2016年4月2日土曜日

1976@Paris

北カリフォルニア訪問記の連載を始める前にカリフォルニアワインが世界
に名を馳せるきっかけの一つにもなった1976年の出来事に触れてみます。
ワインを飲む人にとって、飲まない人にとってもかもしれませんが、最高峰
のワインの生産国と言えばフランスと多くの方、もしかするとほとんどの方
がそう答えるでしょう。しかし、本当にそうなのか?その様な疑問も1976年
のイヴェントを開催させた理由の筈です。
名立たるフランスワインと評価の高いカリフォルニアワインをブラインドで
比較テイスティングし、その品質に従い順位をつけようと。イヴェント開催
を前に上位はフランスワインが独占。そう信じて疑わなかった人にとって
結果は衝撃的過ぎるものでした。



上の画像が衝撃的過ぎた結果です。白ワインはChardonnay/シャルドネ、
赤ワインはCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン主体に造られた
ブレンドタイプを銘柄が判らない状態で比較し、ランクをつけたのですが、
それぞれのトップはフランスワインではなく、カリフォルニアワインだった
のです。
今の時代でしたら、様々な生産国の様々なワインを試す機会が頻繁に
あり、国や産地に関係なく素晴らしい品質のワインがあると言う事実を
知っている人は多くいますが、1976年当時となると、カリフォルニア産の
ワインがあるの?などと言う人もいた時代でした。
当店ではロシア産、インド産、タイ産、中国産のワインも積極的に販売
していますが、人のイメージとは恐ろしいものです。ワインとの結び付き
を思い浮かべられない訳ですから、「そんな国のワイン、飲めるの?」と
なってしまうのです。ですからカリフォルニアワインの存在を知らない人、
その品質の高さを知らなかった人にとって、当時は今、それらの国々に
思い描くイメージと同じイメージだったでしょう。
そんな国と片づけられてしまう所から驚愕のワインが誕生している真実
を知ってしまった時の衝撃は1976年にカリフォルニアワインがワインの
世界に残した衝撃度に匹敵すると言えるかもしれません。
1976年から40年。このイヴェントに因み、同じ様なイヴェントが世界各地
で開催されます。フランスvカリフォルニア、優れているのはどっち?この
テーマで今年のワイン業界は賑わう筈です。優劣をつける事が目的で
なく、純粋にどこが似ていて何が異なるのかを知る(ワインの伝統国に
対し、新興してきたニューワールドのワインが)意味でも比較は興味を
そそると思います。
そこで当店主催のワイン会ではフランスvカリフォルニアだけではなく、
伝統国v新興国をブラインド・テイスティングで楽しもうをテーマに先月
の会からブラインド比較テイスティングを始めました。
フランスワインは酸味を基調とし、果実味との洗練されたバランスを、
カリフォルニアワインは豊かなアルコールのヴォリュームに支えられた
リッチな果実味を備えている。両国のイメージはこんな感じです。別の
見方をすれば、フランスワインは上品、カリフォルニアワインは粗野な
(ちょっと言い過ぎですが)と言った所でしょうか。




2013ヴィンテージ、Sauvignon Blanc/ソーヴィニョン・ブラン主体の辛口
白ワインと言う条件でブラインド比較テイスティングしたカリフォルニア
ワインとフランスワイン。



2014ヴィンテージ、Pinot Noir/ピノ・ノワ単一の赤ワインと言う条件で
ブラインド比較テイスティングしたカリフォルニアワインとフランスワイン。


2012ヴィンテージ、Cabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン主体
の赤ワインと言う条件でブラインド比較テイスティングしたカリフォルニア
ワインとフランスワイン。
以上、6本を各2本ずつ、3回に分けてブラインドで比較しました。ここでも
結果は驚きでした。カリフォルニアワインに今まで言われていたイメージ
が当てはまらないのです。今回の3フライトでは上品、優美なのは全て
カリフォルニアワインの方でした。
カリフォルニアワインは劇的に変わって来ています。洗練されたワインが
造れる様にブドウを育てる畑のロケーションや育てるブドウの育種選抜
により大きな関心、注意を払っています。果実味がリッチでふっくらした
ボディーの大柄なワインは過去のもの。
次回から、カリフォルニアワインの真実に時には伝統国のワインと比較
しつつ、時にはカリフォルニアワイン同士で比較しつつ迫って行きます。