2016年4月21日木曜日

眩いばかりの輝きが

そのワイナリーのワインを1種類入手するのさえ、大きな困難が伴うと
言われているにも関わらず、畑違い、しかも同一ヴィンテージの3種類
を一度に入手したのだから、覚悟を決めて、その3種類を一挙に比較
ブラインド・テイスティングしてしまおう。



清水の舞台から飛び降りる。そんな心持で望んだワインを造り出した
ワイナリーはNapa Valley/ナパ・ヴァレーの中の一つの産地Diamond
Mountain District/ダイヤモンド・マウンテン・ディストリクトにあります。
上の画像のガイド・ブックの記載情報には「ナパの宝石ともいえる...。」
と評されているDiamond Creek/ダイヤモンド・クリークです。
Cabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョンと言うブドウでのワイン
造りに注力し、自己所有の3つの畑の異なる環境、自然状況の違い
がブドウの性質の違い、ひいてはワインの個性の違いを生むと言う
真実を明らかにしています。 




上の画像に3つのコルクが置かれています。そこが3つの畑です。
大昔の火山の噴火に伴い堆積した火山性土壌の畑Volcanic Hill
/ヴォルカニック・ヒル、鉄分を多く含んだ赤い土壌の畑Red Rock
Terrace/レッド・ロック・テラス、大昔の川床だった名残から砂利
が非常に多い畑Gravelly Meadow/グラヴリー・メドウになります。
画像の右側が東になり、東方面から西方面に向け、標高が高く
まります。また、畑と畑の間を流れる小川(画像中の水色の部分)
に向かって畑が向きを低くします。
ヴォルカニック・ヒルは南向きの斜面、レッロ・ロック・テラスは北
向きの斜面、グラヴリー・メドウは東向きの斜面になり、向きと
標高などの影響で、ヴォルカニック・ヒルとレッド・ロック・テラス
は温暖な気候下に、グラヴリー・メドウは冷涼な気候下にあり、
ヴォルカニック・ヒルは南向きの斜面である事から特に温暖な
気候下になります。




上の画像はそれぞれの畑のロケーションを立体的に見える様
になっていて、V、R、Gはそれぞれの畑名の頭文字です。この
様にそれぞれが接近しているにも関わらず、気象条件に違い
が現れる事を微気候(Microclimate/マイクロクライメット)と
言い、これを利用したブドウ栽培が良質のワイン造りの原点
になるのです。




3つの畑から誕生した2013ヴィンテージのCabernet Sauvignon
/カベルネ・ソーヴィニョンの3種類の赤ワインをブラインドで
比較してみました。
外観には大きな差異はありません。強いて言えば、真ん中の
グラスのワインの色調に黒味が弱い様に感じました。香りを
チェックしました所、大きな違いを感じる事が出来ました。両側
のグラスのワインはアメリカンチェリーやブラックベリーなどの
黒味の強い果皮をした果実の香りがあり、真ん中のワインは
それがほとんどありません。
この時点で一つの推測が出来ます。両側のワインには何らか
の共通項があり、真ん中のワインにはそれに該当しない事が
あると。
3つの畑を思い浮かべてみます。ヴォルカニック・ヒルとレッド
・ロック・テラスは温暖、それに対しグラヴリー・メドウは冷涼。
2対1に分かれます。味わって、それでも同じ組み分けになる
様なら、温暖と冷涼での分け方でOKでしょう。
左)酸味中。タンニン多。ふくよかで重厚。
中)酸味多め。タンニン多め。ジューシーで柔和。
右)酸味多め。ミネラリーさ豊か。タンニン多。力強く重厚。
酸味で分けると2対1、タンニンで分けると2対1、酒質で分ける
と2対1になりますが、その組み合わせが常に両側と真ん中
にはなりません。困りました。
そこでそれぞれの土壌を思い浮かべる事にしました。火山性
の土壌で育まれたブドウで造った赤ワインは力強く、肉付き
のある酒質に、鉄分を含んだ土壌で育まれたブドウで造った
赤ワインは力強く、厳格でスパイシーな酒質に、砂利を多く
含み水はけの良い土壌で育まれたブドウで造った赤ワイン
は華やかな果実味、エレガントさを備えた酒質になる傾向が
あります。
それらを加え、再考してみましたら、力強さと言うキーワード
は両側のワインに当てはまり、エレガントさと言うキーワード
は真ん中のワインに当てはまりますので、総合的に判断し、
温暖と冷涼で分けた通りで良いのではとしました。
では、どちらがヴォルカニック・ヒルで、どちらがレッド・ロック・
テラスなのか?火山性土壌で育まれたブドウで造った時の
酒質にミネラリーさが顕著に現れる傾向があります。その点
にフォーカスしますと、右側のワインがそれに該当するかと。
果たして結果は...。左からレッド・ロック・テラス、グラヴリー・
メドウ、そしてヴォルカニック・ヒルに。
ブドウが違えば香り、味が異なる事は容易に想像できますが、
例え同じブドウであっても育まれた環境が異なれば、やはり
香り、味は異なる。それを明確に再認識できた貴重な機会に
感謝し、清水の舞台から飛び降りた気になり行ったこの企画
が有益であった事で満足度は限りなく∞となりました。
それにしてもこれが宝石と形容されるワイナリーの赤ワイン
なのか。その香味について多くを語る事は全くの無用。ただ
ただ凄い。これに尽きます。
無言で味わい、その香味に酔いしれる。その繰り返し。眩い
ばかりの輝きを放つダイヤモンドに見惚れうっとりする感覚
はきっとこんなのではないか。ダイヤモンド・クリークの3種類
の赤ワイン、再び味わい比べる日は来るのだろうか?
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ダイヤモンド・クリークの2013ヴィンテージの3種類の畑違い
のカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワイン、実はもう一組を所有
しています。このブログを読んで、興味が沸き、自分も実感
してみたいなと思った方がいるかもしれません。3本まとめて
お買い上げ頂ける方にお譲りしたいと思っています。高額の
買物になりますので、清水の舞台から飛び降りる、その様な
気持ちがセットされたなら、ご来店下さい。諭吉15枚です。