2017年3月12日日曜日

カベルネ・ソーヴィニョンfromロシア

世界の色々な国で造られている赤ワインで最も口にする機会が多い
のは間違いなくCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン
で造られた赤ワインでしょう。カベルネ・ソーヴィニョンから誕生
する赤ワインは大きく2つのタイプに分けられます。1つは赤い小粒
の果実を思わせる酸味を基調とし、深い緑色の植物のニュアンスが
あり、渋味(タンニン)がドッシリと感じられる酒質。もう1つは
カシスを思わせるとても華やかなフルーティーさが核となり、酸味
は柔らかく、渋味はピュアな果実味に溶け込み優しく感じ、前者の
タイプほど強く感じない酒質で、前者は主にフランス産に、後者は
カリフォルニア産、チリ産、オーストラリア産などの所謂ニュー・
ワールド・ワインに典型的です。
それではロシア産のカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインはどちら
のタイプになるのでしょうか。カベルネ・ソーヴィニョンも含め、
多くのロシア産ワインをテイスティングして来ましたが、白赤関係
なく、ロシア産ワインの大きな特徴はピュアな美しい果実味が明確
にある事です。つまりカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインは後者
のタイプ、ニュー・ワールド・スタイルなのです。


どうしてそのスタイルになるのでしょうか。上の画像をご覧下さい。
ロシアのワイン産地は北緯45度前後で、左側やや上にある赤い
辺りです。ほぼ同じ北緯にはフランスの産地があります。
黒海の沿岸にワイン産地がありますが、カベルネ・ソーヴィニョン
の故郷、フランスのボルドーの様に海洋からの影響を受ける海洋性
気候ではなく、内陸に位置し、海洋からの影響をほとんど受けない
大陸性気候下にその地はあります。
大陸性気候はブドウ栽培期にあまり雨が降らず、比較的乾燥し、昼
と夜の気温差が大きいのが特徴です。この気温差がブドウの成熟に
於いて実に酸味を十分留め、また豊かな果実味と糖度を備えさせる
のです。この様なブドウから出来るワインには既に記述しました様
にカシスの実、カシスのリキュール、紫色の花を思わせる華やかさ
があり、口当たりはしなやかで角々しさの全くない丸みを感じます。
そこに醸造や熟成で使ったオーク樽から移行した成分が加わる事で
キメの細かい柔和なリッチさが生まれます。それらが密に融合し、
優美さ、柔和さ、深みを備えたワインとなるのです。



ロシアは広大です。永久凍土のシベリアもありワインの産地がどこ
にあるかイメージし難いでしょう。ロシアのワイン産地は上の画像
の赤いエリア、Krasnodar/クラスナダールの周辺と黒海の北沿岸
Anapa/アナパ周辺、更にCrimea Peninsula/クリミア半島(ここは
ロシアじゃなくてウクライナだろと言う方がいると思います。それ
については既にアップしてあるSaperavi/サペラヴィfromロシアで
触れていますのでご覧下さい。)に分布しています。ロシアの中で
比較的マイルドな気候下にあるエリアです。


Krasnostop/クラスナストープ、Saperavi/サペラヴィと紹介しました
が、本日のワインも同じ造り手の商品です。ラベル上にはCabernet/
カベルネとしか書いてありませんが、カベルネ・ソーヴィニョンだけ
で造られています。
*Chateau Tamagne 2014 Cabernet
  シャトー・タマーニュ2014カベルネ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
3,000円(消費税別)
・果実味が非常に明確なので、この赤ワイン自体を果実とみなして
生ハムと合わせ楽しむ事も出来ます。
・ブルーベリーやクランベリーなどで造ったソースを添えた鳥肉の
料理との相性にも優れています。