2016年4月7日木曜日

Aubert Wines/オーベール・ワインズPart1

Chardonnay/シャルドネとPinot Noir/ピノ・ノワでワインを造らせたなら
カリフォルニアでトップに立つと言われている造り手のAubert Wines/
オーベール・ワインズ。このワイナリーを設立したのはMark Aubert/
マーク・オーベール。1999年の事でした。
彼のキャリアが眩い位に輝かしく、ワイン・ラヴァーの垂涎の的である
ワインを生み出しているBryant Family/ブライアン・ファミリー、Colgin
Cellars/コルギン・セラーズなどの醸造コンサルタントを歴任。その間
に自分のワイナリーを持ちたいとの思いに駆られ、今のポジションに
たどり着いたのです。



そんなキャリアを持つマークですから、自分のワイナリーで自ら造り上げた
シャルドネやピノ・ノワのワインは時を長く経ずして高い評判を獲得。その
2品種のワインで既に名声を得ていたMarcassin Vineyrad/マーカッサン・
ヴィンヤードやKistler Vineyards/キスラー・ヴィンヤーズなどと同格とされ
現地でも入手困難なワインになっています。




オーベール・ワインズがあるのはNapa Valley/ナパ・ヴァレーの最北の
ワインと水、温泉の街、Calistoga/カリストガ。街の中心から少し離れた
所にあります。ワイナリーの隣には別のワイナリーがあり、東側と南側
をブドウ畑に囲まれたロケーションです。




西日に照らされ黒っぽい建物が落ち着きを帯びた雰囲気で立っています。
このワイナリーは基本的に訪問不可で、門が硬く閉ざされています。但し
ワイン業界人が然るべきルートでかなり前もってコンタクトしたなら、訪問
が許されるのかもしれません。




オーベール・ワインズは著名なブドウ栽培業者からブドウを調達し、ワイン
を造っています。禁酒法を時代を経験したアメリカではその間、一部例外
はありましたが、商業ワイナリーの稼働が認められず、ワイン造りは自己
消費の為に一般の家庭での醸造だけが許されていました。
その家庭内醸造の為にブドウを供給する農家が多く誕生し、ブドウ造りの
エキスパートとして重要な存在になりました。その様な経緯から、アメリカ
ではブドウ栽培はVineyard/ヴィンヤードが、ワイン造りはそこからブドウ
を供給されたWinery/ワイナリーが行う分業制が確立したのでしょう。今
でもその様な傾向が明確に継続されています。


カリフォルニア州は沖合を北方から南下する寒流の北大西洋海流が
流れています。その為、沿岸部の水温は低く、よって海面上の気温も
低くなります。
一方で、カリフォルニア州内陸部は海岸線にほぼ平行にそびえる複数
の山脈により海(陸地に流れ込む低温の海風)からの影響が遮断され、
冷涼にはならず、豊かな日射に大地が温められ暑くなります。
様々な条件により差異が出ますので、一概に断言出来ないのですが、
内陸部程、高温になり、湾岸部よりもオーベール・ワインズのある内陸
のカリストガは10度程高温になるとされています。
オーベール・ワインズのワインは比較的冷涼な気候での栽培地を好む
シャルドネとピノ・ノワですから、より高温になるワイナリーのある地で
なく、湾岸部に近い冷涼なエリアにある畑で栽培される事になります。
上の画像の赤い印の所にHyde Vineyards/ハイド・ヴィンヤーズがあり
ます。ここは数多くのワイナリーに優良なブドウを供給する著名な農家
です。オーベール・ワインズもここから供給されたブドウでいくつかの
ワインを造っています。この地区はアメリカ合衆国政府認定のブドウ
栽培地A.V.A.Carneros/カーネロスと言います。
カリフォルニア州のブドウ栽培地で最も冷涼な地の一つで、小高い丘
が幾重にも連なり、青空と緑の大地のアップ・ダウンの風景がとても
綺麗なエリアです。
次回はこのエリアのシャルドネで造った非常に豊かな表情を見せる
オーベール・ワインズの白ワインを紹介します。