キッコーマンと言う会社がある事を知らない日本人は恐らくいない
でしょう。日本人の食生活に欠かせない醤油を作っている会社です
から。しかし、フランスワインを日本に輸入したパイオニアである
事を知る人はそう多くはないと思います。
私はかつてこの会社の一員としてエアライン、ホテル、レストラン
を担当し、醤油はもちろんですが、ワインを主体に営業活動をして
いました。今も従事しているワイン・ビジネスはそこで始まったの
です。
当時のキッコーマンはフランスワイン、ドイツワインを輸入ワイン
部門の柱として商いを展開していました。ワインラヴァーであれば
誰もが知っているでしょうし、飲んでみたいワインの代表的存在の
Chateau Latour/シャトー・ラトゥールはキッコーマンの独占輸入
ワインでとても身近なワインでした。
他にもいくつかの有名なボルドーワインも取り扱っていて今よりも
当時の方がボルドーワインに関してはより身近であったと思います。
WINE HOUSEを開業して以来、世界中のワインを取り扱う様になり
ボルドーワインへの思いは相対的に下がりました。
そんな中、本当に久し振りにChateau Lynch Moussas/シャトー・
ランシュ・ムーサと言うボルドー赤ワインを販売する事にしました。
このワインもキッコーマンの独占輸入だったワインです。Philippe
Casteja/フィリップ・カステジャさん率いるBorie Manoux/ボリー
・マヌー社の所有するワイナリーで、フィリップさんと一緒に何度
もホテルに営業に行った事を懐かしく思い出しています。
フランスのボルドー地方ではブドウ畑を所有し、その畑のブドウで
ワインを造り販売する造り手をChateau/シャトーと言い、一般的
にワイナリーと呼んでいる場合とほぼ同義です。
ボルドー地方のシャトーは立派な館を構え、敷地の周りにブドウ畑
があり、もちろんそうでない場合もありますが、また他所に複数の
畑を所有し、ブルゴーニュ地方などの造り手から比べるとその規模
は数倍、時には桁違いの大きさになります。
昨年、東京で開かれたVinexpo/ヴィネクスポと同時開催のUnion
des Grans Crus de Bordeaux Tasting/ユニオン・デ・グラン・
クリュ・ド・ボルドー・テイスティングで20年ぶり位にランシュ・
ムーサをテイスティングし、懐かしさが込み上げ、この度の販売を
決心したのでした。
この度、届きましたのは2007ヴィンテージです。ワインなってから
約10年の時を経て、香味に円熟さがシッカリと備わって来ています。
上の画像でご覧頂ける様にワインの縁(エッジ)には茶系の色合いが
入って来ているのを感じます。赤ワインが紫色→赤色→茶色と熟成に
より色合いを変化させて行く事を考えますと外観だけでもある程度の
年を経たワインであると予想できる訳です。
実際に味わってみますと、赤ワインの熟成した状態に備わる典型的な
香り、ドライフラワーや秋の大地、天然のキノコ等をイメージできる
複雑さがあります。
また、フルーティーな要素はあまりなく、辛いと言う意味ではなく、
乾いた様なと言ったほどの意味のドライな口当たりを感じます。これ
も熟成した赤ワインの典型で、外観、香り、味わいが連動し、熟成感
を飲み手に伝えて来ます。
熟成により円熟さを備えた赤ワインを楽しみたいのでしたら、是非、
この赤ワインを!!
Chateau Lynch Moussas 2007 Pauillac
シャトー・ランシュ・ムーサ2007ポーヤック
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとした、コクのある料理。
チーズなら、ブリー。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなミディアム~フルボディー>
7,000円