2016年6月3日金曜日

ポテンシャル@中華人民共和国のワイン

中国ワイン・カンファレンスや中国ワイン・テイスティングセミナーの参加
Vinexpo Hong Kong '16に出展していた中国のワイナリーのブースでの
テイスティングを通じ、中国のワイン事情に接して来ました。昨夏の中国
訪問で既に中国ワインのレヴェルの高さは実感していましたが、今回の
体験を通じ、本を1冊書けるほどの知識を得る事が出来ました。
国際マーケットをターゲットにしているワイナリーのワインはその全てが
極めて高品質に仕上がっている。
その一方で、品質の向上を目指す必要が大いにあるワイナリーが多数
存在する。
中国はワインと言う世界、ワイン市場で学習している真っ最中で、今後
の大きな発展を目指している。
それ故、中国国内の消費は既に名声を得ている外国からの輸入ワイン
(フランスワイン、オーストラリアワイン、イタリアワイン)が殆どで、中国
のワインはレストランでの海外からやって来たお客様向けと位置付けて
いる。
非公式ながらアナウンスされていたワイナリー数約2,000は商いをして
いないワイナリーも含まれ、実際の商業ワイナリーの数は約700である。
ブドウ畑の広さはスペインに次いで世界第2位で、その面積の内10%が
ワイン醸造用の高貴品種を育む畑である。これは事実である。
造られているワインの76%が辛口の赤で9%が辛口の白、アイスワインを
含む甘口のワインが10%、ロゼワインとスパークリングワインは非常に
少ない。
中国国民がワインについて理解を深めるに従い、スパークリングワイン
と白ワインが大きく増加すると予想されている。
Helan Mountain/ヘラン山のあるNingxia/ニンシア(寧夏回族自治区)を
Grand Cru/特級畑の産地にしようと国家プロジェクトとして取り組んで
いる最中である。




日照、降水、気温、土壌などの自然条件を考慮し、産地をまとめると7つ
に分けられる。
上の画像中に蛇行して引かれている赤線の北と南では大きく自然環境
が異なり、赤線の北ではブドウの収穫が終わり厳寒な冬が来る前に樹
を土の中に埋め、防寒しなければならない重労働が待っている。
などなど。たった1週間弱を費やしただけでしたが、ここ日本で約1年近く
かけ座学で得た知識を遥かに上回る知識を取り込めました。



今回参加した複数のイヴェントでテイスティングした純中国産ワインは
約100種類。Chardonnay/シャルドネやRiesling/リースリングで造られた
白ワイン、Cabernet/カベルネ種で造られたロゼワイン、そして赤ワイン
ほとんど全て、特にMarselan/マルスランで造られた赤に驚きの品質の
ワインがありました。
マルスランは南仏の研究所で交配開発されたブドウで色の濃い、果実
の風味が豊かな、そして柔らかいヴォリュームのある酒質の赤ワインを
造り出せ、中国のワイナリーはこの品種で世界にアピールしたい考えを
持っています。




中国のトップワイナリー怡園酒荘/Grace Vineyard。世界中から大注目
されているのを証明するかの様に、ブースには多くの参加者が集まり
テイスティングをするスペースを創るのも一苦労でした。
このワイナリーのワインは既に知っていましたし、4種類のAngelina/
アンジェリーナと言うスパークリングワインを店で販売しているのですが
今回の目的は中国国内でグレイス・ヴィンヤードだけが栽培、醸造する
元々はイタリアのブドウAglianico/アリアーニコから造られた赤ワインを
テイスティングする事です。
南イタリアの銘酒と言われるTaurasi/タウラジがこの品種から造られて
いますが、ブラインドでテイスティングしたなら思わずタウラジと答えて
しまうまでに素晴らしい出来映えで、中国ワインの凄さを実感するには
十分過ぎる逸品でした。
アンジェリーナを輸入するインポーターがグレイス・ヴィンヤードの他の
ワインを輸入する予定ですので、早くその瞬間が来ないかと今はただ
願うばかりです。