Crus des Beaujolais/クリュ・デ・ボージョレです。多様な自然条件
を反映した10の原産地呼称を持つ個性の明確なワインの宝庫で、相違
する原産地呼称のクリュ・デ・ボージョレを飲み比べたなら、香味の
違いを実感する事が出来ます。
クリュ・デ・ボージョレの赤ワインも皆様がよくご存知のBeaujolais
Nouveau/ボージョレ・ヌーヴォーの原料である同じ品種のブドウ、
Gamay/ガメイで造ります。しかしながら原産地呼称の異なるクリュ
・デ・ボージョレ同士を比べて実感する違いよりも遥かに大きな幅の
ある差異がクリュ・デ・ボージョレと原産地呼称ボージョレの間には
存在し、ボージョレ地方の中でも選ばれた地で誕生するクリュ・デ・
ボージョレの赤ワインが別格であると判ります。
ワインの違いはどこで生まれるのか。それは畑に於いてです。土壌、
地勢が異なれば保水、水はけ、日照、気温などの自然環境が変わり、
同じ品種のブドウを育んでも実が備えた性格に違いが出ます。それを
ワインにするのですから、同然の事ながら出来上がるワインに多様性
がある事になるのです。
前回までにボージョレ地方で誕生するこの地の最上位の赤ワインの
Crus des Beaujolais/クリュ・デ・ボージョレの中の2つの原産地
呼称ワインを訪問記と共に紹介しました。それが上の画像で原産地
が示されているCote de Brouilly/コート・ド・ブルーイィ（中央に
緑のエリア、これはMont Brouilly/ブルーイィ山頂にある林になり、
その周りのピンク色の所がブドウ畑で赤線までがこの原産地です。）
とBrouilly/ブルーイィ（コート・ド・ブルーイィの原産地の周りに
引かれた赤線の内側が原産地です。）です。
コート・ド・ブルーイィはブルーイィ山の斜面から裾野にかけて、
ブルーイィはそれらを囲む様に広がっている訳です。
上の画像はコート・ド・ブルーイィの畑で、下の画像はブルーイィ
の畑とブルーイィ山の画像です。両者をジックリ観察してみますと
土壌の色が異なっている事に気付くでしょう。
コート・ド・ブルーイィの畑の土壌には青ぽい色を感じ、ブルーイィ
の畑の土壌には茶色ぽい色を感じます。これは土壌を構成している岩
が持つ色に由来しています。
コート・ド・ブルーイィは青ぽい色をした花崗岩が小石になったり、
風化して細かくなったりして出来上がった土壌で、ブルーイィの土壌
にはそれがなく、茶色（黄色ぽい）をした花崗岩の風化土に沖積した
砂が混じる土壌になっています。
この土壌の違いが主な要因となり、山の斜面のワインと裾野のワイン
と言うロケーションの違い、その違いから発生する自然環境の相違も
加わり隣同士のワインながら、それぞれが個性を明確に備え、地味を
主張しています。
フランスAOCワイン事典（AOCとは原産地呼称）によれば両者は共に
赤色や黒色の果実のアロマに満ち、フルーティーで繊細な酒質をして
いますが、コート・ド・ブルーイィはミネラリーさと生き生きとした
気品を備え、よりコクがあり、ブルーイィはタンニン（渋味）が溶け
込み丸みを感じるとあります。事実、同じ生産者の同一ヴィンテージ
の2つののワインを比較してみますと確かにと納得してしまう程です。
この度のボージョレ地方滞在で訪問して来た生産者で当店で販売が
可能なコート・ド・ブルーイィとブルーイィは今の所、上の画像の
ワインになっています。造り手は別々ですが、それぞれが原産地の
地味を明確に備えたワインになっていて、コート・ド・ブルーイィ
にはミネラリーさを、ブルーイィには丸みを明確に感じます。真に
教科書通りの酒質を備えたワインです。
ワイン会での飲み比べには最適ですし、気になる方のワインを買い
ジックリと味わいつつ、ワインの誕生した原産地をWEB検索して
チェックしてみるのも楽しいひと時となるでしょう。ボージョレと
一括りに出来ない別格のクリュ・デ・ボージョレを是非、味わって
みて下さい。
＊Domaine du Pavillon de Chavannes 2014 Cote de Brouilly
ﾄﾞﾒｰﾇ･ﾃﾞｭ･ﾊﾟｳﾞｨﾖﾝ･ﾄﾞ･ｼｬｳﾞｧﾝﾇ2014ｺｰﾄ･ﾄﾞ･ﾌﾞﾙｰｲｨ
相性の良い料理：脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度：15～18度。
＜まろやかなミディアムボディー＞
3,500円
＊Pierre Marie Chermette 2013 Brouilly
ﾋﾟｴｰﾙ･ﾏﾘｰ･ｼｪﾙﾒｯﾄ2013ﾌﾞﾙｰｲｨ
相性の良い料理：脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度：15～18度。
＜まろやかなミディアムボディー＞
4,000円
