2017年5月5日金曜日

内包された豊かさ

ロゼワインの消費量が世界中で毎年毎年増えています。世界中で
消費されるロゼワインの多くはフランス産で、南部の地中海沿岸
に広がるエリアが一大産地です。
そのエリアにはヴァカンスの時期になるとフランス国内からだけ
でなく、北方にある国々からもマイルドな気候、この世とは思え
ないほどの美しい風景、地中海の新鮮な魚介類を求め大勢の人が
集います。
ロゼワインは温度を低くしてあげると酸味とミネラルが引き立ち
スリムでシャープな味わいとなります。温度を高くしてあげると
内包されている渋味(タンニン)の主張が解き放たれ、味わいに
豊かさが現れます。1本で2つの楽しみ方が出来る優れものです。
また、見た目の美しさも楽しみの一つで、こんなにも良さがある
ロゼワインを欧米のワイン・ラヴァーは白ワイン、赤ワイン同様
TPOを考慮し、大いに味わっています。
赤ワインや白ワインに遥かに離された人気のロゼワインですが、
この日本でも味わってみたいと思える状況を創り出してあげさえ
すればきっと多くの方が味わってくれる。日本でも例外なくロゼ
ワイン人気を創り出せる。疑う事なくそう信じ当店は常時20種類
以上のロゼワインを販売しています。
そんな中から本日はロゼワインの本場、南フランスのLanguedoc
/ラングドックからやって来た豊かな味わいの1本を紹介致します。


そのロゼワインがこちらです。Mourvedre/ムールヴェドルを主体に
Syrah/シラー、Grenache/グルナッシュの3品種で造られています。
この3品種のブレンドは南フランスの定番とも言え、ロゼワインだけ
でなく、多くの赤ワインも造り出します。
ムールヴェドルは元々スペインの品種で、ヴァレンシア近郊にあった
小さな街Morviedro/モルヴィエドロが原産地と言われ、フランスでの
名称ムールヴェドルなの対し、スペインではMonastrell/モナストレル
と呼ばれています。
ムールヴェドルは果皮に豊かな色素を持ち、その豊かな色素がワイン
に渋味(タンニン)をもたらす事で、出来上がるワインの香味に深み
が出ます。



上の画像はワインをグラスに注ぎ、グラスを傾け外観(色合いや
色調)をチェックし易くした状態です。中庸の色合いでチェリー
ピンクの色調を感じます。この様な外観の時、味わいにはあまり
重厚さを感じないものなのですが、実際はどうなのでしょうか。


このロゼワインの出来上がるまでの行程を簡単に説明いたします。
ロゼワインは通常、白ワインに少量の赤ワインを混ぜて造るのでは
なく、紫色をしたブドウの果皮を果汁にMaceration/マセラシオン
(浸漬)し、果皮の色素を果汁に移しつつ、果汁に含まれる糖分を
酵母の働きでアルコールに変換させ、ワインにします。ロゼワイン
を造れるブドウは普通、赤ワインも造れますので、果汁がロゼ色の
時に果汁と果皮を離さず、果汁が赤い色になるまでマセラシオンを
続け、アルコール発酵を進めれば赤ワインにもなります。
上の画像ではブドウ/Raisin→破砕/Foulage→マセラシオン&発酵/
Fermentation Alcoolique→圧搾/Pressurage(ここで果汁と果皮
が分離します。)→更に発酵→赤ワインとなっていますが、圧搾の
行程を早くすれば、この流れでロゼワインになる訳です。



このロゼワインの故郷、Languedoc/ラングドック地方の典型的な
風景が上の画像で、画像中の建物はこのロゼワインを造るChateau
d'Angles/シャトー・ダングレスです。ラングドック地方も含め、
南フランスの地中海沿岸部のブドウ畑は石灰質の乾燥地帯にあり、
赤丸で囲んだ様な低木が茂り、Garrigue/ガリーグと呼ばれます。
このガリーグ地帯で育まれたブドウで造るワインには、特に赤や
ロゼに、乾燥ハーブスパイスの香りが備わっていて、その様な香り
を見つけたなら、地中海沿岸部のワインだと推測できる訳です。
*Chateau d'Angles 16 Languedoc Rose
シャトー・ダングレス16ラングドック・ロゼ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。チーズなら、
パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:11~15度。
<コクある辛口>
2,000円
渋味(タンニン)がもたらす深みが余韻に明確に残り、赤ワインと
間違えてしまう程の豊かさがこのロゼワインに内包されています。
冷やし過ぎず、香味の芳醇さを引き出しつつ、赤身肉の料理と共に
お楽しみ下さい。
・マグロの赤身のカルパッチョ
・牛肉のハム
等との相性に優れています。