近年、いわゆるワイン産地(ブドウ栽培地の中と言う程の意味)とは
無縁の地、例えば大都市のど真ん中、で他所から運び込んだブドウを
使いワインを造る革新的な人が各地に現れています。ワイン伝統国で
あるフランスの首都パリにもその様なワイナリーが誕生しました。
パリ初のワイナリーはLes Vignerons Parisiens/レ・ヴィニュロン・
パリジィァンと言い、3区にあります。画像が小さくて分かり難いと
思いますが、セーヌ川まで楽に歩いて行けそうな距離(画像中の赤い
マーク)にあるのが見えます。
もう少し細かく見てみますとPlace de la Repubulique/レピュブリク
広場が北東約500mに、le Centre Pompidou/ポンピドー・センター
が南約400mに、その先にはHotel de Ville/パリ市庁舎が、直線距離
で南西約1300mにMusee du Louvre/ルーヴル美術館があります。
こちらがワイナリーの正面です。7階建てのアパルトマン(日本なら
マンション)の1階の1店舗の様で、遠目にはワインショップかなと
思える外観です。
しかし、中に入りますと一番奥に醸造の為のスペースが、地下には
貯蔵熟成の為のスペースがあり、パーフェクトなクリーンさがある
最先端の設備を持つワイナリーそのものです。
多くの方が黒カビが生えたセラーがあるのがワイナリーとイメージ
していると思いますが、現代では余計な微生物がいない方がワイン
の為には良いとされ、ホコリ一つない床、鏡の様に磨き上げられた
醸造設備、黒カビの生えていない壁、真にこの画像の空間が理想の
ワイナリーなのです。
それではレ・ヴィニュロン・パリジィァンの珠玉のワイン達を紹介
致します。原料ブドウは南フランスの銘醸地Le Rhone/ローヌ川の
流域に広がるCotes du Rhone/ローヌ地方で育まれています。その
ブドウを手厚い保護の下、パリのこの場に運び込み、醸造します。
フランスのワインは原産地名がワイン名になり、ブドウが育まれ、
収穫された後、それをその地(例えばローヌ地方)でワインにした
なら、そのワインはコート・デュ・ローヌと言うワイン名になると
言う具合に。しかし、ブドウがローヌ地方からパリへやって来た後
そこでワインになったのなら、このワインはコート・デュ・ローヌ
にはならず、またパリは原産地呼称を有していない為、フランス産
ワインと言う意味のVin de France/ヴァン・ド・フランスと全ての
ワインがなっています。
今回入荷の唯一の白ワインは3種類のブドウから造られています。
それらはローヌ地方を代表するブドウで、Viognier/ヴィオニエ、
Grenache/グルナッシュ、Roussanne/ルーサンヌです。50%
の使用比率のヴィオニエが白い花や白い果肉の果実の華やかさを
40%の使用比率のグルナッシュが豊かなヴォリュームを、10%
の使用比率のルーサンヌがシャープな酸味をワインに備えさせて
います。
Lutece 2015 Vin de Fraance
ルテス2015ヴァン・ド・フランス
相性の良い料理:わずかな脂肪分を含む素材、オリーヴオイルや
バターを使用した料理。チーズなら、ゴーダ。
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
3,500円
3種類の赤ワインもローヌ地方を代表する超メジャーなブドウを
単一で使い造られています。
先ずはCinsault/サンソーと言うブドウで造られた赤ワインから。
非常に華やかな香りがあり、スミレ、インクやブルーベリーなど
紫をイメージ出来る要素があります。味わいはジューシーで酸味
を基調としたスリムなシャープさがあり綺麗さを感じます。同時
に丸みある温かい厚みがあり、いかにも南仏のワイン(ブドウが
南仏産と言う意味で)らしく仕上がっています。
Turbigo 2015 Vin de France Cinsault
トゥルビゴ2015ヴァン・ド・フランス、サンソー
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。チーズなら、
パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
3,500円
次はGrenache/グルナッシュで造った赤ワインです。このブドウ
で造られた赤ワインの最大の特徴は豊かなアルコールに支えられ
湧き上がる様なふくらみのある酒質である事です。事実、14.5%
もあるこのワインは口中でその厚みを空気で膨らませて行く球の
様に広げます。サンソーの赤ワインと香りの傾向はほぼ同じです
が、この厚みが2つの品種の赤ワインの差異を決定付けています。
Les Templiers 2015 Vin de France Grenache
レ・タンプリエ2015ヴァン・ド・フランス、グルナッシュ
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
チーズなら、ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなフルボディー>
4,500円
最後はSyrah/シラーの赤ワインです。ローヌ地方、南仏で最も
メジャーなブドウのシラーは香り、味わいのリッチさ、力強さ、
重厚さを持ちつつ、角々しさのないラウンドな口当たりがあり
ブラックペッパーをイメージできる口中香を余韻に長く残す事
が特徴です。香辛料のスパイシーさが効いた料理と食す時なら
シラーの赤ワインを迷わず相棒に選んで下さい。
Haussmann 2015 Vin de France Syrah
オースマン2015ヴァン・ド・フランス、シラー
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
チーズなら、ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなフルボディー>
4,500円