2016年11月21日月曜日

驚きはいつも意外な所からPart1

ワインの世界の常識、それは北緯30~50度、南緯20~40度の範囲に
入っているエリアがワイン造りに適している。この業界に入った30年前
にはその常識に例外など全くありませんでした。
私達が住むこの世界には多くの常識があり、多くの非常識もあります。
しかし思い出してみて下さい。一昔前に常識だった事が今では非常識
に、非常識だった事が今では常識になっている事がありませんか?
時を経れば色々な事が変わり、常識と非常識の線引きも変わります。
ワインの世界ではそんな事がしばしば起こります。そうと判っていても
時に大きな衝撃を受けます。
New Latitude Wine/新緯度ワインを標榜し、世界のワイン・マーケット
に華々しく登場したタイ・ワイン。それ以前には世界のワイン・ラヴァー
をその品質の凄さでノック・アウトしたインド・ワイン。それらは以前の
常識では非常識の、あり得ない所から出現した、あり得ないレヴェル
の産物です。




かつての常識は上の画像ではピンク色の中に、非常識はそれ以外の
所に例外なくありました。インドやタイは確実に非常識のエリアだった
のです。
しかし、非常識エリアから登場した新たな常識はそれだけでは終わり
ません。新たな旋風を巻き起こす予感大の新常識がインドネシアの
バリ島から出現しました。
検索しますとバリ島には3つのワイナリーがある様です。過日、参加
したHong Kong International Wine and Spirits Fair/香港国際美酒展
で初対面したその内の2つのワイナリー、Sababay Winery/サバベイ
・ワイナリーとHatten Wines/ハッテン・ワインズには完全にノック・
アウトされてしまいました。
バリ島には行った事がありませんので、どうしてその様なロケーション
からノック・アウトされてしまう程のワインが誕生するのか?全く想像
不可能です。




想像不可能でしたので、色々聞いてみました。上の画像の赤い枠内
がワイン醸造用ブドウの畑があるエリアです。バリ島は南緯8度付近
に位置していますので、北側のエリアですが、北半球なら南部です。
イタリアのシチリア島など暑い気候下のエリアでは少しでも冷涼さを
求める為、ブドウ畑を北側斜面に拓く事があります。バリ島もイメージ
は暑いですから、本来なら南側斜面に畑を拓くのが自然の流れです。
バリ島内陸には3,000mを超す山があり、その斜面が海岸線に向かい
長く伸びています。土壌は火山性で、海からの影響が絶え間なくある
海岸部、乾燥した晴れの日。それらに加え、この気候風土に最適な
ブドウ品種、クローンを選び、注意深く栽培する。その組み合わせが
北側斜面で好結果をもたらしているそうです。
今はまだイメージだけです。なぜ、そうなのか。現地で実際に見聞し
真実を把握する。来年は約束を遂行し、現地で真実を見聞します。





香港国際美酒展ではサバベイ・ワイナリーのワインを4種類チェックし、
中でもPink Blossom/ピンク・ブロッサム(ロゼ)、Ludisia/ルディシア
(赤)には強烈なインパクトを受けました。
どちらもAlphonse Lavallee/アルフォンソ・ラヴァジェと言うブドウで
造られています。このブドウはMuscat Hamburg/ミュスカ・ハンブルグ
を親に持つ交配品種で主にインドネシアで栽培されています。
ピンク・ブロッサムはサクランボやプラムを思わせるフレッシュな香り
があり、味わいには明確なタンニン(渋味)を感じます。チャーミング
な酒質ではありますが、タンニンを明確に感じる為、トマトを使った
ソースならミートソースの様な味わい深い方がより良くマリアージュ
します。




ルディシアは落ち着きがあり、優しい甘味を感じる赤ワインです。香りに
オリエンタルなスパイスを思わせる香りがあり、熟成による複雑さある
味わいに深みを感じます。
丸みある酒質はワインだけをシットリ味わうのにも向いていますが、鰻
の蒲焼や煮穴子に山椒をひと振りして食す時にも大活躍します。
会場のブースにいたサバベイ・ワイナリーでコンサルタントをしている
Yoke/ヨークさんは鰻の蒲焼が好みとの事で、蒲焼を食べる時は山椒
をかけ、ルディシアを飲んでねと伝えると、次の機会に試すと言って
いました。





上の画像はサバベイ・ワイナリーのオーナーの娘のEvy/エヴィさんで
ワイナリーのCEO兼アシスタント・ワイン・メーカーです。将来、自分の
力でサバベイ・ワイナリーのワインを造る事を目標にし、日本で言う所
の修行中の身の今です。
アジアでは日本に三澤彩奈さん、タイにNikki/ニッキさんが世界的に
有名なワイン・メーカーとして活躍しています。エヴィさんは今、2人を
目標に日々精進しています。
バリ島のもう1軒のワイナリー、Hatten Wines/ハッテン・ワインズの
ワインを次回、紹介致します。