2016年4月17日日曜日

最も無名な政府認定ブドウ栽培地域かもしれませんが

カリフォルニアのワイン産地Napa Valley/ナパ・ヴァレーで最も東にある
A.V.A./アヴァ(アメリカ合衆国政府認定ブドウ栽培地域)のChiles Valley
/チレス・ヴァレー。恐らくナパで最も無名なワイン産地かもしれません。



そこはナパ・ヴァレーの中心地Rutherford/ラザフォード(現地の人は
ルサフォードと発音)の街中を走る128号線を東へ道なりに進み、山を
一つ越えた盆地にあります。




標高約200~300mで北西の方向(Pope Valley/ポープ・ヴァレーの
方向)へ走る道路の東側の平地からその先の小高い丘や山の麓
の傾斜地にブドウ畑が広がるのどかな農村地帯です。





カリフォルニアのワイン産地に多いのですが、ここでもブドウの樹
と樹の間の地表には植物が生え、訪れた時には花が咲き乱れ、
一面が鮮やかな黄色に染まっていました。
地表に植物を生やすのには訳があり、降雨の少ない時期に土壌
が乾燥しない様に土を隠す為。土中深くブドウ樹が根を張り養分
をシッカリと吸い上げる様にする為、降雨や風による地表の流失
を防ぐ為などによります。





最も無名と思われるA.V.A.をなぜ訪れたのか。他の人がする事と
同じ事をするのを好まない事もありますが、この地でSauvignon
Blanc/ソーヴィニョン・ブラン種を主体に素晴らしい白ワインを造る
ワイナリーがあると知り、そこへワインを買いに行こうと思ったから
でした。
そのワイナリーはドイツにオリジンを持つSievers/ジーヴェルス家
が稼働させていたのをドイツから移住して来たEisele/アイズレ家
1976年に譲り受け、設立したVolker Eisele/フォルカー・アイズリー
と言います。
上の画像がワイナリーの外観、下の画像がテイスティングルーム
とオフィス、この下の階が醸造所になっています。木のぬくもりの
温かさを感じるいかにも農家と言った雰囲気です。
ワインは農作物、農作物であるブドウの変化形ですから、ワイン
を造るワイナリーも農家らしさがあるのは当然と言えば当然です。






こじんまりとした家族経営のワイナリーでは1種類の白ワインと
2種類の赤ワインを造っていて、それを個人の消費者への直接
販売を主体に商いをしています。
日本への輸出はありますが、スポットの要素が大きく、輸入元
と定期的な取り引きではないそうで、訪れた時にどうしてここを
知ったのかと質問されました。日本ではここの事を知る機会は
ないはずだからと...。
購入した白ワインを帰国後、味わいましたが、一緒に味わった
フランスのボルドーの白ワインと全く遜色なく、果実のピュアさ
を感じ取りやすい繊細な酒質はむしろフォルカー・アイズリー
の方が優れていて、この様なワインがスポットでしか日本へと
輸出されていないのに物足りなさを感じてしまいました。
超近代的な設備を備え、一点の曇りも感じない綺麗な造りの
ワインを誕生させるワイナリーもあれば、このワイナリーの様
に昔ながらの面影を残すこじんまりとした醸造所で温かみを
感じるワインを誕生させる所もあり、北カリフォルニアの産地
巡りはメリハリがあります。