2016年5月13日金曜日

サイドウェイズに登場

ワイナリー巡りはワイン好きにとって至福の時です。かつてワイナリー
を訪問するのはワイン業界で働く人の特権でした。しかし、時が移り、
ワインの消費形態に変化が起こり、造り手が消費者に直接アプローチ
する状況や消費者がワイナリーに自ら赴き、自己を満足させる状況が
普遍的になりました。
そんな状況にフォーカスし、創り上げたワインツーリズム映画、皆様も
ご存知のSIDEWAYS/サイドウェイ。世界中で大ヒットした事も記憶に
残っているでしょう。
この映画がきっかけとなり、カリフォルニアでは休みの日にワイナリー
に車で乗り付け、テイスティングカウンターで色々テイスティングし、
お気に入りのワインを探し出し、それらをケース単位で購入する。これ
が一つのライフスタイルになりました。
週末はどこのワイナリーも大混雑ですし、人気のあるワイナリーでは
平日であっても多くのお客様がワインを買いにやって来ます。接客業
に従事している人間として商いが順調な様を見るのは他人の事でも
うれしくなります。




アメリカ版サイドウェイはDVDを持っていますから何度も見た事が
あるのですが、それをリメイクした日本版サイドウェイズがあった
とはノーマークでした。邦画を見ないのは罪な事です。
カリフォルニアのワイン産地巡りから戻り、訪問したワイナリーの
事を再チェックしていました所、その日本版サイドウェイズが現地
でゴージャスなひと時を過ごしたワイナリーでもロケをしていた事
を知りました。そのワンシーンが上の画像です。
そこはDarioush/ダリオーシュと言い、イランからの移民Khaledi/
カレディさんがアメリカン・ドリームを実現させたワイナリーです。
このワイナリーを何故、訪れたのか?それは1日たりとも開かない
事がない私にとってのバイブルとも言える「世界のワイン図鑑」
にパルテノン神殿の様な外観のワイナリーの写真が載っていて
そんな豪華なワイナリーなど見た事も行った事もなかった事から
大きな関心、興味を持った事がきっかけです。





こちらがワイナリーへと進む入口です。イランから掘り出しこの地へ
持って来た大理石で作った建造物は既に豪華そのものです。一体
建物の中はどれほど凄いのか。




おぉー、これだ。真に宮殿です。このシーンにここへの訪問の決心
を促された訳です。これからどんな楽しみがまっているのか、遠足
に行く前の晩の心境です。
週末とは言え、金曜日ですが駐車場に10台ほどの車が止まって
います。中に入ると右側にコンシェルジュがいて、訪問の用件を
聞き、直ぐに係りの人を手配してくれます。手際の良さは一流の
ホテル並みです。
このエリアの中央にはテイスティングカウンター、むしろワインバー
の感じ、があり、ダリオーシュのワイン全てが有料のバイ・ザ・グラス
で楽しめます。
今となっては後の祭りですが、ここで撮影したんだな。日本から来た
事を知っていたのだから、ワイナリースタッフは教えてくれれば良い
のに...。




予め予約したプログラムはオーナーの自宅の居間を再現した部屋
で、ガイドお勧めの白ワインと赤ワインを1種類ずつ味わいながら
ダリオーシュの歴史のレクチャーを受ける→隣接のブドウ畑の見学
→ワイナリー内部の見学→オーナーのプライベートセラー内で現在
販売中の全てのダリオーシュのワインを味わい、それに合わせ用意
した料理とのペアリングを楽しむ。2時間強のこのワイナリーが提供
する最も豪華なプログラムで一人当たり$150です。それが高いと
感じるのかそうでないかは人それぞれの様ですが、個人的見解は
安すぎる位と思っています。




ホスピタリティーに溢れたワイナリーですので、季節を考慮した色々な
イヴェントが定期的に開催されているとの事。上の画像はワイナリー
の建物の北側にあるバルコニーで、この地上部は半円形の野外劇場
になっていて、ワインを片手に劇や音楽を楽しむそうです。バルコニー
では出演者の熱演、手にはダリオーシュのゴージャスな香味のワイン。
ここは何もかもがセレブな気分にさせてくれます。





野外劇場エリアから地下の醸造所に降り、内部を一通り見学すると
いよいよお待ちかねのワインと料理のペアリング体験です。それを
する場所はオーナー自ら収集したワインが眠るセラー内です。その
セラーが上の画像の奥正面にあります。そして中はこんな感じで↓
準備万端になっています。




フランスやイタリアのワイナリーを訪問してもあまり話題にならない
ワインと料理のペアリング。しかし、今回、訪問したカリフォルニア
のワイナリーでは必ずその話題になります。自分たちのワインを
最高に引き立ててくれる料理を知る事で余す所なく全ての香味を
堪能してほしい。そんな思いを強くいつも持って、訪問者に接し、
言うなれば教育的立場で消費者を育てているとも言えます。




それにしてもセラーに保管されているワインには驚きです。手に取る
事さえはばかるほどの高額ワインのオンパレードです。セラー内の
ワイン全てを売却したら、一体いくらになるのか。億、いや十数億に
なるかもしれません。
カリフォルニアに行く事がありましたら是非、ワイナリー巡りも予定に
組み込んでみて下さい。サン・フランシスコの南方ならアメリカ版の
サイドウェイ、サン・フランシスコの北方なら日本版のサイドウェイズ
の気分を味わえます。