南北に約1,300㎞に渡り国土を広げるイタリア共和国は20州からなり、
その20州が別々の国であるかの様に全く異なる風景、食文化を持ち
個性を発揮しています。北部イタリア、中部イタリア、南部イタリアなど
と便宜的に分けていますが、20州それぞれが超個性的なのですから、
大きく3つに分けて語るのは正確性に欠けそうです。
昨年の秋にトリノからナポリまで北へ東へ西へと行ったり来たりしつつ
レンタカーでワイナリーを無数訪問しながら南下しました。その時に州
をまたぐ毎に国境を超えたかの様な錯覚を覚えたものでした。
イタリアの多くの州が平野があっても直ぐに丘や山が迫り、地平線を
見渡せる地勢ではないのですが、Ancona/アンコーナからPescara/
ペスカーラそしてBari/バーリへと海岸沿いを進むにつれ、海岸線から
山や丘までの距離が広くなって行きます。
バーリがあるPuglia/プーリア州に入ると植物相が急変します。まるで
南国です。空の青さ、海の青さも眩い程に鮮やかになります。そして、
高くそびえる山は殆どなくなり、地平線が見渡せる様になります。
また、ブドウの樹の仕立て方が北中部イタリアとは全く異なり、私達、
日本人が山梨県勝沼町で見かける様なブドウ畑の光景になります。
このエリアまで来ると陽射しが容赦なく刺すように照り付けます。日本
では湿気が地表近くの湿気が高い為、ブドウの実を腐敗させない為、
頭上に実がなる様に樹を仕立てますが、当地では日焼けで実が傷む
事を防ぐ為、葉を屋根代わりに茂らせ栽培するのです。
見渡す限り農地です。この州が大農産地である事が明白に判ります。
棚仕立てのブドウ畑、オリーヴ畑、そしてまたブドウ畑と言った具合に。
プーリア州はかつて低価格ワインの大量生産地でした。大量にワイン
を造り、別所の大手ワイナリー(海外も含む)に売る、いわゆるバルク
ワインの一大産地だったのです。
しかし、1980年代以降、その形態が変化して行きます。イタリア全体が
その流れにあったのですが、量ではなく、質を追求し始めます。元々、
気候風土に恵まれた地でしたから、質を求めさえすれば、次元の違う
良質のブドウが出来る訳で、そのブドウでワインを造ればバルクワイン
などにしたら勿体ないラヴェルのワインが誕生するのです。
それを証明するかの様に2011年にワイン法で最上位にランクされる
統制保証原産地呼称ワイン(D.O.C.G.)に一度に4つのワインが認め
られたのです。
その4つはバーリの街からそう遠くはないCastel del Monte/カステル
・デル・モンテと言う地で誕生します。世界遺産の城もあるその地を
D.O.C.G.ワインと共に次回、紹介致します。
バーリの駅前です。かなり大きい駅なのですが、薄暗く、非常に静かな
雰囲気です。この駅の規模で夕暮れ時なら、日本ではこの様な光景を
決して見ないでしょう。
これを寂しいと感じるのか。静寂を喜んで受け入れるのか。個人的には
夕闇と共に訪れる無音の静寂さがワイン産地に滞在している時の最大
の楽しみの一つです。