など
の香りがあるタイプとそれらの香りに加え、ナッツ、コーヒー
パン、クリームなどをイメージさせる香りも持つタイプがあり
ます。この香りの違いは前回説明しました様に白ワインを造る
過程でステンレスタンクを使うのか、木樽を使うのかによって
生まれるのでした。
今日はそれらの白ワインに加え、ある特定の気候区分の産地で
誕生する白ワインが甲殻類との相性が抜群な香味を持っている
事を紹介致します。
地球上には様々な気候帯があり、世界中のワイン産地は何れか
の気候帯に分布しています。フランスのボルドー地方でしたら
海洋性気候帯に、フランスのブルゴーニュ地方でしたら大陸性
気候帯に、イタリアのの沿岸部の産地でしたら地中海性気候帯
にと言った具合です。
今日紹介する硬水の様な酒質をした白ワインが誕生する気候帯
は地中海性気候。温暖で乾燥し、夏は日照に恵まれた安定した
気候です。ブドウ栽培期に雨が少なく、一定の気候がブドウの
生育に大きな利点となり、非常に高い熟度を持つ実を付けます。
地中海性気候の下で育まれた高い熟度を持ったブドウは品種に
関係なく、出来上がるワインにある共通の要素をもたらします。
それは心地良い苦味であり、豊富なミネラリーさと共に力強い
当たりであり、硬度の高いナチュラルミネラルウォーターの様
と言えば判り易いでしょう。
この硬水の様なニュアンスが味わいにミネラリーさと苦味旨味
を明確に感じるカニ、エビ、タコ、イカ、小魚の味わいと相乗
し、生臭さ、磯ぽさを過剰にさせないで両者のマリアージュを
創り出すのです。
話が変わりますが、熱帯のイメージが強く、ワインと結び付け
難い国の一つにインドがあります。しかし、このインドで驚愕
のワインが誕生している事を既に多くのワインラヴァーの方々
はご存知でしょう。
上の画像がインド国内の気候区分で、熱帯と思っていたインド
ですが、実は地中海性気候のエリアがあり、この辺りがインド
の主要ワイン産地になっています。高品質の素晴らしいワイン
が誕生する訳がそこにあったのです。
地中海性気候と言うと地中海の沿岸部だけかと想像しますが、
そうとは限らず、インドのこのエリア以外にも、アメリカの
カリフォルニアの沿岸部、チリの沿岸部、西オーストラリア、
南アフリカのケープタウン辺りにも分布しています。
話を元に戻しますが、地中海性気候の下、育まれたブドウで
造られた辛口の白ワインには骨太なミネラリーさ、硬水様の
心地良い苦味の主張があり、更に火が入った時のエビやカニ
の殻を連想させる香り、揚げたてのフライの衣を連想させる
香りも見つける事ができます。
その様な香りも見つけられると言う事は、香りと香りの共通項
が多い方が両者のマリアージュをより一層高めますので、エビ
を上の画像の様にカリッと揚げてあげたなら地中海性気候の下
生まれた辛口ワインとベストな相棒となるでしょう。
火が入ると苦味旨味が凝縮し味わいがより増すイカリングの
フライも、同じ様にタコのフライも、地中海性気候帯が故郷
の辛口白ワインのベスト・パートナーです。
レモンをかけてもOKですが、個人的見解は、食材に含まれた
海の味わいを生かした方が地中海性気候が故郷の白ワインと
より相乗すると今までの経験から思っていますので、レモン
の要素を料理に入れない方がベターの様な気がします。
地中海性気候帯で誕生する今日紹介したタイプの辛口白ワイン
は魚介類をふんだんに使い作った海鮮せんべいのパートナーと
しても大活躍します。気軽に楽しむのなら、こちらを是非!!