のは間違いなくCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン
で造られた赤ワインでしょう。カベルネ・ソーヴィニョンから誕生
する赤ワインは大きく2つのタイプに分けられます。1つは赤い小粒
の果実を思わせる酸味を基調とし、深い緑色の植物のニュアンスが
あり、渋味(タンニン)がドッシリと感じられる酒質。もう1つは
カシスを思わせるとても華やかなフルーティーさが核となり、酸味
は柔らかく、渋味はピュアな果実味に溶け込み優しく感じ、前者の
タイプほど強く感じない酒質で、前者は主にフランス産に、後者は
カリフォルニア産、チリ産、オーストラリア産などの所謂ニュー・
ワールド・ワインに典型的です。
それではロシア産のカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインはどちら
のタイプになるのでしょうか。カベルネ・ソーヴィニョンも含め、
多くのロシア産ワインをテイスティングして来ましたが、白赤関係
なく、ロシア産ワインの大きな特徴はピュアな美しい果実味が明確
にある事です。つまりカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインは後者
のタイプ、ニュー・ワールド・スタイルなのです。
どうしてそのスタイルになるのでしょうか。上の画像をご覧下さい。
ロシアのワイン産地は北緯45度前後で、左側やや上にある赤い★の
辺りです。ほぼ同じ北緯にはフランスの産地があります。
黒海の沿岸にワイン産地がありますが、カベルネ・ソーヴィニョン
の故郷、フランスのボルドーの様に海洋からの影響を受ける海洋性
気候ではなく、内陸に位置し、海洋からの影響をほとんど受けない
大陸性気候下にその地はあります。
大陸性気候はブドウ栽培期にあまり雨が降らず、比較的乾燥し、昼
と夜の気温差が大きいのが特徴です。この気温差がブドウの成熟に
於いて実に酸味を十分留め、また豊かな果実味と糖度を備えさせる
のです。この様なブドウから出来るワインには既に記述しました様
にカシスの実、カシスのリキュール、紫色の花を思わせる華やかさ
があり、口当たりはしなやかで角々しさの全くない丸みを感じます。
そこに醸造や熟成で使ったオーク樽から移行した成分が加わる事で
キメの細かい柔和なリッチさが生まれます。それらが密に融合し、
優美さ、柔和さ、深みを備えたワインとなるのです。
ロシアは広大です。永久凍土のシベリアもありワインの産地がどこ
にあるかイメージし難いでしょう。ロシアのワイン産地は上の画像
の赤いエリア、Krasnodar/クラスナダールの周辺と黒海の北沿岸
Anapa/アナパ周辺、更にCrimea Peninsula/クリミア半島(ここは
ロシアじゃなくてウクライナだろと言う方がいると思います。それ
については既にアップしてあるSaperavi/サペラヴィfromロシアで
触れていますのでご覧下さい。)に分布しています。ロシアの中で
比較的マイルドな気候下にあるエリアです。
Krasnostop/クラスナストープ、Saperavi/サペラヴィと紹介しました
が、本日のワインも同じ造り手の商品です。ラベル上にはCabernet/
カベルネとしか書いてありませんが、カベルネ・ソーヴィニョンだけ
で造られています。
*Chateau Tamagne 2014 Cabernet
シャトー・タマーニュ2014カベルネ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
3,000円(消費税別)
・果実味が非常に明確なので、この赤ワイン自体を果実とみなして
生ハムと合わせ楽しむ事も出来ます。
・ブルーベリーやクランベリーなどで造ったソースを添えた鳥肉の
料理との相性にも優れています。