2016年4月8日金曜日

Aubert Wines/オーベール・ワインズPart2

Chardonnay/シャルドネとPinot Noir/ピノ・ノワのスペシャリストのAubert
Wines/オーベール・ワインズ。この2つの品種は冷涼な気候を好みます
ので、彼らにブドウを供給する畑はカリフォルニア州のNapa Valley/ナパ
・ヴァレーとSonoma Coast/ソノマ・コーストに点在しています。
カリフォルニア州の沖合を寒流の北大西洋海流が北方から南方へ流れ、
低い水温の沿岸部から陸地へと流れ込む冷気の影響で海に近い程、
気候が冷涼になります。その様な地がシャルドネやピノ・ノワの栽培地と
して適しているのです。
沿岸部からの冷気の影響が少ないのなら、畑を標高の高い場所や午後
の強い西日が射さない東向きの斜面、場合によっては北向きの斜面も、
が適地になります。




この度、当店へ届いたオーベール・ワインズのワインはアメリカ合衆国認定
ブドウ栽培地域のLos Carneros/ロス・カールネロスで栽培されたシャルドネ
から造られた白ワインです。
カルネロスは上の画像の赤いエリア。サン・フランシスコの北東にあるサン
・パブロ湾にほど近い場所に位置しています。このエリアは青色の矢印の
様な流れで海からの冷気が流れ込むと同時に発生した霧がこの地を覆う
事で日夜の気温差が非常に大きく、また昼頃に霧が消えると燦々と陽光が
降り注ぎ、ブドウの活発な活動を促します。




ご覧下さい。霧が消え、まぶしい位に陽光が降り注ぐ様を。子羊が群れ、
草を食む光景が至る所にあった、今でも見られますが、そこから沢山の
子羊(ロス・カルネロス)と命名されたこの地は、シャルドネとピノ・ノワの
大切な供給地として多くの優良ワイナリーから支持されています。




多くのワイナリーからこの地で最も信頼されているブドウ栽培者の一つ
Hyde Vineyards/ハイド・ヴィンヤーズ。高品質のシャルドネの白ワイン
を造りたければ、ここからブドウを分けて貰え。分けて貰えないのなら、
造るのを諦めろ。こんな風に言われるまでに信頼された存在です。
シャルドネは元々、フランスのブルゴーニュ地方のブドウ。冷涼な気候
を好み、そのリクエストに応えられる地で栽培され、収穫されますので
そのシャルドネから同じ様な条件で白ワインを造れば、同じ様な酒質
のワインになりそうです。ところがそうはならないのが興味深い所です。




では、どんな感じで相違するのか。オーベール・ワインズのシャルドネ
白ワインとブルゴーニュのシャルドネ白ワインをブラインドで比較して
みました。
色調はやや異なるものの、色合いは薄めで似ています。しかし、香り
は別品種かの様な違いがあります。片方は緑色のイメージ、もう片方
は黄色のイメージです。果肉が緑色のキウイと黄色のキウイと言えば
分かり易いでしょうか。青りんごと黄リンゴでもOKです。
グラスを回し、香りを立ててあげるとより明確な違いが現れます。緑色
のイメージだった所に涼しさと爽やかさが増します。黄色(生の果実)
のイメージだった所にコンポートのヒントやオレンジ色のイメージさえ
加わります。またどちらもオーク樽を使用し造られたのでしょう。強弱
があるものの木をイメージさせる香りを感じます。
しかし、決定的に異なるのは口に含んでからです。方や清楚な細身、
方や芳醇な豊かさがあります。ここで判る事は緑色のイメージの香り
に涼しさと爽やかな要素が加わる白ワインは清楚で細身な酒質で、
黄色のイメージにオレンジ色のイメージが加わる白ワインは芳醇な
豊かさがある白ワインであると。
それはシャープさとふくらみ、深みからも反映されます。前者は酸味
が明確なリンゴ酸でストレートに広がり、それ故、切れがあり一点の
曇りもない味わい。後者はドッシリトした粘性あるヴォリューム感の
中に潜み、ジワジワとその存在を見せる酸味の存在で、その酸味は
前者のものと同種なのですが、他にミルキーな味わいを添える乳酸
も感じ、シャープさとオイリーさが共存しています。
酸味とミネラルの広がりを基調とし、繊細なシャープさを持つ。豊かな
ヴォリューム感の中に溶け込む酸味があり、ふくらみのある重厚さ。
この様な2者。同じ様な醸造、熟成過程を経たシャルドネの白ワイン
をブルゴーニュ産とカリフォルニア産で比べると、多くの場合、この様
な事になります。
今回、北カリフォルニアを巡り、この差がどこから来るのかと考えた時
カリフォルニアの豊かな日射量とこの地の特殊な気象条件がもたらす
日夜の気温差がシャルドネに内在する要素の違いを生み、その違い
がそのままワインへと移行しているからに他ならないと思えます。




Aubert Wines 2013 Carneros Cahrdonnay
オーベル・ワインズ2013カルネロス、シャルドネ
相性の良い料理:わずかな脂肪分を含む素材、オリーヴオイルや
           バターを使用した料理。
           チーズなら、ゴーダ。
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
16,000円(消費税別)
白ワインの表現でいわゆる「バタリーな(溶かしバターの様)」と形容
できるのがこの白ワインです。ワインなのにバタリーな。ワインって
不思議です。