フェニキア人、ギリシャ人の上陸からブドウ栽培が始まり、現在のイタリア
国内で最も古いワイン造りの歴史を持つ州の一つながら、恵まれた自然
気候条件の為、大量生産の対象となってしまう農作物。ワインを造る為の
ブドウも例外ではありませんでした。
かつては北部の淡い酒質を力強くする為のブレンドワインの産地として、
また最近までは安価なデイリーワインの大供給地として、Puglia/プーリア
の産地は存在していました。
イタリア全体が1980年代に量より質をワインに求め出した事をきっかけに
大量生産の産地、プーリアも高品質ワインを造る事に方向転換しました。
恵まれた自然環境の中で制限を加え栽培し、収穫量も抑え育まれるなら
そのブドウは高品質でない訳がありません。良いワインは良いブドウから。
これが基本ですから、プーリアが高品質ワインを誕生させる事は必然の
流れでした。
それが結実したと言えるのが2011年の事です。プーリアを代表するワイン
Castel del Monte/カステル・デル・モンテの4タイプが一度にワイン法で
最高位に格付けされるD.O.C.G.(国家の厳しい検査をパスした統制保証
原産地呼称ワイン)に認定されたのです。
上の画像はTorrevento/トッレヴェントが造ったカステル・デル・モンテです。
左が2010年産、右が2012年産です。同じ様なラヴェルに見えますが、右
のラヴェルには左には記載のないD.O.C.G.の記載がCastel del Monte
とRiserva年号の間にハッキリ見えます。
ワイン法ではD.O.C.G.の下にD.O.C.と言う格があり、D.O.C.に認められ
10年を経過すると上の格のD.O.C.G.への昇格検査の挑戦権を得られる
事になっています。
このカステル・デル・モンテ・リゼルヴァを造るトッレヴェントは非常に評価
の高い造り手で、それにも関わらず、販売価格は抑え気味ですから、何を
買おうか迷った時には選択すべき最良の候補になります。
州の面積のほとんどが平野のプーリアですが、カステル・デル・モンテの
産地は海抜500m程の丘陵地帯で、この州内では比較的冷涼な気候下
にあります。その為、州内の他のワインに比べ、綺麗な果実味が優美に
備わり、味わいにも繊細さを感じます。
カステル・デル・モンテのワイン産地はバーリ駅から車で1時間程、西方に
進んだエリアにあり、13世紀のフリードリヒ2世により建てられた印象的な
外観のカステル・デル・モンテ城が近くにあります。また、アルタ・ムルジャ
国立公園内でもありますから、ゆっくりと寛ぐには最高の場所です。
運転に自信のある方なら、バーリ駅近くでレンタカーを借り、デリで食料を
調達し、カステル・デル・モンテでデイ・トリップをしてみるのも選択肢として
ありでしょう。
*Torrevento 2012 Castel del Monte Riserva
トッレ・ヴェント2012カステル・デル・モンテ・リゼルヴァ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
2,500円(消費税別)
リゼルヴァとは、ワイン法で規定された通常の熟成期間よりも長い熟成
をさせ酒質を洗練させたと言う程の意味です。